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日本学術会議会長コメント

平成17年9月15日
 日本学術会議は
 (1)第19期日本学術会議要望「電子媒体学術情報の恒久的な蓄積・保存・利用体制の整備・確立」
 (2)同「我が国英文学術誌による学術情報発信の推進について」及び
 (3)第5部応用物理学研究連絡委員会、工学共通基盤研究連絡委員会物理工学専門委員会、同光学専門委員会、同薄膜・界面物性専門委員会による報告「物理系学術誌の将来に向けて:-工学系分野の立場から-」 を公表した。
 学術情報は、高度な知的活動である研究の成果の記録である。このような情報を整理し、保存し、また流通させることは、学術の発展のみならず、人類全体の知的発展にも資するものである。そのため、従来、研究の成果は学術誌に掲載され、それにより科学者コミュニティに提供され、また、図書館等に所蔵され、人類の資産として共有されてきた。  
 ところが、近年の情報技術の急速な進展により、学術情報もディジタル化が進められ、従来の紙媒体とは異なった対応が求められている。また、研究活動が国際化する中で、我が国の研究成果の国際社会へどのように発信するべきかが大きな課題となっている。
 学術会議としては、このような課題に対応するため検討を行い、この度上記の3つの報告書をとりまとめた。
 (1)は、人文社会科学を含めた学術の全領域を対象にし、学術雑誌だけでなく古典籍・古写本を含めた単行本の画像処理を進めるべきこと、行政資料から政府統計データに至るまでを電子化すべきこと、そして、急激な技術変化に即応してこれらの情報の保存を継続するように措置しなければならないことを指摘した。そして、このようなことは、個々の研究者や研究組織の対応すべき量を超えていることから、国として取り組むべきことを指摘したものである。  
 (2)は、学術情報の国際的対外発信の主体が英文電子ジャーナルとなりつつある現状に鑑み、電子化とアーカイヴから成る発信システムの構築を早急に進めなければ日本の学術誌が国際競争力を失うことを指摘し、学協会レヴェルを超えた対応を要望するものである。
 (3)は、物理系学術誌に着目し、我が国の物理系英文原著論文誌の中には国際的に認知され、電子化もかなり進んでいるものもあるが、今後一層の強化育成をはかるべきであること、同時に、和文誌についても技術情報の伝達・継承という意義があり、今後その国際的情報発信方策を考えていくべきであることを指摘している。  
 情報技術の進展及び学術の国際化は未だ大きく進行中であり、学術会議としても、学術情報の蓄積・保存・利用・発信について、引き続き積極的に検討していきたい。
日本学術会議会長 黒川 清
【参考】
・日本学術会議ホームページ http://www.scj.go.jp
         
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