日本学術会議は、本年7月6日から8日に英国のグレンイーグルズで開催されるG8サミットに向け、G8主要先進各国の学術会議及び関係諸国の学術会議と共同で2つの声明「気候変動に対する世界的対応」及び「アフリカ開発のための科学技術」を6月8日に発表し、同日、小泉総理に声明を手交した。
日本学術会議は従来より各国学術会議と共同して国際的な提言等を発信してきたが、この声明は、本年のG8サミットの議題である環境問題とアフリカ開発について各国科学者の意見を集約したものである点において非常に戦略的かつ重要な声明である。更に、G8主要先進国のすべての国とG8以外の大国であるブラジル、中国、インド、及びアフリカ諸国の学術会議が共同してG8サミットに向けた声明を出すのは初めてのことであり、画期的な出来事である。
この2つの声明において、我々はG8各国首脳をはじめ世界の指導者に対してこれらの課題に対する取り組みについて次のように訴えている。
「気候変動に対する世界的対応」
・気候変動の脅威を認識し、科学的根拠のある削減目標を策定するための国際的研究に着手すること。
・実施可能で費用対効果の高い方策を策定するとともに、開発途上国が解決策を自ら生み出せるよう協力すること。
・クリーン・エネルギー技術の開発と普及に対する指導性を発揮して、これらの知識を世界中の国々と共有すること。
「アフリカ開発のための科学技術」
・アフリカの開発と持続可能のためには科学技術と技術革新が不可欠であることを認識し、それらの能力開発プログラムを 積極的に
盛り込むこと。
・アフリカ諸国が自ら問題を解決できるようにするため、自国の科学能力への投資や環境整備、教育への配慮等が不可欠 であること
を認識し、最先端の科学技術と技術革新の交流及び共有を促進すること。
・G8サミットで本件を引き続き議題とすること。
日本学術会議は、今後とも各国学術会議と緊密に連携し、国内外の科学者や学術研究団体と協力しながら、地球的規模の諸課題の解決に積極的に貢献してまいりたい。 |