学術フォーラム「我が国の学術政策と研究力に関する学術フォーラム― 我が国の研究力の現状とその要因を探る―」

 今世紀に入ってから、日本の学術の国際競争力の後退が顕著に表れている。特に理学工学系や生命科学分野に代表される自然科学分野においては、基礎科学だけでなくその応用技術分野においても顕著である。当該分野の出版総論文数やトップ1%論文数も低迷しており、ほとんどの統計的指標が我が国の学術・研究力の後退を示している。一方、我が国では1990年代初頭から、国立大学の大学院重点化や法人化など、教育研究機関の「改革」が次々に実施されるとともに、CSTI創設をはじめとする科学技術の振興に関る政策も大きく変化した。これまで科学技術立国を目指すための様々な政策が実施されてきたにもかかわらず、この凋落傾向は改善されないばかりか、むしろ近年は加速傾向にある。この深刻な学術・研究力の後退の問題について、これまで専門家や批評家、各省庁や関係機関から様々な解析や要因の指摘がなされてきた。日本学術会議においては期を超えて長期的に取り組むべき重要課題と考え、その要因を科学的に解明して将来の発展に繋がる途を探ることを目的として「我が国の学術の発展・研究力強化に関する検討委員会」を発足させたところである。この委員会のキックオフ活動として、これまで発出された様々な意見を総括するとともに、多様な視点から将来の学術の発展に向けた論議を進めるための学術フォーラムの開催を企画した。これにより日本学術会議の新たな活動を周知するとともに、この重要な問題に関する幅広い議論の活性化を目指している。また、日本学術会議の会員・連携会員を対象とする意見聴取のためのアンケート調査を並行して実施する予定であり、これに資する最新情報の共有を図ることも目的としている。

イベント概要

日時 2021年12月11日(土)10:00-17:45
開催地 オンライン開催
対象 どなたでも視聴参加いただけます
定員
プログラム
10:00-10:05 会長挨拶
梶田 隆章(会長、第三部会員、東京大学宇宙線研究所教授)
10:05-10:15 開会挨拶・趣旨説明
山口 周(第三部会員、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構研究開発部特任教授)

【午前の部】セッション1:データから見た我が国の研究力の現状

司会:西山 慶彦(第一部会員、京都大学経済研究所教授)
10:15-11:15 日本の科学研究の現状:科学技術・学術政策研究所の調査研究から
伊神 正貫(科学技術・学術政策研究所 科学技術予測・政策基盤調査研究センター長)
資料(PDF形式:1,789KB)
11:15-12:00 科学技術・イノベーション政策史からの視点:日欧比較
隠岐 さや香(連携会員、名古屋大学大学院経済学研究科教授)
資料(PDF形式:622KB)
12:00-13:10 休憩

【午後の部】セッション2:現在の状況の要因を探る

司会:佐々木 裕之(第二部会員、九州大学 生体防御医学研究所教授、高等研究院・研究院長)
13:10-14:10 わが国の研究力低下の要因と復活に向けた方策
豊田 長康(鈴鹿医療科学大学学長)
資料(PDF形式:3,293KB)
14:10-14:55 日本の研究力向上に向けた制度的課題
林 隆之(連携会員、政策研究大学院大学教授)
資料(PDF形式:1,228KB)
14:55-15:40 科学における国際的な知名度を得るためには何が必要か
川合 眞紀(連携会員、自然科学研究機構分子科学研究所所長)
資料(PDF形式:3,007KB)
15:40-15:55 休憩

セッション3:パネルディスカッション

15:55-17:25
モデレータ:元村 有希子(毎日新聞論説副委員長)
パネリスト(予定):
 河村 小百合(株式会社日本総合研究所調査部主席研究員)
 江村 克己(日本学術会議連携会員、日本電気株式会社NECフェロー)
 岸村 顕広(日本学術会議連携会員、九州大学大学院工学研究院応用化学部門・九州大学分子システム科学センター准教授)
 伊神 正貫(前掲)
 隠岐 さや香(前掲)
 川合 眞紀(前掲)
 豊田 長康(前掲)
 林 隆之(前掲)
17:25-17:40 総括および今後の活動について
山口 周(前掲)
17:40-17:45 閉会挨拶
西山 慶彦(前掲)
 申込み 以下の参加申し込みページよりお申込み下さい。
参加申し込みページ
 問い合わせ先 日本学術会議事務局企画課学術フォーラム担当 電話:03-3403-6295
備考 主催:日本学術会議
企画:課題別委員会「我が国の学術の発展・研究力強化に関する検討委員会」