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持続可能な社会のための科学と技術に関する国際会議2009 −食料のグローバルな安全保障− >>English
ご挨拶
  
   日本学術会議会長 金澤一郎

 日本学術会議は、人文・社会科学と自然科学を包摂する日本の科学者コミュニティの代表機関として、持続可能な発展のための制度設計とその実現へ向け、学術研究の立場から検討の努力を着実に重ねてまいりました。「持続可能な社会のための科学と技術に関する国際会議」はこの努力の重要な一環であり、2003年から現在に至るまで、毎年一度ずつ、議論の焦点を移動させて継続的に企画・実行してきた国際コンファレンスです。これまでに開催された6回の会議では、《エネルギー》、《アジアの巨大都市》、《アジアのダイナミズム》、《グローバル・イノベーション・エコシステム》、《国際開発協力》、《持続可能な福祉》をそれぞれ議論の焦点に据え、持続可能な社会の制度と政策の在り方を巡って、国内外から招聘した専門科学者をまじえた真剣な検討を重ねてきました。その過程で蓄積された科学的な知見と情報は、この国際コンファレンスが機縁となって形成された貴重な知的資産でありまして、日本学術会議の社会的活動の堅実なバックボーンとして、重要な機能を果たしてきています。この経験を振り返るとき、持続可能な社会の礎とでも言うべき食料問題を中心に取り上げるべきだとの機運が次第に高まってまいりました。食料問題に関する過去の議論では、それぞれの国の国益を第1義的に重視する食料安全保障が焦点とされることが多く、地球全体の、あるいは人類全体の《食料のグローバルな安全保障》については、地球人口の増大問題を除けば、曖昧なままの議論がなされてきました。  
 この課題に有効に取り組むためには、2つの点に留意する必要があります。第1に、世代間の衡平性を実現することです。現在世代のひとびとは、過去世代が蓄積した有形・無形の資産を継承して社会的・経済的な活動を行いつつ、将来世代に新たな有形・無形の資産を引き渡して行く経過的な存在です。時間は一方向的に流れ、過去世代のひとびとの活動は不可逆的であります。かけがえのない地球環境への人間活動の爪痕はその典型的な一例でありまして、《食料のグローバルな安全保障》にもこの衡平性が反映されるべきことはいうまでもありません。第2に、同時代を生きる人間同士の衡平性を実現することです。国際紛争や巨大な自然災害、健康被害や新型ウィルスによる感染症など、事前には十分な予測が困難な自然的・社会的ハザードに対し、人々が生き延びられるような食料の安全保障が十分に考慮に入れられるべきです。貧困や飢餓を救うためのフード・セキュリティも欠かせません。幸いにも、今回のプログラムにはまさにこの両面の考慮が、十分生かされていると伺っています。参加者各位の専門的な知見を背景とする異分野間のインタラクションによって、《食料のグローバルな安全保障》に対する豊かな理解が確立され、その増進のための制度設計と政策選択の指針が浮き彫りにされることを、期待をもって待ちたいと思います。  
  最後になりましたが、今回の会議の基調講演をご快諾いただいたオハイオ大学教授ラッタン・ラル博士、国際開発高等教育機構・大塚啓二郎先生をはじめ、貴重な時間を割いてご参加下さいました講演者の諸先生に厚く御礼申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。
 
 

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