公開シンポジウム「豊かな食と畜産の未来に向けて」

 人の健康に必要なタンパク、脂質、ビタミン類、ミネラル類を十分に含むだけでなく、健康増進に役立つ様々な機能性物質を含んでいることが科学的に解き明かされてきている畜産物の消費量は1960年代から大きく増えはじめ、1965年に9.2kg/人/年、2020年には34kgにまで増加しました(3.7倍)。それに伴い、1965年の平均寿命が女性72.9歳男性67.7歳であったものが2020年には女性が87.5歳(14.5歳増)男性が81.4歳(13.7歳増)と大幅に伸び、身長も30歳女性の平均身長148.9cm男性160.3cmであったものが各々158.3cmと171.5cmに伸びました(厚生労働省国民健康・栄養調査)。2021年度農業総産出額約8.8兆円のうち畜産物は約40%(3.4兆円)を占めるまでに増えています(農林水産省)。このように豊かな食を支え食卓に欠かせない畜産物ですが、食料自給率が38%に過ぎない日本において、飼料自給率は24%で多くを輸入に頼っている畜産は持続可能でしょうか。加えて解決すべき多くの課題を抱えています。温室効果ガス・メタンの大きな発生源なので軽減策を具現化すること、アニマルウェルフェアに対応した飼養管理を遵守すること、国境を超えた人獣共通感染症や新興・再興感染症を防疫すること、担い手の高齢化と減少に対応するためにAI化を普及させて効率化することなどに対処しないと持続的生産は成し得ません。本公開シンポジウムでは、我が国の豊かな食と畜産の未来に向けて研究者と生産者の知識と科学力を結集し多角的な視点から山積する課題に取り組むための一助として、我が国に最適化された畜産の具体的将来像を考える機会にしたいと思います。

イベント概要

開催日時 2023年 9月21日(木) 13:00~17:00
開催地 国立大学法人北海道国立大学機構帯広畜産大学講堂(北海道帯広市稲田町西2線11)(ハイブリッド開催)
対象 どなたでも参加いただけます(要事前登録)
定員 1000名
プログラム
13:00 開会の挨拶
小澤 壯行(日本獣医生命科学大学)
座長: 近藤 誠司(北海道大学)
13:05 「放牧による牛肉生産の課題と可能性」
河合 正人(北海道大学)
13:35 「鶏の代謝状態と鶏肉・鶏卵の品質との関連性」
井尻 大地(鹿児島大学)
14:05 「家畜飼養の本来的意義とミルクの可能性」
平田 昌弘(帯広畜産大学)
14:35 休憩
14:50 「乳製品のナノ構造解析~食べられる状態のまま、ナノスケールの「混ざり方」を調べる~」
大沼 正人(北海道大学)
15:20 「世界の食料事情と畜産が支える栄養への貢献」
白鳥 佐紀子(国際農林水産業研究センター)
15:50 休憩
16:05 総合討論
座長
八代田 真人(岐阜大学)
コメンテーター
吉澤 緑(宇都宮大学)
パネリスト
河合 正人(北海道大学)
井尻 大地(鹿児島大学)
平田 昌弘(帯広畜産大学)
大沼 正人(北海道大学)
白鳥 佐紀子(国際農林水産業研究センター)
16:55 閉会の挨拶
眞鍋 昇(大阪国際大学)
 申込み ポスターに記載のQRコードよりお申し込み下さい。
 問合せ先 日本畜産学会第131回大会実行委員会事務局 川村健介事務局長
Email: jsas131obihiro(a)gmail.com ※(a)を@にしてお送りください
備考 主催:日本学術会議食料科学委員会畜産学分科会、公益社団法人日本畜産学会
共催:日本畜産学アカデミー
後援:全国農業協同組合連合会