公開シンポジウム「One Health 野生動物に関わる諸問題と獣医学」

 我が国の野生動物(鹿・猪など)の生息数と生息地域は過去30年間に急速に拡大し、奥山に生息する熊や猿等の市街地での目撃情報も増加しています。近年、農作物被害額は減少傾向にありますが、年間155億円に達しており、車・列車との衝突事故も後を絶ちません。これまで、国は様々な獣害防止対策と捕獲獣の利活用による両輪の施策を展開してきましたが、今後、人口減少と高齢化に伴った集落機能の低下が更に広域的に進み、野生動物の個体数制御も難しい状況に至ることが予想されます。野生動物の生息数・生息地域の全国的な拡大はヒトや家畜への人獣共通感染症や家畜伝染病の侵入・拡散のリスクが心配され、既に豚熱が2018年から全国規模で拡大し、次にはアフリカ豚熱の国内侵入が懸念されています。一方、捕獲されたシカやイノシシの食肉・飼料としての利活用が展開されています。現状を知り、将来への課題を獣医学と食の安全の視点から分析し、社会還元することを目的として、本シンポジウムを企画しました。

イベント概要

開催日時 2023年7月29日(土) 13:30~15:30
開催地 オンライン開催
対象 どなたも参加いただけます(要事前登録)。
定員 500名
参加費 無料
プログラム
司会:石塚 真由美(日本学術会議第二部会員、北海道大学大学院獣医学研究院教授)
座長:髙井 伸二(日本学術会議第二部会員、北里大学名誉教授)
杉山 誠(日本学術会議連携会員、岐阜大学副学長、東海国立大学機構理事)
13:30 「野生動物の生息状況と被害」
梶 光一(東京農工大名誉教授、兵庫県森林動物研究センター所長)
13:50 「野生鳥獣の利活用の施策と現状」
天野 絵里(農林水産省農林振興局農村政策部鳥獣対策・農村環境課鳥獣利活用推進班課長補佐)
14:10 「ジビエを楽しむための基礎知識」
(令和5年度厚生労働科学研究費補助金(食品の安全確保推進研究事業)「野生鳥獣由来食肉の食中毒発生防止と衛生管理ガイドラインの改良に資する研究」研究班)
「野生動物が媒介する人獣共通感染症」
前田 健(国立感染症研究所獣医科学部部長)
「食中毒を引き起こす病原微生物」
壁谷 英則(日本大学生物資源科学部獣医学科教授)
「シカとイノシシの寄生虫」
入江 隆夫(宮崎大学農学部獣医学科准教授)
「狩猟関係者のためのカラーアトラス」
宇根 有美(岡山理科大学獣医学部教授)
「ジビエペットフードの現状とリスク」
髙井 伸二(日本学術会議第二部会員、北里大学名誉教授)
15:00 総合討論
15:30 閉会の挨拶
髙井 伸二(日本学術会議第二部会員、北里大学名誉教授)
 申込み 以下のリンク先でご登録ください。
参加登録ページへのリンク
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 問い合わせ scj-tox(a)vetmed.hokudai.ac.jp ※(a)を@に換えてご使用ください。
備考 主催:日本学術会議食料科学委員会獣医学分科会、食料科学委員会・農学委員会合同食の安全分科会
共催:令和5年度厚生労働科学研究費補助金(食品の安全確保推進研究事業)「野生鳥獣由来食肉の食中毒発生防止と衛生管理ガイドラインの改良に資する研究」研究班、北海道大学獣医学研究院