公開シンポジウム「With/Afterコロナ時代におけるケアの課題と新たな取り組み」

 少子高齢人口減少社会が急速に進む日本では、これまでの制度や単一の学問の力では解決困難な複雑な問題が急増している。また、地域においては、相互に支え合う機能が脆弱化し、新たな問題に対して地域の力を発揮することにも限界が見られている。さらに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが追い打ちをかけ、医療崩壊や介護崩壊など、様々な機能崩壊が現実の課題として突き付けられている。こうした状況においては、互いに支え合う<ケア>が重要な意味をもつであろう。
 我々が提案する「ケアサイエンス」とは、ケアに関わる複雑な問題の根拠を解明するだけでなく、多学問分野および問題に関係する市民、行政、企業等と連携・協働して、〈新しいケア〉のあり方を模索し、共に作り上げていくことを意味する。
 この取り組みによって、「相互支援=ケア」を基盤にもつ「地域共生社会」を構築し、持続可能な地域社会と健康で豊かな生活の実現をめざす。
本シンポジウムは、コロナ禍において脆弱で喫緊の対策が必要な領域の、ケアに関わる先駆的な多分野共同研究および課題への具体的な取り組みをシリーズで紹介し、ケアサイエンスという新しい学問的見地から、直面している問題の核心を探り、関連する学問分野がより効果的に連携・協働できる提案や見解を見出すことを目的とする。
 シリーズ企画の第1弾として、(1)コロナ禍においてフレイルのリスクが高い高齢者の生活不活発を予防し、介護崩壊を安全に回避することの提案、(2)コロナ禍におけるハイリスク群とされる支援者へのリモートメンタルヘルス支援により、社会が相互支援する共同体として顕在的・潜在的な力をもつ提案、(3)外国人介護士を含めた多様な人材がケアの担い手として地域社会に統合される、多文化地域共生社会の構築を目指す提案を企画した。多くの参加者の皆様と課題を共有し、より現実的な提案となるよう議論したい。

イベント概要

日時 2021/5/23(日)13:30~16:00
開催地 オンライン(Zoom)とオンデマンド(YouTube)
対象 どなたでも視聴参加いただけます。
定員 約500名
プログラム
13:30 挨拶
武田 洋幸(日本学術会議第二部部長、東京大学教授)
西村 ユミ(日本学術会議第二部会員、東京都立大学教授)
13:40 ケアサイエンスの意義と展望
小松 浩子(日本学術会議第二部会員、日本赤十字九州国際看護大学・学長)
14:00 コロナ禍における高齢者のフレイル予防を考える
荒井 秀典(日本学術会議第二部会員、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター理事長)
14:30 コロナ禍のメンタルヘルス:何が失われたか・どう支援するか
萱間 真美(日本学術会議連携会員、聖路加国際大学大学院看護学研究科教授)
15:00 地域共生社会の構築にむけた多様なケアの提供とその担い手:多文化地域共生の視点から
和氣 純子(日本学術会議第一部会員、東京都立大学大学院人文科学研究科・教授)
15:40 総合討論
(司会)西村 ユミ(日本学術会議第二部会員、東京都立大学教授)
16:00 閉会
 申込み 参加費無料、以下のページのリンク先より、事前に参加登録をしてください。
参加登録ページへのリンク
備考 主催:日本学術会議健康・生活科学委員会・臨床医学委員会合同少子高齢社会におけるケアサイエンス分科会、臨床医学委員会老化分科会、健康・生活科学委員会看護学分科会、社会学委員会社会福祉学分科会
後援:日本老年学会、日本老年医学会、国立長寿医療研究センター、日本看護系学会協議会、日本社会福祉系学会連合、日本看護科学学会、日本精神保健看護学会、日本老年看護学会