日本学術会議・日本歴史学協会主催シンポジウム「続発する大災害から史料を守る―現状と課題―」

 阪神淡路大震災から25年、この間、東日本大震災をはじめとして大地震が頻発している。そして、地震のみならず火山噴火も多発し、豪雨による水害等、大きな災害に襲われ続けているのが、現在の日本列島の姿であるといえる。昨年の秋には台風19号にともなう豪雨によって、各地で河川の氾濫、破堤による洪水が発生し、大きな豪雨災害となった。19号のみならず、その前後にも台風や大型低気圧の通過による風水災に見舞われたことは、なお記憶に新しい。こうした大災害の発生は、日常生活の破壊であるとともに、文化財や歴史資料等の消失・散逸の危機でもある。そうした危機に直面するなかで、レスキュー活動等が展開され、被災文化財や歴史資料等の救済・保全への努力が続けられてきた。
 このように、地震・火山噴火のみならず、近年はこれまで想定できなかったような豪雨などによる大災害が、同時多発的にそれぞれの地域を襲い、都市部では都市部特有の被害も発生している。こうした現状を踏まえると、これまでの文化財や歴史資料等の保全・保存の在り方について、大災害の続発を前提に見直す必要性を痛感する。しばしば「想定外」が繰り返されるが、これは文化財や歴史資料等の管理・保全に関しても、甚大な被害への予防の対応ができていないことの表れといえよう。こうした現況に鑑み、日本歴史学協会では、昨年11月に「豪雨による被災文化財や歴史資料等の救済・保全についての緊急声明」を発した。
 そこで今回のシンポジウムは、この声明を受けた取り組みとして位置づけることとし、昨秋の台風等による豪雨で被災した文化財・歴史資料等の救済・保全活動について、那珂川・久慈川、千曲川の各水系に関わる報告をしていただき、被災や救出活動の実態、その問題点などを共有するなかで、平時における文化財や歴史資料等の管理・保全の在り方、緊急時における速やかな救済・保全に向けた対応について、豪雨災害を通して考えたい。このことによって、続発する大災害に対応した文化財や歴史資料等の保全・保存の在り方を展望する機会としたい。
 一方、実施に向けて検討が進められている国立公文書館によるアーキビスト認証制度について、その現状を検証することも喫緊の課題といえる。そこで、今回は特別報告として、国立公文書館によるアーキビスト認証制度に関する報告をお願いした。

イベント概要

日時 令和 2年12月19日(土)13:30~
開催地 オンライン開催
対象 どなたでも参加いただけます
定員 なし
プログラム
司会:大友一雄(日歴協史料保存利用特別委員会幹事、日本学術会議連携会員)
    熊本史雄(日歴協国立公文書館特別委員会委員長、駒澤大学教授)
開会挨拶
若尾政希(日本学術会議会員 一橋大学教授)
趣旨説明
佐藤孝之(日歴協史料保存利用特別委員会委員長)
第1報告:「2019年台風19号による那珂川・久慈川流域の被災資料保全活動」
高村恵美(茨城史料ネット/常陸大宮市文書館係長)
第2報告:「2019年台風19号豪雨災害と信州資料ネット」
山本英二(信州資料ネット/信州大学教授)
特別報告:「アーキビスト認証の実施について」
梅原康嗣(国立公文書館統括公文書専門官)
パネルディスカッション
パネリスト:高村恵美 山本英二
コメント:久留島典子(第23・24期日本学術会議会員 東京大学史料編纂所教授)
閉会挨拶
中野達哉(日本歴史学協会委員長 駒澤大学教授)
 申込み 参加費無料・先着受付
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備考 主催:日本歴史学協会/日本学術会議史学委員会/日本学術会議史学委員会歴史資料の保存・管理と公開に関する分科会
後援:全国歴史資料保存利用機関連絡協議会/日本アーカイブズ学会