公開シンポジウム「新知見の扱いとその活用」

原子力安全分科会及び福島第一原発事故調査に関する小委員会では、福島原子力発電所事故の直接原因となった津波について、どれだけの関連する知見 が、事前に、学会、行政、産業界に蓄積されていたか、それが事故発生防止にどれだけ活用されたかの検討を行ってきた。その成果の一つとして、報告「我が国の原子力発電所の津波対策 ―東京電力福島第一原子力発電所事故前の津波対応から得られた課題―」を2019 年5 月に公表した。
その後も新知見の扱い、あるいはその活用が私たち社会にとって大変重要であるとの見地から検討を重ねてきた。その結果、原子力分野の安全対策だけでなく広く各種工学システム、社会システムの多様な場面において、従来必ずしも新知見が有効に活用されてこなかったのではないかとの結論に至った。そこで、原子力に特化することなく広く工学システムを網羅して新知見の活用のあり方に関して検討を進めることとした。
一方、日々大量に世に出てくる新知見の扱いについては十分な見極めが必要である。具体的には、新知見が、真の知見なのか、永久的なものなのかについては歴史の検証を待たなければならない。しかし、場合によっては歴史の検証を待つ余裕がない場合もあることも事実である。いずれにしても、新知見の活用は、原子力の安全対策だけでなく、諸分野における安全管理、あるいは科学技術イノベーション、社会システム変革等多くの分野で波及効果が期待されるのは確かである。
シンポジウムではこれらの話題を網羅することを念頭におき、広い分野の専門家に講演者としてお願いした。

イベント概要

日時 2020/9/10(木)13:00~17:25
開催地 オンライン開催
対象 どなたでも参加いただけます
定員 300名
プログラム
開催挨拶 13:00~13:10
日本学術会議 総合工学委員会委員長
吉村 忍(日本学術会議第三部会員、東京大学大学院工学系研究科教授)
挨拶:本シンポジウムの趣旨 13:10~13:20
日本学術会議 総合工学委員会原子力安全分科会委員長
矢川 元基(日本学術会議連携会員、公益財団法人原子力安全研究協会会長、東京大学・東洋大学名誉教授) 講演資料(PDF形式:428KB)
講演セッション 13:20~16:20
司会:松岡 猛(日本学術会議連携会員、宇都宮大学地域創生推進機構 非常勤講師)
 講演 1 「知識の時代から知恵の時代へ」
 講演者:福田 収一(慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科顧問) 講演資料(PDF形式:819KB)
 講演 2 「新知見への対応-原子力規制の現場から」
 講演者:櫻田 道夫(原子力規制庁原子力規制技監) 講演資料(PDF形式:1,125KB)
 講演 3 「柏崎刈羽安全審査における新技術導入の事例と今後について」
 講演者:玉井 俊光(東京電力原子力運営管理部 部長) 講演資料(PDF形式:763KB)
 講演 4 「新知見は航空安全にどのように活用されるのか~型式証明の視点から」
 講演者:鈴木 真二(日本学術会議連携会員、東京大学未来ビジョン研究センター特任教授) 講演資料(PDF形式:772KB)
 講演 5 「科学技術イノベーションとエマージングリスク」
 講演者:岸本 充生(大阪大学 データビリティフロンティア機構 ビッグデータ社会技術部門 教授) 講演資料(PDF形式:530KB)
休憩 15:10~15:20
 講演 6 「進化論の歴史に学ぶ新知見の受け入れられ方」
 講演者:高橋 真理子(朝日新聞 科学医療部 科学コーディネーター) 講演資料(PDF形式:711KB)
 講演 7 「科学技術を社会の中で考える」
 講演者:佐倉 統(日本学術会議連携会員、東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 教授)
休憩 16:20~16:30
パネルディスカッション 16:30~17:20
 「新知見の扱いとその活用はいかにあるべきか」
 司会:関村 直人(日本学術会議連携会員、東京大学副学長、東京大学大学院工学系研究科教授)
 パネリスト:各講演者 及び
 宮野 廣 (元法政大学大学院デザイン工学研究科 客員教授) 講演資料(PDF形式:203KB)
 吉田 至孝(福井大学附属国際原子力工学研究所 客員教授) 講演資料(PDF形式:172KB)
 吉村 忍 (日本学術会議第三部会員、東京大学大学院工学系研究科 教授) 講演資料(PDF形式:103KB)
閉会挨拶 17:20-17:25
 申込み 御所属、御氏名を記載の上
担当:松岡猛 mats*cc.utsunomiya-u.ac.jp(*を@に変更)までメールにてお申し込み下さい。
◆参加申込期間: 9月4日締め切り
 問い合わせ 松岡猛(連携会員)mats*cc.utsunomiya-u.ac.jp( *を@に変更)
備考 主催:日本学術会議 総合工学委員会原子力安全分科会