公開シンポジウム 「人文学の国際化と日本語」

 我が国学術情報の国際化と国際的学術交流の重要性は、人文学分野においては今世紀初頭より注目されてきた。しかしながら、情報発信や海外情報の受容について、いまだ十分とは言えない水準にある。とくに日本及び日本語と関わる分野においては、海外における「日本理解」には不十分の感が拭えないし、海外日本研究の実態について、日本国内の研究者が必ずしも十全の理解に達していない感がある。また我が国からの情報発信も、海外研究者からは不十分と言われることが少なくない。
 この最大の原因の一つは、我が国の研究者に外国語(とくに英語)運用能力が決定的に欠けている点に求められてきた。しかしながらこの問題の本質は、言語をある種の道具としてのみ捉える発想そのものにある。むしろ人文学の国際化の難しさの背景には、学会や分野の枠を超えた、広汎で深い相互交流の欠如という問題が横たわっているように思われる。このような認識に基づき、とくに人文学を中心とする我が国学術分野の課題と、国際学術交流における日本語の役割について、本会議会員・連携会員に海外有識者を交え、共に考察する機会としたい。

イベント概要

日時 2020/7/19(日)13:00-16:30
開催地 ZOOMによるインターネット会議方式(使用言語:日本語)
対象 どなたでも参加いただけます
定員 約200名(先着順)
プログラム
13:00 開会挨拶
開会挨拶 吉田 和彦(日本学術会議第一部会員・京都産業大学客員教授:言語学)
趣旨説明 竹本 幹夫(日本学術会議連携会員・早稲田大学名誉教授:日本文学)
13:10~14:40 セッションⅠ〈言語学分野を中心に〉
司会 吉田 和彦
13:10~13:25 「教育と可視性」
クリス・タンクレディ(慶應義塾大学教授:理論言語学)
13:25~13:40 「日本語学と国際化」
木部 暢子(日本学術会議第一部会員・国立国語研究所教授:日本語学)
13:40~13:55 「日本語研究の国際化―国立国語研究所の取り組み」
窪薗 晴夫(日本学術会議連携会員・国立国語研究所教授:言語学)
13:55~14:10 「人文学の国際化と中国語」
平田 昌司(日本学術会議連携会員:中国語学)
14:10~14:40 討論
14:40~14:50 ( 休憩 )
14:50~16:20 セッションⅡ〈文学分野を中心に〉
司会 竹本 幹夫
14:50~15:05 「「昆虫文学」、その底なしの魅力」
メアリー・A・ナイトン(青山学院大学教授:日米両文学)
15:05~15:20 「国文学者が英語で論文を書く日――国際化はなぜ必要なのか?」
沼野 充義(日本学術会議連携会員・名古屋外国語大学副学長:ロシア文学・ポーランド文学)
15:20~15:35 「日英モダニズムの果実―福沢、野口、西脇―」
巽 孝之(日本学術会議連携会員・慶應義塾大学教授:アメリカ文学)
15:35~15:50 “Concerning the Methods of Transcultural Academic Writing”
ロバート・キャンベル(国文学研究資料館館長:日本文学)
15:50~16:20 討論
16:20~16:30 総括
司会 吉田・竹本
 申込み 参加申し込みフォーム
締切:令和2 年 7月15日(水)(先着順)
 問い合わせ jinbungaku.nihongo*gmail.com 担当:竹本幹夫・窪薗晴夫
(*を@に変更)
備考 主催:日本学術会議言語・文学委員会人文学の国際化と日本語分科会
共催:大学共同利用機関法人・人間文化研究機構 国立国語研究所/国文学研究資料館