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第28回国際コンピュータ支援放射線医学・外科学会議 開催結果報告
1 開催概要
(1)会 議 名 :(和文)第28回国際コンピュータ支援放射線医学・外科学会議
         (英文)The 28th International Congress of CARS 2014
         (Computer Assisted Radiology and Surgery 2014)
(2)報 告 者 : 第28回国際コンピュータ支援放射線医学・外科学会議 橋爪 誠
(3)主   催 : 一般社団法人日本コンピュータ外科学会、日本コンピュータ支援放射線医学・外科学協会、日本学術会議
(4)開催期間 :2014年6月24日(火)~6月28日(土)  ※市民公開講座:2014年6月29日(日)
(5)開催場所 : 福岡国際会議場(福岡県福岡市)、アクロス福岡(福岡県福岡市)
(6)参加状況 : 33カ国/地域 1,013人(国外410人、国内603人)


2 会議結果概要
(1) 会議の背景(歴史)、日本開催の経緯:
本会議は1985年より1995年の10年間は隔年、1995年からは毎年開催されてきた。最初はベルリンでベルリン工科大学がベルリン市議会の支援を受けて開催された。その後はベルリン以外ではパリで開催された。ヨーロッパ以外の開催地としては1998年の東京が最初である。その後パリやサンフランシスコ、ロンドンなど各地で開催され、2011年はベルリン、2012年はイタリアのピサで開催された。
日本開催の要望は1995年より強まり、1998年の第12回大会が東京で開催されることにより実現した。その後4年後の2002年に再び日本での開催(大阪)が強く要望されたが、フランス放射線医学会の更なる強い要望によりパリで開催された。その後日本からの参加者による日本開催の要望が依然として強いため、更に4年後の2006年に日本(大阪)で開催され、成功をおさめている。その後、欧米を中心に開催されてきたが、やはり日本での開催を求める要望は年々高まっており、日本国内からだけでなく日本初の成果を世界に発信すべきだとする要望は欧米諸国からも強まり、今回2014年に三たび日本(福岡)で開催することとなった。この仮決定は2010年ジュネーブ大学で開催された第24回大会の運営委員会でなされ、正式には2011年6月25日の国際コンピュータ支援放射線医学・外科学協会及び国際コンピュータ支援放射線医学・外科学会議において第28回国際コンピュータ支援放射線医学・外科学会議を2014年に日本で開催することを決定した。

(2) 会議開催の意義・成果:
この学問分野での会議の意義は国際会議により大きく強まり、むしろ国際会議でないと意義がないと言える。その理由は情報科学の支援に関する学術情報は、欧・米・日によりアプローチの方法が少しずつ異なると同時に研究成果も少しずつ異なった分野(学際分野)で挙げられているため、欧・米・日の研究者が年に1回発表・討論をしなければ、新しい研究成果の解釈と次への進展への方向を見出せない。日本においても例外ではなく、欧・米の研究者が参加しての国際会議の開催により成果を大きく挙げることが可能となる。

(3) 当会議における主な議題(テーマ):「神経行動学の統合」
メインテーマ:「先端医療技術によるLife Innovation」
主要トピックス:

医用画像(CT, MR, CR, 超音波を含む)の生成、画像処理と表示、画像保管・通信・管理システム、心臓血管系画像診断、口腔・上顎・顔面画像診断、コンピュータ支援診断、コンピュータ支援放射線治療、画像およびモデルガイド下治療、手術シミュレーション、手術ナビゲーション、手術用具、医療機器、手術ロボット、コンピュータ支援整形外科・脊椎外科手術、コンピュータ支援頭頸部外科手術、イメージガイド下脳神経外科手術、低侵襲心血管外科手術、低侵襲胸腹部外科手術、デジタル手術室、スマート薬剤送達システム、再生医療用機器、遠隔医療、e-Health、医学教育、個別医療など


(4) 当会議の主な成果(結果)、日本が果たした役割:
上記のとおり参加者は1,000人を超え、5日間を通じて、口演332題、ポスター114演題が発表された。日本で開催することにより、欧米での開催年には毎回約100~150人程度である日本人参加者を600人以上まで増加させた。また、東芝やソニーといった日本企業による最先端技術の展示も実現し、学術面のみならず、財政面でも会議の成功に貢献した。

(5) 次回会議への動き:
次回会議は、2015年6月24日から27日まで、スペインのバルセロナで開催される。

(6) 当会議開催中の模様:
会議初日は、同時開催である第10回アジアコンピュータ外科学会のプログラム、2日目はその他のプログラムもスタートし、夕刻には開会式とレセプションが開催された。開会式では、東北大学循環器内科 下川 宏明 教授、九州大学レドックスナビ研究拠点長 内海 英雄 教授、ミュンヘン工科大学Hubertus Feussner教授による講演が行われた。ポスター発表もこの日からスタートしたが、例年のポスター掲示に加え、口演会場での発表の場も提供した。3日目の夜は、若手研究者のための交流セッションを企画したが、ロビーというオープンな会場での開催が功を奏し、年齢を問わず幅広い参加者を得て議論が盛り上がった。機器展示は、2日目から4日目まで、ポスター会場内やロビーに配置した。また、会期中、海外参加者向けに日本文化体験として呈茶コーナーを設けたところ、大変人気があった。

(7) その他特筆すべき事項:
病院に勤務する技師・看護師等に発表いただくポスターセッション(Poster session for hospital staff)を新たに企画し、このセッションの発表者には特別割引料金での参加登録を可能にするなどの工夫により、医師以外にも広く参加いただける会議を目指した。

3 市民公開講座結果概要
(1)開催日時::2014年6月29日(日) 14:00~16:00
(2)開催場所:アクロス福岡(福岡県福岡市)
(3)主なテーマ、サブテーマ:
 テーマ:「がんと先端医療」
 講演:
  「消化器がんに対するロボット手術の最先端」(藤田保健衛生大学医学部 宇山 一郎 教授)
  「子宮体癌幹細胞を標的にした新規治療法の開発」(九州大学医学部婦人科学産科学教室 加藤 聖子 教授)
  「前立腺癌治療の最前線」(九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野 内藤 誠二 教授)
(4)参加者数、参加者の構成:約100名
(5)開催の意義:市民公開講座を行うことにより、日本人科学者のもたらした成果について、社会に還元し、先端医療に関する一般社会の興味を大いに高めることが期待される。
(6)社会に対する還元効果とその成果:各講師に対して、市民の目線に立った疑問点を投げかけ、具体的な回答を引き出す時間を十分に設けることにより、参加者からは非常に理解しやすかったと好評を得た。

4 日本学術会議との共同主催の意義・成果
2006年の大阪での開催に続いて、日本学術会議との共同主催が実現したことにより、開会式では、内閣総理大臣メッセージの他、日本学術会議 春日文子副会長から御挨拶をいただき、日本政府が本会議に対して大きな支援をしていることを広く国内外へ示すことができた。

(開式の辞を述べる橋爪誠 第28回国際コンピュータ支援放射線医学・外科学会議会長) (主催者挨拶を行う春日文子 日本学術会議副会長) (開会式にて披露された内閣総理大臣メッセージ)
(開式の辞を述べる橋爪誠
第28回国際コンピュータ支援放射線医学・外科学会議会長)
(主催者挨拶を行う春日文子 日本学術会議副会長) (開会式にて披露された内閣総理大臣メッセージ)

(口演会場の様子) (Young Investigator Network Sessionの様子) (ポスター会場の様子)
(口演会場の様子) (Young Investigator Network Sessionの様子) (ポスター会場の様子)



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