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第13回環太平洋精神科医会議開催結果報告
1 開催概要
(1)会 議 名 : (和文)第13回環太平洋精神科医会議
         (英文)13th Pacific Rim College of Psychiatrists Scientific Meeting (13th PRCP)
(2)報 告 者 : 第13回環太平洋精神科医会議会長 野田 文隆
(3)主   催 : 社団法人日本精神神経学会、多文化間精神医学会、日本社会精神医学会、日本学術会議
(4)開催期間 : 平成 20年10月30日(木)?平成20年11月2日(日)(4日間)
(5)開催場所 : 都市センターホテル(東京都千代田区)
(6)参加状況 : 38カ国/2地域・709人(国外390人、国内319人)

2 会議結果概要
(1)会議の背景(歴史)、日本開催の経緯:

 環太平洋精神科医会議(Pacific Rim College of Psychiatrists:PRCP)は1978年ハワイでの世界精神医学会の期間中、環太平洋地域に存在する独特の問題をあつかう精神医学的団体を設立することが提案され、1980年5月15日マニラで第2回太平洋精神医学会の折に誕生した。
 日本、韓国、アメリカ、フィリピン、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、タイなどの設立会員による設立集会が行われ、精神保健問題の文化的多様性をいかに理解し、それにもとづいて対応するかが中心的な問題として捉えられた。
 第1回学術集会が1982年に台北市で開催されて以来2年ごとにアジアの各地を開催地として回り持ちで開催されてきた。日本においては1986年に東京で第3回学術集会を開催し、その後1995年に第7回学術集会を開催して以来13年間ぶりの開催となる。2005年11月にPRCPの理事会において2008年に第13回学術集会を日本で開催することを決定した。
(2)会議開催の意義・成果:
 環太平洋精神科医会議(PRCP)は2年ごとに開催し、環太平洋諸国のアカデミックな精神医学の指導者が一堂に会して研究と教育に関する情報を交換・共有することを目的とするものである。
 PRCPは環太平洋諸国の精神保健の向上と固有な文化の中での精神医学の発展に寄与する為に1980年に各国の代表的精神科医が集まり設立された。以来、環太平洋地区の精神医学的研究の推進、 精神医療の向上、精神保健のリーダーの養成と若い精神保健専門家への教育支援、スマトラ沖地震、津波災害の時などへの危機介入など、様々なプロジェクトに取り組んでおり、現在ではアジア、オセアニア、 北米などを代表する国際的学術団体としての地位を築いている。
(3)当会議における主な議題(テーマ):
 「変貌する環太平洋精神医学:多文化・多職種協働の精神医学」をメインテーマに、急速に変わり行くアジア・オセアニアの精神医学を多文化・多職種という視点から捉えた議論を主要題目とした。
(4)当会議の主な成果(結果)、日本が果たした役割:
 当会議は、これまでの環太平洋精神科医会議の歴史の中で、もっとも多数の参加者を集め、大きな成功をおさめた。環太平洋地域における重要な精神医学、精神医療上の課題を、 日本が適切な形で取り上げ、かつ、国内外からの参加者を、有機的に結び付けて会議を行えたことに、成功の原因があるといえよう。
(5)次回会議への動き:
 今回の成功をふまえて、次回は、さらに具体的かつ国際的な協力、研究と実際のサービスの連携をテーマに、2010年、オーストラリアのブリスベーンで会議が開かれる予定である。
(6)当会議開催中の模様: レセプションの模様2レセプションの模様1
 参加者は、世界38カ国・2地域から709名で、計400題の演題が発表された。特に、若手の精神科医自身の企画による研修プログラム、多職種協働シンポジウム、市民公開講座などは、 非常な盛況をおさめ、各セッションで、多文化の観点からの活発な議論が行われた。
(7)その他特筆すべき事項:
 日本では、非常にすぐれた臨床、研究が行われているが、海外への発出がすくなく、海外の専門家に、日本での活動が十分に知られていない面がある。今回の会議では、 日本で行われている活動について、広く海外の専門家に認識してもらえるように努めた。

(セッションの模様)                        

3 市民公開講座結果概要
(1)開催日時:平成20年11月2日(日)14:00?15:30
(2)開催場所:都市センターホテル 3階コスモスホール
(3)主なテーマ: 「うつに克つこつ: 自然のままに生きる」
(4)参加者数、参加者の構成:196名、一般公募(年齢、性別問わず)レセプションの模様2
(5)開催の意義:
 専門家だけでなく、一般の方々にも広くメンタルヘルス(特にうつ病とパニック障害)の知識と意識を高めてもらい、誰でもなりうる普通の病気なのだという理解を広めることができた。
(6)社会に対する還元効果とその成果:
 この講座はテレビ、書籍などでよく知られた、香山リカ、高木美保の両氏の対談という形で進行した。高木氏はうつ、パニックの経験者であり、香山氏は精神科医である。その両氏の視点がクロスしながら、 聴衆には大変説得力があり啓発的なお話を伺えたと思う。また、最近数を増しているうつ、パニックの対処法、予防、治療などについても広く啓発する機会になったと考える。

(市民公開講座での対談)

4 日本学術会議との共同主催の意義・成果
 日本学術会議との共同主催ということで、日本政府との連携を強くアピールすることができ、国をあげてメンタルヘルス対策に力を入れているという視点が参加者の共感を生んだ。 特に開会式での日本学術会議副会長挨拶と内閣総理大臣メッセージ披露は参加者にとって大変印象深いものとなった。多大なご支援をいただいた日本学術会議に厚く御礼申しあげる。

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