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第11回世界内視鏡外科学会開催結果報告
1 開催概要
(1)会 議 名 : (和文)第11回世界内視鏡外科学会
         (英文)11th World Congress of Endoscopic Surgery (11th WCES)
(2)報 告 者 : 第11回世界内視鏡外科学会組織委員会委員長 北野 正剛
(3)主   催 : 日本内視鏡外科学会、日本学術会議
(4)開催期間 : 平成20年9月2日(火)? 9月5日(金)
(5)開催場所 : パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
(6)参加状況 : 74ヵ国/1地域、3,425人(国外1,202人、国内2,223人)

2 会議結果概要
(1)会議の背景(歴史)、日本開催の経緯:

 世界内視鏡外科学会は、国際内視鏡外科学会連合(International Federation of Societies of Endoscopic Surgeons・略称:IFSES)が2年ごとに開催する会議であり、内視鏡外科手術の研究と教育の向上を推進し、内視鏡外科手術に携わる科学者の教育と研修を助成するとともに、 世界各国の内視鏡外科手術に携わる科学者の交流と親睦を促進することを目的とした国際会議である。
 日本での開催は、1994年の京都における第4回大会以来であり、当大会の成功と日本における内視鏡外科手術の手技や教育のレベルの高さが評価されたことにより、 2004年2月に開催された第9回世界内視鏡外科学会(メキシコ・カンクン)の理事会において、2008年の第11回世界内視鏡外科学会を日本で開催することが決定された。
(2)会議開催の意義・成果:
 本会議の意義は、世界各国の内視鏡外科手術に携わる多くの科学者の参加を得て、世界の内視鏡外科の発展に寄与し医療の発展に貢献することである。
(3)当会議における主な議題(テーマ):
 「内視鏡外科の革新と開腹手術との調和(Innovation for Surgical Endoscopy and Harmonization with Open Surgery)」
(4)当会議の主な成果(結果)、日本が果たした役割:
 世界74ヵ国/1地域から約3,400人(うち海外から約1,200人)以上の参加者を得て、内視鏡外科の現状と問題点について活発な討論がなされた。中でも、悪性腫瘍に対する内視鏡外科の適応拡大、 合併症のない安全な手術手技の確立、治療成績の評価、トレーニングシステムと教育制度の確立、技術認定制度や社会制度の設定、ロボット手術やテレサージェリーの開発、さらにはNOTESなどの新しいコンセプトについて活発に議論がなされた。 いずれの分野の議論においても我が国がリーダー的役割を果たしており、責務の大きさを実感した。
(5)次回会議への動き:
 次回は、2010年4月14日?17日に、アメリカで開催され、内視鏡外科の適応、手技、治療成績、新しい技術の導入、教育などについて、幅広い討論がなされることと思われる。
(6)当会議開催中の模様:
 9月2日の開会式では、皇太子殿下の御臨席、お言葉を賜るとともに、野田内閣府特命担当大臣、渡辺厚生労働副大臣、松野文部科学副開会式で挨拶する土居日本学術会議副会長大臣、中田横浜市長、土居日本学術会議副会長が出席した。 夕刻には、計200名が参加して歓迎レセプションが開かれた。会議全体では、世界から約3,400人(うち海外から約1,200人)以上の参加者のもと、特別企画5セッション、シンポジウム14セッション、 ワークショップ68セッション、一般演題として215セッションを行い、活発な議論がなされた。特別企画で開会式の模様、皇太子殿下のお言葉は、これからの光学機器としての3D内視鏡、開発途上の新しい手術機器、優れた手術手技、 世界の治療成績と学術的エビデンス、教育システムについてとりあげ、世界の第一人者の発表があった。シンポジウム、ワークショップ、一般演題では、消化器外科、呼吸器外科、内分泌外科、形成外科、乳腺外科、心臓血管外科、婦人科、泌尿器科、耳鼻科、整形外科、 小児外科等の各領域における内視鏡外科の現状と問題点、さらには新しい技術について活発な討論がなされた。
 一方、全員懇親会としてWelcome PartyやYokohama Nightを開催し、それぞれ1,000人以上の参加者のもと、研究者相互の交友と親睦を深めることができた。
(写真左:開会式の模様、皇太子殿下のお言葉)
(写真右:開会式で挨拶する土居日本学術会議副会長)

(7)その他特筆すべき事項: 講演の模様
 日本での開催の誘致に際しては、日本内視鏡外科学会(JSES)の国際委員会が中心に行った。その結果、第9回世界内視鏡外科学会(メキシコ・カンクン)の際のIFSES理事会において開催地として日本以外にアメリカ合衆国、 中国が立候補したが、選挙にて我が国での開催が決定した。開催決定とともに、日本内視鏡外科学会において北野正剛会長、北島政樹名誉会長のもと組織委員会が発足し、開催準備にとりかかった。
 また、日本での開催が決定してからの4年間、世界内視鏡外科学会連合(IFSES)の構成学会である主な学会に出席し広報活動を行ってきた。その結果、これまでの世界内視鏡外科学会の中で最大数の参加者となった。

(講演の模様)
3 市民公開講座結果概要
(1)開催日時:平成20年9月6日(土)14:00?16:00
(2)開催場所:はまぎんホール ヴィアマーレ
(3)主なテーマ、サブテーマ: 「内視鏡手術って、なに??外科革命進行中!専門医が解説します?」
(4)参加者数、参加者の構成:一般市民60名程度
(5)開催の意義:市民公開講座の模様
 市民の方々に内視鏡外科手術を身近なものとしてご理解いただくため、その普及活動の一環として開催した。そのため、本講座においては、内視鏡外科の歴史や比較的頻度の高い身 近な疾患(気胸、前立腺肥大症、胃がん、乳がん)に対する内視鏡外科手術について、研究者の講演を聞いていただいた。講演内容や質疑は、一般市民の視点に立ったものであり、 十分ご理解をいただいたものと思われる。
(6)社会に対する還元効果とその成果:
   開催に際しては、より多くの市民の方に参加していただくため、横浜市内で周知活動を行った。また、司会者として一般市民に広く愛されている壇ふみさんにお願いし、 市民の立場にたった進行と質疑をお願いした。その結果、参加した市民の方々は、内視鏡外科の社会的意義とその役割について十分ご理解をいただいたものと思われる。

(市民公開講座の模様)

4 日本学術会議との共同主催の意義・成果

 内視鏡外科手術は、以前と比べ、技術的な面で標準化され、より安全な手術が行われるようになってきているが、更なる進歩の必要性が指摘される分野も少なくない。世界において、より患者に優しい内視鏡外科手術の向上と発展が大きく期待されている現状からも、この会議を日本で開催できたことは、我が国の内視鏡外科の研究・教育・医療制度に更なる発展をもたらすと思われる。
 開会式では、皇太子殿下の御臨席、お言葉を賜るとともに、野田内閣府特命担当大臣、渡辺厚生労働副大臣、松野文部科学副大臣、中田横浜市長、土居日本学術会議副会長に御来賓として、御挨拶をいただき、 参加した約1,000名の会員にとって、忘れることのできない会議となった。このような機会をいただいた日本学術会議に大きな謝意を表するとともに、多大なる御後援をいただいた宮内庁、厚生労働省、 文部科学省、神奈川県、横浜市をはじめ、各学術団体に対しても厚く御礼申し上げる。


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