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代表派遣会議出席報告
1 会議概要
1)名 称 (和文)第23回国際科学史会議 
       (英文)XXIII International Congress of History of Science and Technology
2)会 期  2009年 7月28日?8月2日(6日間)
3)会議出席者名 総会:木本忠昭、橋本毅彦、矢島道子、小川眞里子、溝口元、矢野道雄
4)会議開催地 ハンガリー、Budapest
5)参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)    参加国54、参加者約1300、日本人約50
6)会議内容
・日程及び会議の主な議題:

  総会:7月30日、8月1日 活動報告、会計報告、役員選挙、規約改正(分担金改正、past-presidentを廃止してpresident-electを新設)、次回開催地の決定
  学術集会:学術集会は、シンポジウムが96部会、個別セッションが53部会あった。今回の特徴の一つは、シンポジウムが多かったという点にあろう。参加者は全体で約1300人といわれるが、シンポジウム関係では、約710論文、個別セッションでは、約570論文、合わせて1280編の論文が、レジメとしてはレフリーを経て登録された。 日本人は、約50人の参加者があったが、論文提出は44人であった。うち31人が個別セッション、13人が  シンポジウム報告であった。  
・会議における審議内容・成果:
  
 総会では、past-presidentを廃しpresident-electを新設、分担金の基準をGDPに従って基準AからEまでのカテゴリーで位置づけをし直した。Eクラスとしては、USA,イタリア、日本とし、USAの分担金は$4000、日本は$  3200となった。次回開催地は連合王国マンチェスターと決定された。新役員を選挙し、新会長は、Liu Dun(中国)、第一副会長Paolo Brenni、第二副会長Michael Osborneとなった。日本からは、アセッサーとして矢野道雄  氏が当選した。 学術集会では、シンポジウム関係で約710論文、個別セッションで約570論文、合わせて1280編の論文が、レジメとしてはレフリーを経て提出された。  
・会議において日本が果たした役割:    
  総会審議では、分担金の原案(カテゴリーDで額$3200)を修正させ、カテゴリーをEとさせた。日本から引き続き役員を選出できた。 学術集会では、シンポジウム、個別セッションともに多くの発表を行い一定の貢献がで きた。     
・その他特筆すべき事項:
  
 今回は、前回の北京宣言のような特定の声明は行わなかったが、若い研究者育成のために一般個人参加費から従来より多くの参加助成が行われた、またIslam分野での若い研究者にたいして Ihsanoglu金賞が新設された。

2.会議の模様
 総会では、本国際会議組織IUHPS/DHSTの運営が透明性を高め、多くの人に運営状況がより理解できるように工夫すべきであることが繰り返し議論されたが、総会では、多くの国の発言が自由に保障され、運営上特に問題となることはなかった。手続き的にもきちんとされ、参加国の合意で進められた。インターネットの手段を用いて情報公開の整備も議論されたが、これまでも国際組織としてあることの利点を発揮するためにonline 図書館が設置され各国の文献がonlineで検索利用できるような努力もされてきてはいるが、今後一層充実することが望まれるであろう。運営上では第21回大会より発展途上国からの参加が増え、今後も国際的に共同できる体制をどのように構築することが出来るかは今後ずっと課題としてあるであろう。
 学術集会としては、今回の国際会議のメインテーマは“Ideas and Instruments in Social Context”と定められ、そのテーマに沿ったシンポジウムが組織されたが、それに必ずしも限らずに、多くのさまざまなテーマでシンポジウムや独立の講演発表がなされた(発表論文の量は、上記済み)。テーマの幅は、時代・地域・分野について、古今東西、科学技術医学、数学から自然誌にわたり、多種多様のトピックの講演がなされた。
今回の大会の特徴は、シンポジウムが多かった、これは、2009年は、ガリレオ望遠鏡観測400周年でもあり、メインテーマとも重なることで望遠鏡に関するシンポジウムや講演は多かったことと、同じくダーウイン生誕200年、『種の起源』公刊150年ということで、ダーウイン関係のシンポジウムも注目されたということもあったことによる。同時に、シンポジウム組織者には参加費の特典があることも影響したのではなかろうか。なお、シンポジウムでは、現地組織委員会が組織したシンポジウム、各committeeなり commissionが組織したもの、および参加者が複数の国共同で個人企画したものの3種類があった。
 シンポジウムと個別セッション以外に、初日の開幕講演は、James Moore教授の“Darwin’s Sacred Cause”、他2講演がなされた。Plenaryセッションは、他に第4日の午前中にRobert Halleux教授(リエージュ大学)の“Technology Transfer in Early Modern Europe”、他2講演、また最終日の午前中にもAlexander James教授の“Antikyrthera Mechanism: Its Meaning for Greek Astronomy”、他2講演がなさ れた。この企画は、従前の大会で同様に行われてきたが、国際的に見て有益な最近の研究が反映されており、参加者とくに若い研究者には興味あるものであったと見られる。
 今回は、日本からも50人の参加者があり、その中には多くの大学院生もその数に含まれている。日本人により組織されたシンポジウムもあった。地理的に距離が離れている割には、多くの日本人参加者があり、それは韓国からの参加者の数と対照的であった。前回の開催国であった中国からの参加者は多く、また積極的にシンポジウムも組織していた。学会総会で、時期会長に中国の科学史家である劉鈍教授(中国自然科学院)が選ばれたこともあり、今後中国と台湾の科学史家はより積極的に国際学会に参加していくものと思われる。
 日本関係のテーマもかなり報告され議論されたが、この点では、外国人による日本研究が盛んになっていることがうかがわれた。しかし、日本研究をしている日本人、しかも外国語で議論できる日本人がまだ少ないことに問題をも残している。今後、より多くの日本からの参加が望まれる。
  次回開催予定
   2013年 7月末
                            

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