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1 会議概要
1)名 称 (和文) IAP (InterAcademy Panel) 執行委員会
(英文) IAP Executive Committee Meeting
2)会 期 平成20年9月8?9日(2日間)
3)会議出席者名 土居範久副会長(国際委員会委員長)、武市正人第三部会員(国際対応戦略立案分科会委員長)、原嶋耐治参事官、中村典子参事官付補佐
4)会議開催地 オタワ(カナダ) The Academies of Arts, Humanities and Sciences of Canada
5)参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者) IAP 執行委員会メンバー(共同議長2名のうち、1名は欠席)、11ヶ国、事務局、オブザーバ、ゲスト等、計33名
6)会議内容
・日程及び会議の主な議題
2009年9月8日(月)
・ Report on Activity
・ Financial Report
・ Request from IAMP
・ Report of Programmes and Strategic Planning
・ Report of Membership Committee
・ Report of Fundraising and Finance Committee
・ Report of Publications and Public Relations Committee
・ Report Review and Evaluation Committee
・ Discussion on IAP/IAC Committee
・ IAP Statements
・ Invited Talk: The Asteroid Impact Threat: Discussions Upcoming
2009年9月9日(火)
・ Breakfast Presentation: “On the Science of International Development”
by Prof. Bruce Alberts
・ Report on the IAP Young Scientists’ Conference / World Economic
Forum Annual Meeting of the New Champions
・ IAP Conference and General Assembly January 2010
・ Reports from Observers
・ Next EC Meeting
・ Any Other Business
・ Conclusions
・ Site Visits: National Research Council
・審議内容・成果等
- 2008年度決算と2009年度予算案の審議
- IAPプログラム(2009年開始予定)の審議
- 2010年IAP総会時開催予定のカンファレンステーマの審議
など
2.会議の模様
(1日目:2009年9月8日 月曜日)
9:00- 9:40 Welcome
・ 工業省大臣(Ministry of Industry) Hon Jim Prentice氏から歓迎の言葉があった。
・ 共同議長Howard Alper氏から、共同議長の一人Chen Zhu氏が中国政府の用務のために欠席せざるを得なくなったことの説明があった。また、キューバのアカデミー会長Ismael Clark Arxer氏がハリケーンのために出席できないとの報告があった。
9:40-10:00 Report on Activity: 事務局長Hassan氏より以下の報告があった。
・ ドイツLeopoldinaに対して、前回のIAP執行委員会で加盟を了承し、最終的な決定を2010年のIAP総会で行うことを連絡した。これでIAPの加盟アカデミーは98となる。
・ 韓国KAST、Srpska共和国Academy of Sciences and Arts、コソボAcademy of Sciences and Artsから加盟申請を受け取り、これをメンバーシップ委員会のPastrana氏に送付した。
・ 活発な活動が行われているアカデミーがIAPに加盟するようにすべきであるとの発言があり、日本における日本学術会議加盟が好例としてあげられた。
10:00-10:20 Financial Report
・ 机上配布資料IAP THREE YEAR FINANCIAL REPORT FOR 2007-2009により審議の上、執行委員会としてこれを了承した。なお、Contribution to IAMPについては、次の議題で審議の上、別途、執行委員会で承認を得ることとした。
- 2008年のUS$3,000,000と比較すると、2009年収入額はドル高の影響も受け、$3,050,000と若干の増加となった。
- 2008年の経費は、総額$1,380,000であり、既に$970,000が使用済みとなっている。
- 2) Meeting and Conferencesの項目についての計上額(2009年$400,000)はニュースレター、インターネットへの活動報告等に利用予定。
- Conference for Young Scientistは本年9月に初回の会議を行う。2008年分予算額については未使用部分が残っている。2008年の例をもとに、2009 年以降も募集を予定し、2009年度には$80,000を計上予定。
- 2009年のScientific Projectsについて$750,000を計上しており、実施プロジェクト数を増やしたいとの意向が示された。
- Contribution to IAMPとして、IAMPへの支援として、2009年に$370,000を予定。
- 予算額総計は$1,600,000。
10:20-10:30 Request from IAMP
・ 共同議長Chen Zhu氏からHoward Alper、Mohammed Hassan両氏宛てのメール Changes of Italian government funding policy to IAMP(2008年7月4日)のコピーが配布され、IAMP 共同議長Guy de The氏からその背景が説明された。また、同氏からIAMPへの支援についての論議のために自らが退席する旨の申出があり、同氏退席後に以下の議論が行われた。その上で、IAPとして、1~2ヶ月のうちにIAMPから明確な計画を求めて、2008年に$50,000を援助する案が承認された。
- IAMPへの資金拠出として、事務局経費$50,000が必要である上に、プロジェクトに対する支援($50,000)も必要であろうという意見が出された。
- IAMPの問題点として、資金確保が難航したことに加え、指導力が弱いことが指摘され、援助は期限付きとすべきであるという意見があった。
11:00-12:15 Report of Programmes and Strategic Planning
1. Review of Process for Second Round of Programmatic Activity
・ 取りまとめ担当のTracy Elliott氏(Royal Society, Dr. Bernie Jones の後任)から2009年用に採択すべきプログラムの審議経過と結果の説明があった。
- 提案は32件であったが、うち15件は要件を満たしておらず、直ちに却下した。
- Capacity Buildingに分類されたプログラムについて、今回は1名がReviewしたが、今後は複数のReviewerが必要であるとの見解が示された。
- 2008年に採択された7件のプログラムに関連する新規プログラムについては、2008年のプログラムとの違いを明確にした上で、2008年のプログラムの進行状況を調査した上で、採否を決定する必要があることの指摘があった。
- 2009年のプログラム採択課題6件の案が提示され、承認された。総額は$233,500の見込み。
・ 次回に向けての以下の改善案が提案され、執行委員会でこれを承認した。
- プログラム課題提案の締切を3月とする(今年は6月)。
- 各国アカデミーが4-5名を推薦して、Reviewerのプールを作る。
2. IAP Strategic Plan for 2010-2012
・ Tracy Elliott氏より2010年1月に開催されるIAP総会に向けて、Strategic Planの策定計画案が示され、執行委員会で承認した。なお、IACとの関連をより効果的に盛り込むことも必要であるとの意見があった。
12:15-12:30 Report of Membership Committee
Sergio氏(キューバ)から以下の報告があり審議した。
1. 新規メンバーシップについて
・ 新規メンバーシップにつき3つの申請書が提出された(コソボ、韓国KAST、スルプスカ)
・ コソボ及び韓国KASTについては以前からの申請であり、本執行委員会で承認することとした。
・ スルプスカについては、審査のために十分な時間が必要であるとして今回は却下することとした。
2. IAP Survey について
・ 35ヶ国のアカデミーから返答が届いているとの報告があった。執行委員会メンバーアカデミーであっても返答していないところがあった。日本学術会議は報告済み。
・ 次回の総会(2010年、英国・ロンドン開催予定)では冊子を配布したいとの意向。45~55アカデミーからの提出となるよう努力する。
・ IAP創立15周年記念の企画として冊子とHPの両方でIAP Surveyを公表する。また、イタリア政府にもIAPの活動の一つにこうした企画があることを示すこととした。
12:30-12:45 Report of Fundraising and Finance Committee
Alper氏(共同議長)から以下の報告があった。
・ IACと共同で寄附金集めのための活動をしている。
・ 前回のIAC会合の後にトリエステを訪問した。イタリア政府の交代前まではIAPとの関係もよかったが、現在はなかなか厳しい状況にある。
・ 2008年6月に新しい財務大臣と会合をもったが返答を貰うことができなかった。在イタリアカナダ大使に相談するのも一案かと考えている。
12:45-13:00 Report of Publications and Public Relations Committee
Lambeck氏(オーストラリア)から、IAP案内冊子の最新ドラフトが示され、その説明があった。
14:00-14:30 Report Review and Evaluation Committee
Alper氏から以下の報告・提案があり、いずれも了承された(机上配布資料あり)。
・ 昨年にProposalが却下されてからあまり進展がみられないものもあった。
・ Women Education及びHealth Matterは順調であり、評価結果もよい。
・ Reportは統一様式で記載すべきであり、これによって平等な相互評価が可能となる。ただし、統一様式を利用するほうが評価面では都合がよい反面、プロジェクトの特性を表現しきれなくなる可能性もある。
・ 配布資料の項目に従って書き直しが必要な提案もある。次回の評価対象となる新規提案については、統一様式を採用する。また、書直し等が必要な提案についてはメールで連絡することとする。
14:30-14:45 Discussion on IAP/IAC Committee
IAP/IAC関係についての報告がBruce Alberts 氏(IAC Co-Chair) とJohn Campbell氏 (IAC Executive
Director) から行われた。また、これらに対して共同議長Alper氏から以下のような見解が示された。
Alberts氏発言要旨:
・ IAC Board Memberが任期切れとなり再選となる。2/3のmajority voteにより新理事リストが承認される。本プロセスは電子メールにて実施予定。
・ IAC Reportの影響は多大であるのにもかかわらずIACの知名度は低い。
・ 国連前事務局長アナン氏からのScientific Advisory の要請が契機となって設立されたIACであり、アフリカの農業についてはこの10年の間に大きな影響を及ぼすことができた。一方でHIV/AIDSの問題が残されているにもかかわらず、この研究はあまり進んでいない。世界は刻々と変化しているということをもっとよく理解してほしい。
・ 4本のIAC Reportが公開となったことはよいニュースであった。今後は法律や規則の改訂等必要となる問題にも対応する。一例は炭素回収(Carbon
Capture)の課題である。
Campbell氏発言要旨:
・ 長期目標を立てる必要がある。
・ IACとIAPの明確な役割・分担が明確というわけではないが、特別な課題にはIACが対応し、新規課題の提案はIAPが行っている。一例として、IAC
StudyのフォローアップをIAPが行っていることがある。
・ Scientific Strategyを世界に向けて発信するには、こうしたIAC/IAPを通すとよい。
Alper氏発言要旨:
・ IACとIAPは、互いを必要とするばかりでなく、それ以上のものがある。
・ Working as a team の大切さがある。Teamとしては、Scientist、Politician等がプレーヤーとなる。
・ 忘れがちになるキーエレメントは、Sequencing、Roles and Responses、Practice、そしてProtocolである。
・ IAC&IAP Taskforce Committeeとして4~6人のメンバーを選びたい。
14:45-15:15 IAP Statements
GMO Statement に関して、Sergio氏から報告があった後、以下のような意見が出された。Statementについてこれを了承した。
・ GMOのことは多くの人が知っているため、IAPは必要なことには対応できるように準備しておくことが必要だと思う。
・ 事実に基づいた批判をすることも必要であるし、Governanceという目的ではバランスのとれた意見を表明することも必要である。
・ GMOについては、IAP、ICSU、RS、German Academy等が声明、レポートを出している。
・ Target Activityを決める場合、Government、General Public、Scientistを巻き込むことが必要。
・ ICSU Report for GMOには7つのアカデミーが関わり、色々な見地からのReportとなっている。
・ カナダはGMO製品の生産がNo.1である。反対の声や議論はない。一方でキューバはGMO製品消費量がNo.1である。
・ GMOについては問題が複雑であるため、専門家の意見が必要であり、また、企画立案担当者も必要である。
Biofuelに関しては、ワークショップを開いて、科学的視点からStatement案を詰めることになった。
15:15-15:45 Invited Talk: The Asteroid Impact Threat: Discussions Upcoming
(R. Schweickart)
Asteroid(特異小惑星)、Near-Earth Object(地球近傍天体)については、そのほとんどを追跡して脅威への事前警告を行うプログラムを実施していることが紹介され、これらの物体の地球接近への対応を国際的に行う必要性のあることが述べられた。
(2日目:2009年9月8日 月曜日)
7:30-9:00 Breakfast Presentation: “On the Science of International Development” by Bruce Alberts
・ Bruce Alberts氏は“Molecular Biology of Cell”の著者としても著名であり、Science誌のEditor
in Chief。現在、IACのCo-Chair。
・ この講演には、IAP執行委員会への参加者だけではなく、カナダ国内のアカデミー関係者だけではなく、政府関係者も参加した。
・ Science Education(科学と教育)にフォーカスを当てたプレゼンテーションがあった。なかでも、Scienceは科学者が思う以上に大切であり、重要な政策方針の決定のためにはScientistから成る組織が必要となるという見解を明確に示した。そのために、科学に関する国際組織であるIAP及びIACの重要性が述べられた。
・ 「まとめ」として以下の点が強調された:
- 重要課題に対する戦略的手段の一つとして科学を捉える必要性。
- 大学強化に向けての協力体制の創出。
- 持続可能な発展に向けての科学の役割の認識強化。
9:00-9:30特別議題:IAC&IAP Taskforce Committeeについて
Hassan事務局長よりTWASについて以下のような現状報告があり、IAPとして以下の方針を了承した。
- ユネスコはManagementに関連しては支援してくれるものの、事務局分の資金拠出は受けることができない。
- TWASは現在イタリア政府からの支援を受けている。
- 現在、IAPとIAMPとTWASの3つの組織が一つの事務局をシェアしている。
- Hassan事務局長は来年、引退予定であるため、事務局長を募集しているが、同時に2人の事務局職員を新規採用する。採用条件等は国連の同等職務についてのものを準用予定。採用プロセスを決定して募集する。
9:45-9:55 Report on the IAP Young Scientists’ Conference / World Economic
Forum Annual Meeting of the New Champions:
・ 53名をアカデミーの推薦に基づき派遣する。参加者は企業、ビジネス、政府関連、その他である。
・ 今回はYoung Scientistに発表させるということではなく、パートナーシップを築かせることが一番の目的である。
・ IAPが募集している若手科学者の派遣は2009年以降も継続する。
9:30-10:45 IAP Conference and General Assembly January 2010
Casselton氏、及びElliott氏から、2010年のIAP総会の開催について以下のような報告があった。
・ 2010年にはRoyal Societyが設立350周年を迎えるので、会議開催、総会のホスト役を引き受ける。RS担当はTracey Elliottとなる。日程は2010年1月で考えており、260名のメンバーアカデミー代表が集うものと予定している。
会議テーマとしてBiodiversityを検討していることが報告され、関連して以下のような意見が出された。
・ Biodiversityについては2010年に国連の “The 2010 Biodiversity Target” がある。「気象変動」にも影響するという点も重要である。
・ テーマは “Sustainable development of Biodiversity” というのはどうか。
・ Biodiversityは発展途上国にとっては非常に重要な問題であるので適切なテーマである。 IAPで早めに総会に向けて5~10名で組織委員会(Organization
Committee)を設置することとした。
11:15-11:45 Reports from Observers
1) IAC (John Campbell氏)
・ IAC Board Meeting が2009年3月末にアムステルダムにて開催予定である。
・ IAC理事の任期が切れるため改選となる。改選にあたっては、IAPからのアカデミー推薦、プライオリティーについての情報収集、Selection
Committeeによる選考(地域バランス、資金拠出の可能性等を考慮)というプロセスを通して決定された新理事名簿を現理事宛にメールにて送付した。現理事並びに投票権を認められている組織によるメール信任投票が行われる。投票権は18のアカデミーもしくは組織に認められているため、2/3にあたる12アカデミー/組織の信任が得られると、新理事が決定する。
・ 新理事候補として新しく指名されたアカデミーは、オーストラリア、アルゼンチン、ドイツ・レオポルディーナ、インドネシア、南アフリカである。
・ 現理事であって新理事ではなくなるアカデミーは、チリ、イラン、ハンガリー、マレーシア、ドイツ・DFGである。
・ IAC事務局はオランダで新しいスタッフを募集する(Programme Coordinator)。詳細当はメールにて連絡を出す予定。
・ IAC プログラムについては、以下が進行中:
- Global Surveillance of Infectious Diseases
- Strengthening of African Universities
- IAP Water Programme
・ IAC&IAP TaskforceとしてKreiger氏(ブラジル)により、以下のメンバーが推薦され、これを承認した。
- John Campbell、Bruce Alberts、Mohamed Hassan、Howard Alper、Paulo de Goes、Robbert
Dijkgraaf
2) ICSU (Mehta氏)
・ ICSUの説明とビジョンの紹介があった。
・ 2006年?2011年のStrategic Planについて説明があった(2005年総会時に承認された内容:three-year consultation)。
・ 新規プログラムについての説明があった(Environment、Energy、Ecosystems、HealthがKey Issuesとして紹介された)。
・ こうしたプロジェクトの主な目標はSocial Scienceであることが強調された。
・ Goals of ICSUの紹介があった(Science Policy、Science for Sustainable Development等が強調された)。
・ 2008年10月20日?24日の日程にて、アフリカモザンビークにて総会が開催されることの案内があった。
・ 追加情報として、ICSUはNGO Independent Organizationであること、ユネスコからのサポートを受けていること、Peer Review Systemを導入していることが紹介された。
3)IAMP (The氏)
・ 2001年に東京にて発足し、フランス・パリに本部を置いていることの説明があった。
・ 64のアカデミーがメンバーとなっており、そのうち54がScience関連のアカデミーであり、29がMedicineの分野を抱えているアカデミーであることが紹介された。
・ Young Scientistにフォーカスを当てたワークショップを開催しており、未対応疾患についてもフォーカスを当てている。
・ 9月15日からの週に、メキシコシティーにて執行委員会を開催する予定である。
・ 現在、資金集めに関して問題が生じており、IAPと協力して問題解決に当っている。来週の執行委員会にてイタリア政府宛のプロポーザルを決定予定である。
11:45-11:55 Next EC Meeting
・ 次回のIAP執行委員会は、2009年3月にアムステルダムで開催予定。IACにとっては現在の理事メンバーの任期切れ直前の理事会となり、新理事も参加した形でのIAP&IAC
Joint-Meetingになる。
・ 次々回2009年第2回の執行委員会は日本で開催する見込みであるとのAlper氏の報告に対して、日本学術会議から、高い確率でホストを引き受けることができるとの申し出を行い、政府予算によるので現時点では確定的なことはいえないが2008年末には見通しがつくとの説明を行った。開催時期に関しては、2010年1月にロンドンで総会が開催されることを考えると、2009年秋の執行委員会は9月上旬開催が望ましいとの見解が示された。

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