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代表派遣会議出席報告
1 会議概要
1)名 称 (和文) 国際農業工学会2008年執行役員会及び関連会議、国際会議「技術は発展のための知の共有」 
      (英文) The 2nd CIGR International Conference in Brazil, Presidium and Related Meeting and “Technology for All: Sharing the Knowledge for Development” (CIGR: International Commission of Agricultural Engineering)
2)会 期 平成20年8月30日?9月4日(6日間)
3)会議出席者名 前川 孝昭、真木 太一、佐藤 洋平
4)会議開催地 ブラジル国 イグアスホールズ市
5)参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者) 48カ国、800名、25名
6)会議内容
・日程及び会議の主な議題
8月30日 9:00-12:00 CIGR、会則改正委員会

 CIGRの英文標記をInternational Commission of Agricultural Engineering(ICAE) からInternational Commission of Agriculture and Biosystems Engineering(ICABE) と標記することが提案され、承認された。
8月30日 13:00-17:00、 CIGR執行役員会
 1)事務局長として会長を補佐し会則改正委員会の最終案の内容の確認作業、理事会、専門技術委員会及び総会提出議案を作成した。
 2)表彰式(E-journal 賞、Armand Blanc賞(30歳以下の若手研究者の表彰制度)、CIGR会長賞、CIGR名誉会長賞、名誉副会長賞)の選出結果を事務局が整理した内容を提出し、承認された。
8月30日 18:00-21:00、CIGR理事会
 1)CIGRの活動・予算等について2009年までの計画案を提出し、承認を得た。
 2)2016年までのCIGR主催会議を決定した。更に2010-2013の次期事務局体制について審議し,承認を得た。すなわち、先の学術会議CIGR分科会で決定した次期CIGR事務局を筑波大学から北海道大学に移動する件が承認された。
 3)2011年の東京での国際シンポジ-ムの提案は、承認された。
 4)2006年Bonnの総会では空席となっていたWG VII 「Rural Landscape Protection and Valorisation」の議長として日本側提案の大野 研氏(三重大学准教授)が承認され、総会での承認を諮ることが承諾された。
 5)2008年1月から運用を開始した新規なCIGR Website を利用したCIGR 電子ジャーナルの投稿及び審査の自動化(Open Journal System(OJS))に移行することを審議し、承認された。また、このOJSについては9月2日 19:00-20:30にCIGR 電子ジャーナル編集委員会編集委員長B. Stout 名誉教授(Texas A&M 大学)の主宰で投稿、審査、出版までの一連の作業工程の詳細を公開した。
 6)ガーナ国の農業工学会が国会員として、登録を認められた。
  また韓国農業工程学会が韓国農業機械学会と交代で国会員としての登録を承認された。その他キプロス・トルコ農業工学会の登録について慎重に審議し、政治的要素を排除して会員登録を認める方法として事務局案の協力会員(Cooperate Member)として登録することが承認された。
 7)理事会の審議内容を取りまとめた議事要旨をCIGR Websiteに掲載し、CIGRの運営の透明性を高めることが承認された。
8月31日 9:00-12:00、CIGR 専門技術委員会
 セクションIからセクションVIIの委員会の活動状況及びワーキンググループの報告ならびに新規ワーキンググループ設置の検討を行った。この委員会にはCIGR理事会の理事も参加し、セクションIVの農業電化委員会(梅田幹雄議長)の名称変更の提案を審査し、農業エネルギー(Energy in Agriculture)部会とすることが承認された。   
8月31日 19:00-20:30  開会講演
 ブラジル国農林大臣 Roberto Rodorigues 氏の「ブラジルにおけるアグリビジネス」と題する開会記念講演に出席した。この時のスライド75枚はwww.cigr.orgに公表されている。    
9月1日-9月4日 9:00-17:00、口頭講演発表及びポスター発表
 人類の持続発展に寄与する農業工学の統一テーマの下にブラジル農業工学会及び米国農業工学会との共催による研究発表会ならびに学術研究旅行(1日)が実施され、約400課題の講演発表と800課題のポスター発表があった。    
9月3日17:30-19:15、CIGR総会
 CIGR総会を開催した。
 1)次期会長にFedro Zazueta教授(米国フロリダ大学)が、次期事務局長に木村俊範教授(北海道大学)が各々満票で選出された。
 2) 2006年のドイツにおけるCIGR国際コングレスで設置が認められた会則改正委員会の提案した会則改正案を審議し、承認された。
9月3日 19:30-19:45、CIGR表彰式
 CIGR表彰式を事務局長補佐のもとに行なった。なお、E-journal賞には3論文採択され、そのうち1論文は日本人研究者の論文が表彰されている。   
9月4日 7:30-17:00、テクニカルツアー
 学術研究旅行は世界最大の水力発電設備(2班)、現地農業及び支援研究機関(2班)を訪問する合計4班に分かれて実施された。参加者数は約100名で、参加費は開催国側負担であった。前川は日本農業工学会会長の真木太一教授とともに第4班目の不耕起栽培を豆科植物ととうもろこしのローテイション農法を実施している農家、有機野菜を中心としたコミュニティが提供するランチサービスならびに農家の若手農業者の農業離れを阻止するための高所得農業を指導するSanta Helena 市に位置するブラジル農業試験場の普及活動を見学した。
9月4日 18:30-20:00、新執行役員会
 CIGR新執行役員4名(Soren Pedersen, Fedro Zazueta, Irenilza A. Naas, Takaaki Maekawa)による執行役員会を開催した。
 1)2009年度の主要な議題は総会で承認された財政基盤の強化、事務局提案の会則内規の審議、表彰規定の見直し作業、使用ロゴの統一と使用許可の手法確立、CIGRと国会員及び地域会員との共催・協賛の協定の締結などを審議する新規問題解決委員会(仮称)の設置と議事骨子の検討を行った。    
 2) 2008年度に事務局が提案し、執行委員会で前会長の反対で実施できなかったインターネット会議について論議した。CIGRの活動がグローバル化し、審議内容も多岐に渉るので、各国会員/地域会員の旅費、人件費の節約を図るために、インターネット会議をSkypeシステムの導入を図ることで行うことを検討することで意見が一致した。

2.会議の模様
1)「人類の持続発展に寄与する農業工学」の課題でブラジル農業工学会と米国農業工学会との共催による研究発表会ならびに学術研究ツアーが実施されるとともに、口頭講演発表とポスター発表があった。今回の課題は、専門技術部会にとらわれない学際的、専門横断的に関連する研究集会をA1?A5ブロックに設定しており、研究者の専門性を意識したプログラムであった。
2)次期(2010-2013年)CIGR事務局を北海道大学に置くことが第50回CIGR総会で決定された。事務局長は同大学木村俊範教授である。なお、現在事務局は筑波大学にあり、同大学名誉教授前川孝昭が任期:2006-2009年の任期で事務局長を務めており、2010年のカナダ国ケベック市の国際コングレスの開催を円滑に実施できるよう、周到な事務引継ぎが必要となる。
3)提出論文
 人類の存続にかかわるエネルギー、資源、環境の整備を主要テーマに、このコンファランスでは学際型、専門多重型プログラム編成が試みられた。この会議の運営組織をブラジル農業工学会が担当し、米国農業工会の畜産環境国際シンポジューム部門(ILES)及び農業ロボット部門(ATOE)の共催を含めて開催された。一部、浸食の激しいコンクリートの耐久性の問題を含めた特殊な部門(CSAE)も併設された。
4)学術的内容に関する事項
 研究発表の中には水・土地利用部門では、水の量的確保だけでなく、省エネを図る水の確保ならびに水質浄化を図る水質の向上を含めた研究が目立った。 環境に関して、面源の汚染防止を気象条件や地理的条件の活用や栽培技術の工夫による亜熱帯特有技術の開発が精力的に試みられている。食品加工部門では、IT技術の導入を含め、食品加工、流通の近代化を技術開発が顕著に見られたが、先進国の技術水準に達した研究が少なかった。GISによる精密農業等の発表も目立った。しかし、実際の農業、とくに圃場での情報を自動的に収集する鍵となるセンサー開発等のハードウエア面での研究開発の進展が今一歩と感じた。

次回開催予定
・第17回CIGR世界大会:2010年6月13?17日、カナダ国、ケベック市
・CIGR国際シンポジム:2011年9月19日?23日、日本国、東京
・第3回CIGR国際会議:2012年7月8日?12日 スペイン国、バレンシア市
・第18回CIGR世界大会:2014年秋  中国、北京市

閉会パーティ理事会終了後不耕起栽培農家訪問









(左)左から、真木日本農業工学会会長、佐藤CIGR理事、次々期CIGR会長Prof. Zazueta、前CIGR会長Prof. Pereira、前川CIGR事務局長、閉会パーティにて
(中)CIGR理事会終了後(執行役員、理事など)
(右)テクニカルツアーで不耕起栽培農家訪問(10年間にわたる細かいデータを収集し、不耕起栽培の正しさを確認している。)2008.9.4

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