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代表派遣会議出席報告
1 会議概要
3年毎に開催される生物物理学の国際会議で米国生物物理学会との共催として開かれた。開催中に第17回IUPAB総会が持たれ、次期役員が改選された
1)名 称 (和文)第16回IUPAB国際会議/第52回IUPAB総会
      (英文)16th International Biophysics Congress (IUPAB) and Biophysical Society 52nd Annual meeting (USA)
2)会 期 2008年2月2日~6日(5日間)
3)会議出席者名 永山國昭、難波啓一 他  
4)会議開催地 米国 ロングビーチ市   
5)参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)参加国数:50カ国、参加者数:5,500人、日本人参加者数:25名
     
6)会議内容
・日程及び会議の主な議題
  
2/2~2/6、生物物理全般の学術講演と第17回IUPAB総会                     
・会議における審議内容・成果
 学術講演数3,600、参加者数5,500、総会では次期(2008~2011)の役員と理事が改選された。次期IUPAB会長に日本理事、永山國昭が選ばれた。  
・会議において日本が果たした役割
 学術面では日本活動が米国の年会の中に埋没した感がある(日本からの発表総数は約30で全体の1%以下)。
2.会議の模様
 今回米国Long Beachで行われたIUPAB Congressの正式名称は長い。“The Joint Biophysical Society 52nd Annual Meeting and16th IUPAB International Biophysics Congress”。2重の意味でこのjoint meetingはIUPABにとって苦い歴史の一頁になったようだ。1つは、アメリカ一国の生物物理の圧倒的パワーを見せつけられたこと。もう一つはIUPAB傘下の加盟国の参加が少なかったこと。一言で言えば、常に5,000人以上の参加人数を誇る米国Biophysical Society (BS)年会に平均1,000人程度の参加者しかいないIUPABが飲まれたということである。BSでは、学会員の1/4が外国人会員であり、また年会発表者の半数以上を留学生が占めるので年会自体が国際的である。しかし、BSとIUPABの国際性はある意味で全く正反対である。BSは、世界のトップレベル研究が競う意味の国際性であり、IUPABは傘下50カ国それぞれが自分たちのレベルを示すと言う意味の国際性である。両者のこの性格の違いが、共同開催の運営全てに影を落とし問題を生んだ。
 両学会の共同プログラム作成時に特にこのことが現れたようだ。過去のIUPAB会議では、地域、国別バランスをある程度考慮し、米国勢と言えどもシンポ招待講演者は30%を超えることはなかった。今回は全く逆となり、米国外の招待講演者が30%強となった(120人中36人)。その結果、いつもなら日本には10人以上の招待があったが、今回は3人に留まった。アジアからはこの他に中国から1人のみ。いつも相当数の招待講演者を出すドイツ、英国ですらそれぞれ11人、8人であった。これは、21あったシンポジウムがほとんど例年のBS年会と同じで形で行われたためである(各シンポジウムのオーガナイザーに人選全てを一任)。IUPABはもちろんこのプログラムに不満でクレームを付けたが、結局2月2日(土)初日のサブグループ会合(9つの会合)に多くの外国人(非米国勢)を招待することで調整が図られた。最終的に総参加者5,500人、口演、ポスター総発表数3,600、参加国数52、200の企業出展があった。
 2005年のモンペリエでの欧州生物物理学(EBSA)連合およびフランス生物物理学会との共同開催の成功は、Long Beachではついに再現されなかった。2005年はIUPABとEBSAのスケールバランスが良かったが今回はBSがあまりにも巨大すぎかつ独自の組織原理を持っていたためであろう。やはり彼我の差を認めざるを得ない。
 しかし、今回の経験は次回2011の北京の共同開催に生かせるはずだ。IUPAB 2011は中国生物物理学会および北京生物物理学研究所との共同共催、ABAとの協催である。1978年の奈良IUPAB Congress以来2度目のアジア開催である。
 次回開催予定 2011年10月29日~2011年11月2日会議模様



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