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代表派遣会議出席報告
1 会議概要
1)名 称 (和文)IAP (InterAcademy Panel) 執行委員会
      (英文)IAP Executive Committee Meeting
2)会 期 2008年1月30日-31日
3)会議出席者名 武市正人第3部会員(国際対応戦略立案分科会委員長)ほか  
4)会議開催地 アムステルダム(オランダ),Royal Netherlands Academy of Arts and Science   
会場 5)参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)IAP 執行委員会メンバー(2共同議長+11ヶ国)、オブザーバ、ゲスト等、計35名。なお、1月30日にはIAC (InterAcademy Council)との合同会議として行われ、参加者は約50名程度であった。
            
6)会議内容
・日程及び会議の主な議題
  
1月30日(水) IAP/IAC Joint Session
Welcoming remarks by Fritz van Oostrom, KNAW President
Welcoming remarks by IAC and IAP Co-Chairs
IAC-IAP Cooperation
Transitions to Sustainable Energy Systems follow-up to IAC report
Follow up to IAC report: Women for Science
Global Water Issues potential new IAC study
Discussion of additional topics for academies cooperation worldwide
1月31日(木) IAP Executive Committee Meeting
Welcome by host academy: Fritz van Oostrom (KNAW President)
Opening remarks
Confirmation of previous EC minutes (Canberra)
Matters arising from the Minutes
Secretary report
Financial Report 2007 and Budget 2008
IAP/IAC Workshops: Plans by regional networks
IAP Young Scientists Conference (Leaders of Tomorrow)
Reports of Committees
IAP Statutes and Rules of Procedure
IAP Statements-new proposals
Cluster Workshops
Next EC meetings
Any other business
Conclusions                   
・審議内容・成果等
 2008年度第1回のIAP執行委員会は、前回の会合における合意に基づき、直前に行われたIAC理事会(IAC Board)と合同でIAC/IAP合同セッションから始まった。合同セッションにはIAC理事会に参加の金澤一郎会長と唐木英明第2部長も出席した。合同セッション開催の目的は、異なるアプローチをとっているものの、同様の使命・任務を共有しているIAPとIACが相互の理解を深めて共同で科学の推進に努めることであった。  
 IAP/IAC合同セッションでは、IAPとIACの相互理解のための覚書 (Memorandum of Understanding between IAP and IAC, MOU)の調印が行われた。そこには、IAC Studyの成果報告をIAPのプロジェクトとして実施する可能性に言及しており、Women for ScienceとGlobal Changes (Water for Sustainable Development等)に関するIAP/IAC共同ワークショップの提案があり、IAP執行委員会で検討することとなった。  
 IAP執行委員会では、
 ・ 2007年度決算と2008年度予算案の審議
 ・ G8サミットへ向けての科学アカデミー声明の準備状況の報告(唐木第2部長)
 ・ IAP/IAC共同ワークショップの審議等 ・ 定款の改定等の審議
 が行われた。  
2.会議における審議内容
 IAPは1993年に設立された国際的科学アカデミーネットワークで、現在94ヶ国のアカデミーが加盟している。IAPは国際的に重要な事項について科学的観点から関連アカデミーを支援して国民と政府に提言することを目的としており、とくに、設立間もないアカデミーや小規模アカデミーがこのような目標を達成できるよう支援している。IAP執行委員会(Executive Committee)は2名の共同議長(Co-Chair)と11ヶ国のアカデミー代表から構成され、日本学術会議は2007年から3年間の任期で、前期より継続して執行委員会メンバーとなっている。なお、執行委員会11ヶ国の構成は、6ヶ国は発展途上国から、5ヶ国は先進工業国から選出されることになっている。現在の執行委員会の構成は
共同議長
 Professor Chen Zhu (Minister of Health,China)
 Professor Howard Alper (RSC: The Academies of Arts, Humanities and Sciences of Canada)   
アカデミー
Australian Academy of Science, Bangladesh Academy of Sciences, Academia Brasileira de Ciencias, Brazil, Cuban Academy of Sciences, Academy of Scientific Research and Technology, Egypt, Union of German Academies of Sciences and Humanities, Science Council of Japan, Akademi Sains Malaysia, The Royal Netherlands Academy of Arts and Sciences, Académie des Sciences et Techniques du Sénégal (ASTS), The Royal Society, UK
である。  
 今回の執行委員会会合には、すべてのアカデミーが出席し、活発に議論が行われた。
1. 2007年9月~2008年1月までの活動状況の報告  
Hassan事務局長から資料が配布され、活動報告があった。
・ 前回の執行委員会の審議に基づき、申し出のあったモンテネグロ、スーダン、モーリシャスの各アカデミーへメンバーとして受け入れる方向であることが伝えられた。正式には次回の総会で承認される見込みで、これらを含めるとIAPメンバーは97団体となる。また、同様に、モロッコの代表となるアカデミーの変更も了承の旨伝えられた。
・ コスタリカ、ベトナム、アフガニスタン、北朝鮮(DPR Korea)、アゼルバイジャン、トルクメニスタンにIAP加盟に関して連絡を行った。
・ Review and Evaluation委員会のメンバーが、委員長E.Vesentini氏(イタリア)、トルコ、スエーデン、ケニア、インドからの推薦による委員により確定した。メキシコにも推薦を求めている。
・ IAPパンフレットが近く印刷される見込みである。オーストラリアが担当している。
・ 2007年度に決定した2008年度から実施する7件のプロジェクトを公表した。総額は$290,000。
・ 定款の改定原案をメンバーに提示して意見を求めた。今回の執行委員会で議論する。
2. 2007年度決算と2008年度予算案の審議  
 Hassan事務局長より、2007年の決算について報告があり、了承された。2008年度予算について、とくに、$100,000をIAP/IAC共同ワークショップのために計上していることの説明があり、共同議長から、これを強く推進したいとの意向が表明された。IAMPへの$50,000の支援について意見が交わされた。これらの意見交換の後、予算案は了承された。関連して、前回、申し出があった中国からのCapacity Buildingのための寄附金($100,000) の一部の入金があったことの報告があった。
3. G8サミット声明の準備状況の報告  
 唐木英明第2部長から、日本学術会議が行っているG8サミットに向けた科学アカデミーの声明の準備状況の報告があった。唐木先生日本学術会議では、2008年7月に日本で開かれるG8サミットに向けて、各国の科学アカデミーが共同で気候変動と健康安全性について議論して声明をとりまとめる方向であるとの説明があった。また、アフリカ問題に関してHassan氏に検討を依頼したことが紹介された。
4. IAP/IAC共同ワークショップについて  
 IAC Study の成果をもとにIANAS等のregional networkから開催提案のあった女性科学者に関するワークショップ、およびエネルギーに関するワークショップについて、これをBernie氏(英国Royal Society)が委員長を務めるProgrammes and Strategic Planning委員会に諮ることとした。
5. IAP Conference for Young Scientistsについて  
 若手科学者が自らの専門分野を越えて力を発揮するための研究計画を推進する能力、専門家だけではなく非専門家とも交流し、機関レベル、国家レベル、政策レベルに変化をもたらすための指導者としての能力を身につけるための方法を議論する国際会議を開催する。計画では、2008年10月あるいは11月にフランスで開くとされているが、場合によってはタリン(エストニア)になる可能性もある。提案された計画に関して意見交換の後、開催することが了承された。IAPメンバーの各アカデミーに参加者の推薦依頼がなされることとなった。
6. 定款の改定等について  
 定款(Statutes)に定めるメンバーシップに関して、従来は1ヶ国1団体とされていたが、これを、「その価値が認められるときには(where merited)、1ヶ国から複数のアカデミーがメンバーとなりうる」こととするとの提案があった。この案については事前に各アカデミーに意見照会がなされ、日本学術会議はこれに対して、「1ヶ国から複数のアカデミーがメンバーとなる場合であっても、投票権は1票とすべきである」との付帯事項を付すよう申入れており、この件について日本学術会議から主旨を説明した。会議模様これに対して共同議長から、IAPのメンバーシップは、「国、地域、あるいは国際的アカデミーであり、各メンバーが同等の権利を有することとなっている」との説明があり、日本学術会議も原案を了承することとした。  
 手続き規則(Rules of Procedure)の改定は、執行委員会アカデミーの選出に当たっての手続きを明確に定めようとするもので、前回の執行委員会での日本の指摘により投票における同票の扱いを明記するものであり、これを原案通り全会一致で承認した。
7. 各委員会からの報告
 a. Membership 委員会  
  各アカデミーの現状や概要についての標準的な様式による説明文を用意するとの前回の執行委員会での提案に関する原案が示された。意見交換の後、英語250語以内での歴史的背景、英語による定款等を各アカデミーが用意して提出することとなった。
b. Fundraising and Finance 委員会  
CAS(中国)から、 2008年と2009年に分割してCapacity Buildingのために$100,000を提供することが再度、報告された。
c. Programmes and Strategic Planning 委員会  
IAP/IAC共同ワークショップの提案を審議することになったとの報告があった。
d. Publications委員会  
IAP設立15周年を記念してパンフレットを作成しており、ほぼ完成しているとの報告があった。
e. Review and Evaluation 委員会   
委員長と委員会が確定したことの報告があった。
8. メンバーシップに関して  
 共同議長から、定款の改定により、1ヶ国から複数のメンバーの加盟が可能となることに伴い、以前から議論されていたドイツのDeutsche Akademie der Naturforscher Leopoldinaのメンバーとしての加盟について審議したいとの提案があった。現在、メンバーであるドイツのUnion of German Academies of Sciences and HumanitiesのHeldt氏から、ドイツにおけるアカデミーの現状と、Leopoldinaの歴史や貢献を踏まえ、加盟を推薦したいとの説明があった。Heldt氏とオブザーバとして参加していたLeopoldina会長のter Meulen氏が退席した後、執行委員会の全会一致でLeopoldinaのメンバーとしての加盟を承認した。正式には次回の総会で承認される見込み。
9. Statements- Ideas and Proposals  
 Statement on genetically modified cropsについて、前回の執行委員会で構成された検討グループ(German Union of Academies, TWAS, Cuban Academy of Sciences, Royal Society)の検討状況の報告があり、これを継続して検討することとなった。  
 オランダから提案のあったBiofuelsに関する提言に関して、ブラジルのサトウキビの現状報告等、意見交換が行われた後、オランダ、ドイツUnion、米国、ブラジル、キューバ、エジプト、ドイツLeopoldina、英国、メキシコ、マレーシアで2008年末までに検討することとなった。
10. IAP Statements- current issues and future directions  
 現行プロジェクトについて具体的な結果の見通しについて報告があった。水問題(担当:ブラジル)については、次回執行委員会までに素案を示すこと、自然災害(担当:中国)については、2008年初頭に報告書を出すことを目指すことを確認した。また、GMO(ドイツ)声明については、前回の執行委員会でキューバが委員長を務め専門家を含めて検討することとしたが、あまり進んでいないとの報告があり、これに対して、次回の執行委員会までに修文を含めて検討して報告することとした。
11. Cluster Workshop  
 IAP/CEEN会議(4月、ブルガリア)とウズベキスタンでのワークショップ(5月)の計画が報告された。
12. 次回執行委員会の開催日程等  
 次回の執行委員会は、2008年9月8日-9日オタワで開催することになった。


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