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代表派遣会議出席報告
1 会議概要
1)名 称 (和文)Geoparkに関する国際フォーラムおよび国際地理学連合役員会 
      (英文)International forum on World Geopark and Executive Committee of IGU
2)会 期 2007年10月10日~17日
3)会議出席者名 田邉 裕 帝京大学経済学部長
4)会議開催地 中国、河南省、修武県 雲台山Geopark 及び 北京師範大学   
5)参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者) 8カ国、約100名、1名
            
6)会議内容
日程及び会議の主な議題

 ア)Geoparkの管理運営に関する外国、とくにアメリカの事例を中心に中国の現状との比較研究および他の諸国に対する勧告
 イ)来年度以降の国際地理学連合役員選挙と開催予定の国際会議
会議における審議内容・成果
 ア)外国からの参加者からGeoparkを「地質」に限定してしまった中国の誤りに対する批判が続出し、Geoの意味を取り込んだ訳への変更をこもごも指摘することになった。
 イ)来年度改選を迎える国際地理学連合役員の立候補状況および2014年日本が立候補を予定している地域会議の対立候補が明確になった。
会議において日本が果たした役割

 ヨーロッパ系言語で議論している場ではGeoは問題にならなかったが、 漢字を解する日本から、中国の「国際地質公園」はGeoparkではなく、 Geological parkである事を指摘したため、雲台山を視察した欧米系参加者から、なぜ鳥の鳴き声をかき消す音楽が流れ、樹木や草花、地形や地域住民の歴史、文化、経済などに関する総合的解説がないのかが、この誤訳に由来することが理解出来たとの評価を受けた。
その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
 参加者の韓国(大統領補佐官)から、自国ではできれば「地理公園」と翻訳して、自然と人文の両面から評価できる公園にしたいとの発言があった。 また米国からの参加者(グランドキャニオンガイド)から、彼らの公園内における先住民の壁画や生活などが紹介され、地質からのみGeoparkをとらえる中国側に対する痛烈な批判があり、中国の参加者からも多くの拍手が見られた。ただし、参加していた県長と県党書記はうなずいてはいたものの、変更するとは明言しなかった。
2.会議の模様
 日本ではまだGeoparkの公式訳語は出ていないが、一部の新聞では中国で使われている「地質公園」をすでに使っている。そのため日本では、日本地質学会が主導的役割を演じていて、地球惑星科学連合などでは地質学が対応している。これは広く地球科学全体として対応する必要があるし、日本は中国の誤訳をとってはならない。韓国の提案「地理公園」では、逆に地質が脱落するので、たとえば「地理地質公園」あるいは「自然環境公園」なども考慮すべきであろう。 日本としては早急に広い学問分野から代表を募ってGeopark国内委員会を組織し、世界自然遺産や世界文化遺産とは異なる公園の設置に対応すべきであろう。なお、Geoforumに関する次期会議は特に提案がなかった。 IGU役員会は来年5月にモスクワで開かれる事が決まった。ここでは来年8月に任期の終了する現役員の後任選挙に関する候補の決定と、特にIGUの財政を圧迫していたHome of Geography(ローマ)の廃止が討論される。
次回開催予定2008年5月3-10日


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