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代表派遣会議出席報告
1 会議概要
1)名 称 (和文)国際科学史・科学基礎連合(IUHPS/DLMPS)第13回 国際科学史・科学基礎連合(科学基礎論部会)会議
      (英文)13th International Congress of Logic, Methodology and Philosophy of Science
2)会 期 2007年8月9-15日(7日間)
3)会議出席者名 飯田 隆  
4)会議開催地 北京(中華人民共和国)   
5)参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)41ヶ国から500名以上にのぼる参加者があり、日本人参加者も10名以上あった。
            
6)会議内容
13回目ではじめてアジアで開催されることになったLMPS国際会議であるが、ほぼこれまで通り、大きく四つの部門に分かれて、多数の招待講演および一般講演が行われた。四つの部門とは、(A) 論理学関係、(B) 科学の一般方法論、(C) 個別科学の哲学、(D) 科学と社会、である。会期中に行われたシンポジウムのテーマは、(1) フロイトと精神分析、(2) 宇宙論、(3) 中国伝統医学と西洋医学、(4) 科学史および科学哲学におけるインターネットの利用(科学史部会との合同シンポジウム)であり、さらに、提携シンポジウムとして、(5) 中国人としてウィーン学団のメンバーであったHong Quianをめぐるシンポジウム、および、(6) 中国における論理学、という二つのシンポジウムが開催された。
 新井敏康氏(神戸大)と内井惣七氏(京都大)が招待講演を行ったほか、日本からの発表は全体で九件あり、どれも活発な議論をひきおこした。総会では、次期(2008年~2011年)役員が選出されたが、内井惣七氏が1st Vice Presidentを勤めることが決まった。                   
2 会議の模様
会議の日程は以下の通りであった。
8月9日午前 開会式 基調講演I(Adolf Grunbaum)
8月9日午後~11日 招待講演、一般講演が多数の会場で行われた
8月11日夜 総会
8月12日 休日(万里の長城ツアー)
8月13日~15日午前 招待講演、一般講演が多数の会場で行われた  8月13日夜 基調講演II(Ehud Hrushovski)
8月15日午後 基調講演III(John Searle) 8月15日夜 閉会式
 会議は精華大学の主催で、北京友誼賓館という北京の北西部にあるホテルで行われた。全体で約450件にものぼる多数の発表が複数の会場で同時に行われるというきびしいスケジュールをこなすのに、この会場は理想的であるとみえた。会議の運営も全体としてきわめてスムースになされているように見受けられた。
 会議の使用言語は英語のみで、さまざまな国からの発表者がすべて英語で発表を行い、質疑応答も英語だけでなされた。
 発表の件数がいちばん多かった分野は、論理学分野の(A2)「哲学的論理学および応用論理学」であり、それに次いだのが、科学方法論分野の(B1)「方法論および科学的推論の一般問題」であった。他方、発表件数がいちばん少なかったのは、「科学と社会」分野の(D2)「バイオエシックス」であり、3編の発表を数えるだけであった。これは、この会議がもともと、論理学や自然科学の方法論といった分野中心の会議として長い歴史をもっていることから、やむをえないことかもしれない。しかしながら、「科学と社会」と題された部門(D)の発表件数が増加傾向にあることはまちがいない。  
 主催国である中国からの発表が予想していたよりも多かったことは、大きく印象に残った。だが、他方では、科学哲学の分野ではじめてアジアで開催された国際会議であるにもかかわらず、少なくとも論文発表に限っては、アジアからの参加国が、主催国の中国(台湾からの参加者もいたことは特記すべきことに思えた)とわが国のほかには韓国とインドだけであったことも意外であった。中国と韓国の科学哲学者との交流は近年ようやくなされるようになったが、アジアでのネットワーク作りの必要が痛感される
 8月11日の夜に開催された総会(General Assembly)で、次期(2008年~2011年)の役員が以下のように決定された。
 まず、Executive Committee は、以下の役員から構成される。
 President: Wilfrid Hodges (イギリス)
 1st Vice President: 内井惣七(日本)
 2nd Vice President: Anne Fagot-Largeult (フランス)
 Secretary-General: Peter Clark(イギリス)
 Treasurer: Ralf Schindler(ドイツ)
Assessorsとしては、以下の7名が選出された。
 J. N. Butterfield(イギリス)
 Cai Shushan(中国)
 N. da Costa(ブラジル)
 Anna Estany(スペイン)
 Joelle Proust(フランス)
 M. Redei(ハンガリー)
 F. Stadler(オーストリア)
 次回の会議(14th International Congress of Logic, Methodology, and Philosophy of Science)は、2011年にフランスのナンシーで開催される予定である。主催地の責任者は、Gerhard Heinzmann 氏(Archives  Henri-Poincare, Universite Nancy)である。


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