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代表派遣会議出席報告
1 会議概要
1)名 称 (和文)第17回国際第四紀学連合大会
      (英文)ⅩⅦ INQUA(International Union for Quaternary Research)Congress
2)会 期 2007年7月28日~8月3日(7日間)
3)会議出席者名 熊井久雄、斉藤文紀、奥村晃史  
4)会議開催地 オーストラリア ケアンズ市   
5)参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者) 50カ国,1030名,日本人参加者50名
             
6)会議の内容    
 7月28日には開会式と基調講演が行われ,7月29日から8月3日まで,7月31日の日帰り巡検の日を除いて,9つの部屋において同時並行で研究発表と討論会が開催された.また,別室広間や通路を使ってポスターセッションが行われた.今回のメインテーマが「熱帯:第四紀における熱エンジン」であったので,これに関連したセッションがおおくもたれ,活発な討論がなされた.また,将来の地球環境変動予測に関する研究発表も多くもたれ,災害予測や基礎的研究手法についても討論された.  
 これらの研究発表の合間を縫って,加盟国代表による国際評議員会が会期中3回にわたって開催され,4年間のインターコングレス期間の予算や役員の選出などが行われた.特筆すべきこととして,次期の副委員長に日本から奥村晃史氏が副委員長に選出された.また,Commission のビジネスミーティングも適宜開催され,次期の役員の選出や研究計画について討論された.  
2 会議の模様
 この会議は4年に一度1週間程度の日程で開催される国際第四紀連合(INQUA)の公式な会議である.此処では第四紀学に関連した研究成果の発表や研究委員会の活動評価,予算や人事など,多方面にわたる討論が行われる.4年間の通常の運営は会長,4人の副会長,事務局長,会計係などが当たり,研究分野では5つの委員会がグループ研究やその予算などを掌握している.  
 とは言え,なんと言っても世界中の主な第四紀研究者が集まるこの会での,参加者のメインの目的は第四紀に関する最新の研究成果に接することと,その中での自分あるいは自分たちグループの位置づけであろうか.以下に,主なセッションの題名を挙げておく.  
Paleoseismology, Abrupt environmental and archaeologic changes, Effect of Quaternary climates on deserts, Mangrove palaeoecology and environmental change, Chronologies of sea level to 500 ka, Timescales of soil formation, Continental shelves, Abrupt changes ice continental and marine, Long cycles in oceanic carbon reservoir, Holocene sealevel and climate, Pedogenic carbonate as palaenvironmental proxy, Modelling global climate from millennial to glacial scales, Pedogenic analysis of Aeolian deposits, Timing of Late Pleistocene mountain glaciation, Geological records of Tsunamis, Defining and subdividing the Quaternary, などであった.  
 国際評議会で決まった主な事項は次のとおりである.  
 日本の分担金に関するカテゴリーは変わらず,最高の6であるが分担金は5%アップの14,470 CHF になった.次期執行部の役員は会長にオーストラリアのAlan Chivasが選出された他,4名の副委員長の中に日本の奥村晃史氏が選出された.また,名誉会員として堀江正冶氏が承認された.新規加盟国として,東アフリカとアルゼンチンが承認され,ルーマニアが復帰した.組織形態の一部が変更になり,Commission の下に置かれていたSubcommissionとその下部組織の Working group がこれらに変わって,International Focus Group とProjectsになった.元会長の故Sir Nicholas Shacketon氏の功績をたたえて,The Sir Nicholas Shacketon Medalが新設された.  
 熊井の所属するInternational Commission on Stratigraphy (ICS)のSubcommissionであるSubcommission on Quaternary は通常,国際地質学会議(International Geological Congress,IGC)やINQUA大会の際に開催される.従来,このSubcommissionはINQUAのCommission on Stratigraphyと兼ねていたが,先回の大会でCommissionの大々的なリストラがあって,Commission on Stratigraphyに他の専門分野の研究者が多く入ってきたために,別組織となった.期間中開催されたこのSubcommissionのビジネスミーティングではかなり激しい討論がなされた.それは「Quaternary第四紀」の地質年代表上の位置づけを巡ってのもので,昨年までQuaternaryは正規の年代区分である「紀」からはずして,その上のランクの「代」の副次的区分である「亜代」にしようという案が決まりかけていたのが,最近,ふたたび「紀」として残す案が急浮上し,かつ,従来鮮新世の中に含まれていた「Gelasian」期まで含めようとの案に絞られてきた.この案は従来からINQUAのCommission on Stratigraphyが主張していたもので,歓迎すべき変化であるが,それに伴って,この「第四紀」の中の区分の問題などが議論された.この細分を含む「第四紀」の年代区分問題は2008年にオスロで開催されるIGCの際のInternational Commission on Stratigraphの会議で決められることになった.
3 次回開催予定ほか
 平成23年8月の第2週頃,スイスのベルン大学で開催予定.主なテーマとしては「The View from the mountain」


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