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日本学術会議会長コメント

日本学術会議会長コメント
平成16年8月3日
日本学術会議では、本日、亀井善之農林水産大臣に対し「地球環境・人間生活にかかわる水産業及び漁村の多面的な機能の内容及び評価について」答申を行いました。これは平成13年に行った「農業及び森林の多面的な機能の評価」の答申と同様に、学術的な幅広い見地から総合的に検討を行ったものであり、国民の皆様に日本の水産業・漁村が果たしている重要な役割が広く理解され、その発展ひいては地域社会の新たな発展のために必要な政策に基礎を与えるものと確信しています。  「水産業・漁村の多面的な機能」とは、①食糧・資源の供給、②自然環境の保全、③地域社会の維持、④生命財産の保全、⑤生活と交流の「場」の提供という、水産業・漁村の持つ役割を担うものであって、水産業・漁村が適正に維持管理されているところに存する機能です。  
 良く知られている機能としては、①日本を世界一の平均寿命を持つ長寿国にした食文化、②水産物に含まれるビタミン、栄養素、また医薬品原料などの提供、 ③物質循環系を補完し、あるいは生態系を保全する沿岸動植物の動態と、これを護る漁民の活動、④所得・雇用の創出、文化の継承などの社会活動、⑤日本に独特な長い海岸線の安全を護る活動、⑥沿海域・沿岸域の景観を護り、都市住民の交流・保養・学習などの「場」の提供などがあります。
 この答申を契機に、ここに整理された水産業及び漁村の多面的な機能が、日本の国にとって必要欠くべからざるものとして認識され、また定量的な評価のための研究が推進されて、水産業及び漁村に対する適切な施策が講じられる基盤が確立されることを期待します。
日本学術会議会長 黒川 清
【参考】
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