公開シンポジウム「木材利用促進に学術研究がいかに貢献するか:木材利用って本当にいいの?」
我が国では近年、気候変動対策や循環型社会の実現に向けて、建築分野での木材利用の促進が広く進められている。木材は森林という再生可能な資源から生まれ、建築物として使われている間、炭素を内部に蓄え続ける特性を持つ。このため、木材はハーベストウッドプロダクト(HWP:伐採木材製品)として、カーボンニュートラル社会に貢献する素材として期待されている。国も省エネルギー基準適合やライフサイクルカーボン算定の義務化など法制度を整備しつつあり、木材はその施策の実現に寄与する有力な材料の一つである。
一方で、実際の建築現場を見渡すと、象徴的な木材を用いた建築物は実現するものの、その取り組みが継続的に広がっているとは言い難いのが現状である。集材の仕組み、設計段階で求められる構造安全性や耐火性、遮音性、耐久性確保の手法、さらには材料や施工にかかるコストなど、多くの課題が存在している。技術的には解決可能な問題も少なくないが、経済性や長期的な維持管理への不安が、普及の大きな壁となっている。また、木材利用が本当に環境負荷の低減につながっているのかについても、ライフサイクル全体を見通した評価は、必ずしも十分に共有されていない。
本シンポジウムでは、木材を用いた建築物の各種性能を整理しつつ、環境負荷の定量的評価、さらには森林資源とのバランスといった、より長い時間軸での視点に焦点を当てる。木材が持つ調湿性や耐久性といった材料としての特性が、私たちの暮らしや建築物の価値にどのように結びついているのかを丁寧に整理し、「木材利用は本当に良いのか」という率直な疑問に答えることを目指す。専門家だけでなく国民一人ひとりが理解を深め、今後の木材利用の在り方を共に考える場とすることを目的とする。
概要
| 開催日時 | 令和8(2026)年 7月25日(土)13:00 ~ 16:00 |
|---|---|
| 開催地 | オンライン開催 |
| 対象 | どなたでも参加いただけます。 |
| 申込み | 参加費無料 以下のページのリンク先よりお申込み下さい。 参加申込フォームへのリンク |
| 備考 | 主催:日本学術会議農学委員会林学分科会 共催:日本学術会議環境学委員会・統合生物学委員会合同自然環境分科会、環境学委員会環境政策・環境計画分科会、土木工学・建築学委員会、一般社団法人日本木材学会 後援:一般社団法人日本建築学会、環境経済・政策学会、林業経済学会、公益社団法人日本木材加工技術協会、一般社団法人日本森林学会、一般社団法人日本LCA学会 |
プログラム
- 司会:恒次 祐子(日本学術会議連携会員/東京大学大学院農学生命科学研究科 教授)
- 13:00 開会挨拶
- 杉山 淳司(日本学術会議第二部会員/京都大学名誉教授)
- 13:05 趣旨説明
- 五十田 博(日本学術会議連携会員/京都大学生存圏研究所教授)
- 13:15 「実務者からみた木造建築 社会実装に必要なこと」
- 小林 道和((株)竹中工務店経営企画室サステナビリティ推進部シニアチーフエキスパート)
- 13:40 「HWPの炭素貯蔵量と建築利用」
- 加用 千裕(東京農工大学グローバルイノベーション研究院教授)
- 14:05 「建物のLCA -木造建築と他構造との比較-」
- 小林 謙介(県立広島大学生物資源科学部教授)
- 14:30-14:40 休憩
- 14:40 ディスカッション
-
ファシリテータ:山﨑 真理子(名古屋大学大学院生命農学研究科教授)
小林 道和((株)竹中工務店経営企画室サステナビリティ推進部シニアチーフエキスパート)
加用 千裕(東京農工大学グローバルイノベーション研究院教授)
小林 謙介(県立広島県立大学生物資源科学部教授)
高田 克彦(秋田県立大学理事兼副学長)
恒次 祐子(日本学術会議連携会員/東京大学大学院農学生命科学研究科 教授)
- 15:50 閉会挨拶
- 香坂 玲(日本学術会議連携会員/東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
お申込み・お問い合わせ先
林学分科会シンポ scj.ringaku(a)gmail.com (a)を@に置き換えてご使用ください。