公開シンポジウム「響き合ういのち -種をこえて共に生きる生物たちの新しい世界-」

 自然界に存在する生命体が形作る世界は「競争」だけでなく「協働」によって成り立っている。近年、従来の個体中心的な生命観から、異なる種の生物が密接な接触のもとに共に生きる共生体それ自身が一つの超個体(生物システム)であり進化単位であるととらえる生命観へのパラダイムシフトが生じた。そして、この新しい視座に立った研究により、農芸化学分野の研究に直接影響する大きな生物学的発見が相次いでいる。そこで、多様な生物種間で繰り広げられている共生を俯瞰し、新奇な知見を知るとともに農芸化学分野への応用の可能性を展望することを目的として、共生に関する最前線の研究を紹介するシンポジウムを企画した。
 本シンポジウムは、これまで異分野の研究とされてきた海洋及び陸上の、動物・植物・微生物の間で営まれている外部共生(体外での共生)及び内部共生(細胞内や組織内での共生)の新しい世界を、共生というキーワードの下に一度に見聞する機会を提供することとなる。具体的には、Science誌の2024年のBreakthrough of the Yearに選ばれた葉緑体やミトコンドリアに続く「第四の原始的共生起源オルガネラ」である窒素オルガネラ(nitroplast)の発見をはじめとして、哺乳類の消化管における微生物との共生進化、ダイズと根粒菌の共生の根圏での多様な機能などの講演を予定している。これらの研究は学術に革新をもたらすだけでなく、窒素固定技術の発展、化学肥料削減、低環境負荷農法の強化、健康に資する食品栄養学、バイオ燃料生産、生態学・気候などの環境予測の精度向上など、他方面への応用が期待され、農芸化学研究の新しい地平を拓くものと期待される。

イベント概要

開催日時 令和8年(2026年)3月11日(水)15:15~17:45
開催地 同志社大学今出川キャンパス 良心館3F (C2会場)(京都市上京区今出川通烏丸東入玄武町601)
対象 どなたでも参加いただけます。
定員 100名
プログラム
15:15—15:20 はじめに
吉永 直子(日本学術会議連携会員/京都大学大学院農学研究科助教)
15:20—15:45 「レジリエンス微生物学:微生物叢に共通する機能の理解に向けて」
大坪 和香子(東北大学大学院農学研究科助教)
座長:熊谷 日登美(日本学術会議連携会員/日本大学生物資源科学部特任教授)
15:45—16:15 「イルカと共生細菌が織りなす進化の物語 〜培養が拓いた共生の新世界〜」
瀬川 太雄(日本大学生物資源科学部助教)
座長:林 由佳子(京都大学大学院農学研究科教授)
16:15—16:45「Braarudosphaera bigelowii 複合種群に観察される種内多様性」
萩野 恭子(高知大学海洋コア総合研究センター国際研究所)
座長:大田 ゆかり(麻布大学生命・環境科学部教授)
16:45—17:15「微生物の代謝能から紐解く根圏植物微生物超個体」
杉山 暁史(京都大学生存圏研究所准教授)
座長:吉永 直子(日本学術会議連携会員/京都大学大学院農学研究科助教)
17:15—17:40「敵の敵を味方につける-植物と昆虫の高度な防衛戦略」
吉永 直子(日本学術会議連携会員/京都大学大学院農学研究科助教)
座長:裏出 令子(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
17:40—17:45 おわりに
大田 ゆかり(麻布大学生命・環境科学部教授)
 申込み 参加費無料・事前申込不要
 問い合わせ 京都大学農学研究科 吉永 直子
E-mail: yoshinaga.naoko.ev(a)gmail.com ※(a)を@にしてお送りください。
備考 主催:日本学術会議農芸化学分科会
共催:公益社団法人 日本農芸化学会