公開シンポジウム「マテリアル融合:物質・エネルギー・情報技術融合による新たな元素戦略」
私たちの社会は、あらゆる「元素」に支えられている。スマートフォンのディスプレイや医薬品、電気自動車の電池、再生可能エネルギーの装置―それらの中では、鉄や炭素だけではなく、リチウム、ネオジム、ガリウムなど多様な元素が活躍している。こうした「全元素」を有効に活用し、新しい物質や機能を生み出すことが、持続可能な社会の実現に欠かせない。
日本は資源こそ限られているが、マテリアル(ナノテク・物質・化学・材料)の分野では世界をリードする研究力を有している。その強みを生かし、限られた資源を最大限有効に使う学問的・技術的基盤を築くことを目指して、日本学術会議は2023年に「元素戦略2.0」を発出した。この提言では、元素の融合的利用や循環を通じた新しい研究基盤の構築が示されている。
その後わずか数年の間に、人工知能(AI)やロボティクス、機械学習を活用した研究手法が急速に進展した。AIが分子や材料の性質を予測し、ロボットが自動で実験を行い、研究者がその結果を解析して次の発見へとつなぐーこうした「人とAIが協働する科学」が現実のものとなりつつある。世界ではすでに数百億円規模の投資が進み、AI駆動型の材料開発競争が激しくなっている。
このような時代に、日本が培ってきたマテリアルの知を、AI・データ・ロボット技術と融合させ、「全元素を活用した次世代のマテリアル創製環境」を構築することが急務である。それは単に新物質を生み出すだけでなく、人の感性や経験をデジタル化して学術の発展に活かす、まったく新しい研究のあり方を切り拓くものである。このあり方をここではマテリアル融合と呼ぶ。
本シンポジウムでは、こうした理念のもとに、
・全元素の活用が拓く新しいエネルギー・資源循環社会
・AIやロボットが変える研究とものづくりの最前線と未来像
・産業界における機械学習による産官学連携の新しいすがたと人材育成
をテーマに、産官学界の第一線で活躍する講演者による発表とパネル討論を行う。特別講演として文部科学省研究振興局参事官を招聘し、政府のマテリアル戦略とAI for Scienceに関わる構想や期待をご教授頂く予定である。
パネル討論では、異なる分野の研究者や産業界のリーダーが一堂に会し、「マテリアル融合」が生み出す新たな科学と社会の形について、自由闊達に意見を交わす。学術界、産業界、政策関係者、そして市民が未来をともに考えるこの場が、次世代の「元素戦略」へとつながる出発点となることを目指す。
なお、本シンポジウムは、無機化学分科会が中心となり発出予定の「見解」と同タイトルである。実際に学術界あるいは産業界で見解の趣旨に近い課題を見出して解決に取り組んでいる研究者から、直接意見を伺う機会となる。そうして、「元素戦略」の永続的な必要性を公に示す機会として位置付けられる。
イベント概要
| 開催日時 | 令和8(2026)年1月31日(土)13:30 ~ 18:15 |
|---|---|
| 開催地 | 東京大学化学講堂(東京都文京区本郷7丁目3-1 化学本館5階)(対面開催) |
| 対象 | どなたでもご参加いただけます。 |
| 参加費 | 無料 |
| プログラム |
第1部 データサイエンスとマテリアル融合
第2部 機械学習やロボットの活用による元素戦略と未来材料
|
| 申込⽅法 | 事前申し込みはこちらから。当日参加も歓迎 シンポジウム申込へのリンク |
| 備考 | 主 催:日本学術会議化学委員会無機化学分科会・ 高分子化学分科会・ 材料化学・ 分析化学分科会・物理化学・生物物理化学分科会・ 有機化学分科会・IUPAC分科会・生体関連化学分科会・IUCr分科会・結晶学分科会 後 援:公益社団法人日本化学会 |