公開シンポジウム「地球的課題解決のための資質・能力を育成する地理教育―小学校・中学校・高等学校までの一貫カリキュラムに向けて―」

 グローバル化や環境変化が急速に進む現代、地球的課題解決のための資質・能力のさらなる充実は、世界共通の喫緊の課題である。学習指導要領では、思考力・判断力・表現力といった資質・能力が特に重視され、学習指導要領解説では、国際連合における持続可能な開発のための取り組みを参考に、生徒自身が地球的視野で考え、様々な課題を自らの課題として捉え、身近なところから取組み、持続可能な社会づくりの担い手となることにつながる教育をもとめている。このような教育は、ESD(Education for Sustainable Development)、つまりは持続可能な社会の創り手を育む教育といえ、学習指導要領でもESDが求められているといえる。一方で、小学校から高等学校まで各教科等で段階的に持続可能な社会づくりの能力を育成することが重要であるものの、効果的に行われているとはいえず、学習指導要領などでも小学校から高等学校までの一貫した持続可能な社会づくりの方略について示されていない。
 そこで、こうした持続可能な社会づくりの能力の育成をめざすために、地理教育において必要な教育内容を小・中・高までの一貫したカリキュラムを念頭にして討論する。なお、本シンポジウムは、令和7年7月24日に開催された日本学術会議地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同地理教育・ESD分科会での環境学委員会環境思想・環境教育分科会委員長、ユネスコ国内委員会委員、ESD学会の役員、国際理解教育の専門家を招いて議論した内容を踏まえての報告となると同時に、意思の表出の内容を議論することも兼ねている。

イベント概要

開催日時 令和7(2025)年9月21日(日)9:00~12:00
開催地 弘前大学(青森県弘前市文京町一番地)日本地理学会秋季学術大会第1会場
対象 どなたでも参加いただけます。
定員 100人程度
プログラム
    オーガナイザー
  • 井田仁康(日本学術会議連携会員、筑波大学名誉教授、公益社団法人日本地理学会会長、地理教育)
  • 村山朝子(日本学術会議連携会員、茨城大学名誉教授、社会科教育)
  • 由井義通(日本学術会議連携会員、広島大学教授、地理学)
  • 久保純子(日本学術会議連携会員、早稲田大学教授、自然地理学)
  • 山野博哉(日本学術会議連携会員、東京大学教授、地理・環境学)
    総合司会
  • 森本泉(日本学術会議連携会員、明治学院大学国際学部教授、人文地理学)
  • 由井義通(日本学術会議連携会員、広島大学教授、地理学)
9:00~9:10 開会挨拶・趣旨説明
井田仁康(日本学術会議連携会員、筑波大学名誉教授、公益社団法人日本地理学会会長)
9:10~9:25 報告1:小学校社会科におけるフィールドワークと地図学習の課題
吉田和義(創価大学・非常勤、地理教育学)
9:25~9:40 報告2:小・中社会科における「地誌」学習の課題と展望
村山朝子(日本学術会議連携会員、茨城大学名誉教授、社会科教育学)
9:40~9:55 報告3:「地理総合」の現状と課題―担当経験者を対象とした実態調査の結果報告―
浅川俊夫(元東北福祉大教授、自然地理学)
9:55~10:10 報告4:地球的課題解決を見据えた地理授業をつくる教師の育成
伊藤直之(鳴門教育大学教授、社会科教育学)
10:10~10:25 報告5:地理教育の社会への実装―目的としての「地理」―
中澤高志(日本学術会議第一部会員、明治大学教授、人文地理学)
10:25~10:40 休憩

コメント(指定討論者)・総合討論

10:40~10:55 コメント1:学習指導要領作成の立場から
小関祐之(文部科学省教科調査官・国立教育政策研究所研究員)
10:55~11:10 コメント2:地理教育の立場から
吉田剛(宮城教育大学教授、地理教育学)
11:10~12:00 総合討論
 申込み 参加費無料・事前申込必要なしなので当日お越しください。ただし、公開シンポジウム以外の日本地理学会学術大会のプログラムに参加される場合は参加費が必要となります。
 問い合わせ メールアドレス: 広島大学 由井義通
yyui(a)hiroshima-u.ac.jp ※(a)を@にしてお送りください。
備考 主催:日本学術会議地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同地理教育・ESD分科会、公益社団法人日本地理学会地理教育専門委員会
後援:地理学連携機構