公開シンポジウム「昆虫科学はおもしろい〜国際昆虫学会議を終えて未来の昆虫科学者たちへ〜」

 国際昆虫学会議International Congress of Entomology(ICE)は、ほぼ4年ごとに各国で開催されてきた昆虫科学における最も包括的な国際会議である。令和6(2024)年8月25日(日)~30日(金)の6日間にわたり、日本では2回目の開催となる第27回会議が、日本学術会議と日本昆虫科学連合により共同主催された。会場となった国立京都国際会館には82の国と地域から4,041名(一般参加者を含めると4,278名)の参加者が集まった。そして、6つのプレナリー講演に加え、全部で205のセッション(口頭176、ポスター29)が設けられ、2,817の一般講演(口頭1,752、ポスター1,065)が行われた。国際昆虫学会議の日本開催によりわが国の昆虫科学のプレゼンスを示すことができ、本会議の評議員には日本から3名が選出された(国際昆虫学会議の評議員は従来、日本からは1名)。そのため、本会議の日本開催の大きな目的の1つを達成できたと考えている。
 ところで、国際昆虫学会議を日本に招致した大きな目的はもう1つあり、それは「未来の昆虫科学者を育てる」ということであった。国際昆虫学会議には世界トップクラスの研究者に交えて、数多くの学生や若手研究者、そしてイベントなどを通じて小中高校生も参加した。本会議に参加し、昆虫科学者への志を強くした方がいれば、大変喜ばしいことである。そこで、国際昆虫学会議の熱が冷めないうちに「昆虫科学のおもしろさを伝える」「未来の昆虫科学者を育てる」という開催趣旨のもと、本シンポジウムを開催する。
 公開シンポジウム「昆虫科学はおもしろい〜国際昆虫学会議を終えて未来の昆虫科学者たちへ〜」では、日本学術会議農学委員会応用昆虫学分科会と日本昆虫科学連合活動報告に引き続き、まずは小野正人氏(第27回国際昆虫学会議議長)に、国際昆虫学会議の報告をしていただく。それに引き続く講演会では「昆虫科学のおもしろさを伝える」「未来の昆虫科学者を育てる」という趣旨のもと、国際昆虫学会議の開催にも貢献され、日本の昆虫科学を牽引しておられる5名の方々に話をしていただく。5名の講演者は昆虫科学の多様な分野からジェンダーバランスを意識して選出している。
 講演者の方々には、専門家や一般の大人の方はもちろん、未来の昆虫科学者である(小)中・高校生にもある程度理解できて、彼・彼女らが昆虫科学にさらに興味を持てるような講演内容を依頼している。本シンポジウムの開催により、参加者が昆虫科学の魅力を発見、あるいは再確認する機会となることを期待している。

イベント概要

開催日時 2025年 6月28日(土)13:00-17:00
開催地 オンライン開催
対象 どなたでも参加いただけます。
定員 1,000名(登録順)
プログラム
総合司会:木内 隆史(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)
13:00 開会挨拶・日本学術会議農学委員会応用昆虫学分科会活動報告
池田 素子(日本学術会議連携会員、応用昆虫学分科会委員長、名古屋大学大学院生命農学研究科教授)
13:10 日本昆虫科学連合活動報告
阿部 芳久(日本学術会議連携会員、日本昆虫科学連合代表、九州大学大学院比較社会文化研究院教授)
13:20 第27回国際昆虫学会議(ICE2024 KYOTO)の報告
小野 正人(日本学術会議連携会員、玉川大学学術研究所所長)
13:40~13:50 休憩

講演

◇座長:塩月 孝博(島根大学学術研究院農生命科学系教授)
13:50 「昆虫に学ぶ生きるしくみのおもしろさ-昆虫のリズム」
志賀 向子(日本学術会議連携会員、大阪大学大学院理学研究科教授)
14:20 「感染症の運び屋?~昆虫と正しく闘う戦略を考える~」
三條場 千寿(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)
14:50~15:00 休憩
◇座長:高梨 琢磨(福島大学食農学類准教授)
15:00 「すべてのウイルスが人類の敵!ではない? 昆虫ウイルスの植物保護への利用と進化的役割」
仲井 まどか(東京農工大学大学院農学研究院教授)
15:30 「カマキリはなぜ水に飛び込む?昆虫を操る寄生虫の謎に迫る」
佐藤 拓哉(京都大学生態学研究センター准教授)
16:00 「君の性は。~生殖器が逆転したトリカヘチャタテの進化~」
吉澤 和徳(北海道大学大学院農学研究院教授)
16:30 総合討論
◇座長:大村 和香子(京都大学生存圏研究所教授)
16:50 閉会の挨拶
日本 典秀(日本昆虫科学連合副代表、京都大学大学院農学研究科教授)
 申込み 以下のリンク先登録フォームより、6/27(金)13時までにご登録ください
参加登録フォームへのリンク
 問い合わせ 日本昆虫科学連合事務局 contact[at]insect-sciences2.sakura.ne.jp ※([at]を@に変換してご使用下さい)
備考 主催:日本学術会議農学委員会応用昆虫学分科会
共催:日本昆虫科学連合