公開シンポジウム「初等教育における世界的な視野の獲得について」

 持続可能な社会の担い手の育成のためには、学校教育において地球的課題の解決に向かう態度を形成する資質・能力の向上に加え、世界的な視野を小学校・中学校・高等学校と段階的に深化させることが欠かせない。

 初等教育における世界に関する学習では、地球的課題を見出す基礎的な知識を培うことや世界の人々や文化に対する共感的理解の涵養が重要である。しかし、初等教育での社会科では世界に関する学習が少なく、外国語をはじめとする外国文化の学習が教材化されている教科との連携も図られていない。こうしたことは、初等教育における国際理解・ESDも進まない要因となる。このため、国際理解・ESDを含む世界の学習内容については中学校をはじめとする中等教育の負担が大きくなっている。

 そこで本シンポジウムでは、初等教育における世界の学習を社会科教育、地理教育からの提言をはじめ、国際理解教育、外国語教育の研究者からコメントを受けることにより、教科をこえて初等教育における世界を学習する意義について議論したい。さらに、このような議論は、外国をルーツとする児童が増加していることから、多文化共生社会の構築のためにも必要なものとなる。

イベント概要

開催日時 令和7(2025)年3月20日(木・祝)9:00~12:00
開催地 駒澤大学(東京都世田谷区駒沢1-23-1 駒沢キャンパス)(日本地理学会春季学術大会開催地)
対象 どなたでも参加いただけます。
プログラム
オーガナイザー:井田仁康・村山朝子・由井義通 総合司会:由井義通
9:00~9:10 開会挨拶・趣旨説明
井田 仁康(筑波大・名誉)・由井 義通(広島大)・村山 朝子(茨城大・名誉)
9:10~10:25 報告 (各15 分)
1.小・中学校における「世界の学習」の変遷と現在
村山朝子(茨城大・名誉)
2.小中高を通じた世界地理学習の課題
秋本弘章(獨協大)
3.初等地理教育における「世界」の学習―イギリス地理科、ドイツ事実教授の場合―
阪上弘彬(千葉大)
4.小学校における世界の学習状況
中谷佳子(千葉大学附属小)
5.国際理解教育の社会実装について考えるために―「多文化共生都市」別府における2 つの個人的経験―
中澤高志(明治大)・久木元美琴(京都大)
10:25~10:50 休憩
10:50~11:30 コメント(指定討論者)(各10 分)
1.文化人類学の立場からの世界の学習
小長谷有紀(国立民族学博物館・名誉、文化人類学)
2.国際理解教育・ESD の立場からの世界の学習
佐藤真久(東京都市大、国際理解教育・ESD)
3.英語教育の立場からの世界の学習
田山享子(共栄大、英語教育学)
4.最近の教育改革の動向と「小学校・世界の学習」の関係
三橋浩志(文部科学省)
11:30~12:00 質疑応答・パネル討論質疑応答・パネル討論
 申込み 事前登録なし・参加費無料(公開シンポジウムの参加だけに限る)
 問い合わせ メールアドレス: 広島大学 由井義通 yyui(a)hiroshima-u.ac.jp ※(a)を@にしてお送りください。
備考 主催・共催:日本学術会議地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同地理教育・ESD 分科会、公益社団法人日本地理学会地理教育専門委員会
後援:地理学連携機構