公開シンポジウム「地球規模の変化に対応したレジリエントな水産業-水産業を評価するための基準を考え直す-」

 本来、水産業や人々の幸せな暮らしは、地球の健康(Planetary Health)の上に成り立っている。しかしながら今日、地球規模の環境変化により、従来当たり前のように享受してきた自然からの恵み(「自然がもたらすもの(Nature’s Contributions to People)」・旧称「生態系サービス」)が危うくなっている。また環境変化だけではなく、人間の行動変容についても注視する必要がある。たとえば地域固有の伝統的な魚食文化が衰退して全国で画一的な食生活が広がるなど、人間が水産物を消費する際の行動変容が拡大すると、水産資源は、その一部だけが過剰利用される一方で、その他の多様な水産資源は未利用資源になる可能性もある。このような問題に対応するためには、将来にわたるレジリエントな地球環境と人間社会の仕組みを総合的に議論し、これを踏まえた上で水産業を評価するための基準を考え直す作業が求められている。しかしながらこれらは日本では学術的な研究分野として十分に確立されているとはいえない。そこで、本シンポジウムは、地球規模の環境変化や人間行動の変容に対応したレジリエントな水産業を議論し、この実現に向けた課題について理解を深めることにしたい。

イベント概要

開催日時 令和7年(2025年)3月14日(金)13:00 ~ 17:00
開催地 オンライン開催(Zoom)
対象 どなたでも参加いただけます。
定員 500名(当日先着順)
プログラム
13:00-13:05 開会挨拶
大越 和加(日本学術会議第二部会員、東北大学大学院農学研究科)
13:05-13:10 趣旨説明
八木 信行(日本学術会議連携会員、東京大学大学院農学生命科学研究科教授)

セッション1『サステナビリティーをめぐる世界の潮流』

座長:吉崎 悟朗(東京海洋大学学術研究院海洋生物資源学部門教授)
13:10-13:50「自然の恵みを未来へ:IPBESアセスメントが伝える持続可能な社会への鍵」
橋本 禅(日本学術会議連携会員、東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
13:50-14:30「人間が自然に感じる価値、特に関係価値(Relational Value)に関する国際的な議論」
石原 広恵(東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授)

セッション2『日本における新課題』

座長:米崎 史郎(水産研究・教育機構水産資源研究所水産資源研究センター社会・生態系システム部副部長)
14:30-15:10 「近年における水産資源の状態」
市野川 桃子(水産研究・教育機構水産資源研究所グループ長)
15:10-15:20 休憩
15:20-16:00 「社会の変化と将来の水産業:TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言がもたらす影響」
岡添 巨一(株式会社農林中金総合研究所リサーチ&ソリューション第2部サステナブルグループ主任研究員)

総合討論『新しい研究ニーズにどう対応すればよいのか』

16:00-16:55
座長:八木 信行(日本学術会議連携会員、東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
パネリスト
東海 正(日本学術会議連携会員、東京海洋大学名誉教授)
中山 一郎(水産研究・教育機構理事長)
大越 和加(日本学術会議会員、東北大学大学院農学研究科教授)
高瀬 美和子(大日本水産会専務理事)
丹下 菜穂子(鳥取県栽培漁業センター所長)
16:55-17:00 閉会の挨拶
古谷 研(日本学術会議連携会員、創価大学特別教授)
 申し込み 参加費無料・事前申込要
以下のページのリンク先よりお申込み下さい。
参加申込フォームへのリンク
 問合せ先 脇田 和美 wakita(a)tokai.ac.jp ※(a)を@にしてお送りください。
備考 主催:日本学術会議食料科学委員会・同水産学分科会
共催:水産・海洋科学研究連絡協議会、日本農学アカデミー、日本水産学会
後援:大日本水産会、全国漁業協同組合連合会、水産海洋学会、日本付着生物学会、日本魚病学会、国際漁業学会、日本ベントス学会、日本魚類学会、地域漁業学会、日仏海洋学会、日本海洋学会、日本水産増殖学会、マリンバイオテクノロジー学会、日本水産工学会、日本プランクトン学会、漁業経済学会、日本藻類学会、日本海洋政策学会