公開シンポジウム「農芸化学分野におけるジェンダード・イノベーションへの展望」

 ジェンダード・イノベーションは、スタンフォード大学のロンダ・シービンガー教授が平成17年(2005)年に提唱した「研究開発において性差に着目することで、より良い技術革新をめざす」というコンセプトである。ジェンダード・イノベーションを取り込んだ研究及び開発は、科学、医療、工学・テクノロジー等に革新的な変革をもたらすとともに、科学分野におけるジェンダー平等実現に向けた最新にして最強のアプローチであると考えられており、例えば、EUの超大型研究・イノベーション支援プログラムであるHorizon Europeでは、このコンセプトを取り入れて「Sex and Gender分析」が義務化されている。すなわち、ジェンダード・イノベーションの研究・技術開発への導入は既に世界的な潮流となっている。ジェンダード・イノベーションの対象分野は多岐にわたり、農芸化学分野で行われている動物や幹細胞を用いた食品や栄養などの研究もその中の重要課題であるが、日本ではその導入が遅れている。
 本シンポジウムは、ジェンダード・イノベーションの重要性を認識し、農芸化学分野におけるその大いなる可能性を展望していただくことを目的として企画した。具体的には、ジェンダード・イノベーションとその重要性及び国際的な研究・技術開発の情勢を紹介する講演と、農芸化学分野でジェンダード・イノベーションのコンセプトを取り込んだ最新研究の講演を予定している。

イベント概要

開催日時 令和7年(2025年)3月5日(水)9:00~11:30
開催地 札幌コンベンションセンター F会場(204,2F)(札幌市白石区東札幌6条1丁⽬1-1)
対象 どなたでも参加いただけます
定員 200名程度
プログラム
9:00— 9:20 「『ジェンダード・イノベーション』概念とその意義および今後の影響」
裏出 令子(京都大学複合原子力科学研究所特任教授)
座長:芦田 均(武庫川女子大学食物栄養科学部食物栄養学科教授)
9:20— 9:50 「栄養応答における性差と内分泌因子の役割:脂溶性ビタミンおよびタンパク質栄養の観点から」
竹中 麻子(日本学術会議第二部会員/明治大学農学部農芸化学科教授)
座長:仲川 清隆(東北大学大学院農学研究科教授)
9:50—10:30 「生殖を制御する脳内メカニズムとその性差」
束村 博子(名古屋大学大学院生命農学研究科特任教授)
座長:竹中 麻子(日本学術会議第二部会員/明治大学農学部農芸化学科教授)
10:30—11:00 「匂い物質に対する嗜好と嗅覚刺激により誘導される生理応答の性差」
大畑 素子(日本大学生物資源科学部食品開発学科准教授)
座長:林 由佳子(京都大学大学院農学研究科准教授)
11:00—11:30 「米アルブミンによる食後血糖値上昇抑制作用に対する性差の影響」
熊谷 日登美(日本学術会議連携会員/日本大学生物資源科学部食品開発学科教授)
座長:前多 隼人(弘前大学農学生命科学部食料資源学科准教授)
 申し込み 参加費無料・事前申込不要
(直接,会場にお越し下さい。会場前で受付をいたします。)
 問い合わせ先 日本大学生物資源科学部 熊谷日登美
E-mail: kumagai.hitomi(a)niyon-u.ac.jp ※(a)を@にしてお送りください。
備考 主催:日本学術会議第二部生命科学ジェンダー・ダイバーシティ分科会、公益社団法人日本農芸化学会