公開シンポジウム「なぜ、社会的孤立は問題なのか?」

 近年、社会的孤立の問題に強い関心が集まっている。この問題に関しては、これまでさまざまな議論がなされてきたが、本シンポジウムではそれらの成果もふまえた上で、社会学・社会福祉学の視角から「単に個人の孤立や困難が問題なのではなく、社会構造や組織・制度によって作られていく社会的孤立が問題である」という立場に立ちつつ、 社会的孤立はなぜ問題なのかを改めて問い直す。
 例えば、福祉制度の枠から外れてしまった「新たな社会的貧困層」の中では、DV・虐待などによって苦しんでいるシングルマザー、あるいは他の支援を受けられないヤングケアラー、既存の集団には属していない外国人などにおいて社会的孤立が生じている。また、つながりを作りさえすれば孤立が解消するわけでもなく、 若者のSNS上で見られるような表面的な友人数の増加は、真の意味での友人や支援者の形成につながっていない可能性がある。さらに、今日の社会状況のもとでは、家族の絆によって孤立を防ぐことにも限界がある。
 このような現代社会における社会的孤立の問題を、社会学・社会福祉学の視点から検討していくことは極めて重要である。社会学が以前より研究対象としてきた家族、職場、地域社会などの中間集団の弱化が、現代社会におけるつながり(絆)の弱化をもたらし、そのためにこのような状況が生じているとも考えられるためである。 本シンポジウムでは、家族、地域、教育、福祉など、以前より個別社会学が対象としてきた領域のみならず、年齢やジェンダー・セクシュアリティ、階層など多様な視点から孤立を問題にする。このために社会関係の複雑な重なり合いやソーシャルキャピタル(社会関係資本)などを含めた多様な領域から登壇者を迎えて、この問題を検討していきたい。

イベント概要

開催日時 2024/3/9(土)13:00-16:30
開催地 オンライン開催
対象 どなたでも参加いただけます
定員 1,000人
プログラム
司会 :有末 賢(亜細亜大学都市創造学部教授)

挨拶

13:00 開会の挨拶
浅川 達人(日本学術会議連携会員、早稲田大学人間科学学術院教授)

趣旨説明

13:05
有末 賢(亜細亜大学都市創造学部教授)

報告

13:20
「なぜ社会的孤立が問題なのか?」
石田 光規(早稲田大学文学学術院教授)
「高齢者の社会的孤立の問題の所在と課題―社会福祉学の立場から」
斎藤 雅茂(日本福祉大学社会福祉学部教授)
「家族、貧困、孤立のスパイラル」
阿部 彩(日本学術会議第一部会員、東京都立大学人文社会学部教授)

休憩

14:50

討論

15:00
稲葉 陽二(元日本大学法学部教授)
野沢 慎司(明治学院大学社会学部教授)

総合討論

15:30
総合討論司会:有末 賢(亜細亜大学都市創造学部教授)

挨拶

16:25 閉会の挨拶
関 礼子(立教大学社会学部教授)
岩井 紀子(日本学術会議第一部会員、大阪商業大学総合経営学部教授)
 申込み 参加費無料・要事前申込
以下のページのリンク先よりお申込み下さい。
参加申し込みフォームへのリンク
 問い合わせ 社会学系コンソーシアム事務局
メールアドレス: socconsortium(a)socconso.com  ※(a)を@にしてお送りください。
備考 主催:日本学術会議社会学委員会・社会学系コンソーシアム
共催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)」