公開シンポジウム「『IT 社会と法』における光と影-利用者・データ・アクセスに焦点を当てて-」

 急速に ICT 化が進行する現代の日本では、様々な新しい問題が顕在化し、法的な対応が迫られている。日本学術会議第一部法学委員会 IT 社会と法分科会では、内閣府の「Society 5.0-科学技術イノベーションが拓く新たな社会」、デジタル庁のデジタル5原則、経済産業省の「Governance Innovation Ver.2-アジャイル・ガバナンスのデザインと実装に向けて」、消費者庁の「消費者のデジタル化への対応に関する検討会報告書」等及び内閣府消費者委員会「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告書」等を視野に入れつつ、ICT 利用者の安全なアクセス保障、プラットフォーム事業者の責任、及びアクセスの過程で生じた被害からの救済等について検討してきた。そこでは、「誰一人取り残さない ICT 社会の実現」を目的とした様々な法的考察と提言の重要性が、クローズアップされることになる。
 このシンポジウムでは、まず、これまで民法学の立場から、「IT 化社会と法」のあり方を研究し、かつ、消費者保護の現場でも多数の経験と実績を有する研究者が、基調講演を行う。次に、基調講演での問題提起等を踏まえつつ、今期の当分科会は、多様な法律分野の専門家から構成されていることから、それぞれの専門分野に軸足を置き、「利用者・データ・アクセス」に焦点を当てた個別報告を行いたい。そこでは、「IT 社会と法」に関する光と影の諸点について、それらの現状と課題を浮き彫りにしたい。

イベント概要

開催日時 2023年 9月 1日(金)14:00 ~ 17:00
開催地 日本学術会議講堂
対象 どなたでも参加いただけます
定員 200人
プログラム
14:00~14:10 司会(挨拶、趣旨説明)
川嶋 四郎(日本学術会議第一部会員、同志社大学教授)
14:10~14:40 基調講演「デジタル社会の光と影-消費者と法を中心に」
松本 恒雄(日本学術会議連携会員、一橋大学名誉教授)
14:40~16:20 個別報告
「デジタル社会における一般人の契約理解」
木下 麻奈子(日本学術会議連携会員、同志社大学教授)
「デジタル社会における取引―デジタル・コンテンツ契約」
川和 功子(日本学術会議連携会員、同志社大学教授)
「サイバー空間が優位する社会システムに必要なルールとは何か―デジタル・プラットフォームビジネスを素材に考える」
千葉 恵美子(日本学術会議連携会員、大阪大学招聘教授、名古屋大学名誉教授)
「デジタル社会におけるレジリエンス――国際法の観点から」
佐藤 義明(日本学術会議連携会員、成蹊大学教授)
「アテンション・エコノミー下における情報的健康と競争政策」
林 秀弥(日本学術会議連携会員、名古屋大学大学院教授)
「裁判所内外民事紛争解決手続の ICT 化における光と影」
川嶋 四郎(日本学術会議第一部会員、同志社大学教授)
16:20~16:55 質疑応答
16:55~17:00 閉会の挨拶
千葉 恵美子(日本学術会議連携会員、大阪大学招聘教授、名古屋大学名誉教授)
 申込み 参加費無料・事前申込不要
 問い合わせ シンポジウム事務局 川嶋四郎(同志社大学法学部)
メールアドレス:skawashi[a]mail.doshisha.ac.jp ([a]を@に変更してください)
備考 主催:日本学術会議 法学委員会 IT 社会と法分科会
共催:科学研究費補助金(基盤研究(A))「プラットフォームビジネスとしての電子商取引をめぐる法規整の在り方」(研究代表者:千葉恵美子)、科学研究費補助金(基盤研究(B))「『法的社会化』概念による契約意識の再構成 ― 契約意識はどのように変わるか」(研究代表者:木下麻奈子)、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))「デジタル取引に係る契約法及び消費者法の再構築に向けた比較法的研究」(研究代表者:川和功子)