公開シンポジウム「コロナ感染症をめぐる記録と記憶―何を、誰が、どう残すか―」

 新型コロナウィルス感染症(以下、コロナ感染症)はさまざまな社会問題を浮き彫りにし、人類社会の変容と課題を考える機会となった。流行が4年目に入ったなかで、医療現場や保健所等における活動の記録と記憶をどう残し、どのように継承するのか。また、各地の史料保存利用機関等におけるコロナ感染症をめぐる公文書管理の取り組みはどうなっているのかなど、関係諸記録・記憶の収集・保全への対応を検証し、未来へ継承するための展望が、今必要である。
 そこで、本シンポジウムでは、コロナ感染症をめぐる経験を未来に伝えるための記録や記憶の保存・継承について議論を深めることを目的とし、感染症の歴史やコロナ感染症に伴う社会変容などを念頭に記録や記憶の保存の意義を示す報告、コロナ感染者への対応の最前線にある保健所における活動についての報告、東京都のコロナ感染症をめぐる公文書管理の取り組みの報告、地域博物館におけるコロナ関係資料の収集の具体的な取り組みとその成果、課題などの報告の4本の報告をお願いした。
 現在、日本学術会議史学委員会歴史資料の保存・管理と公開に関する分科会では、提言「新型コロナウィルス感染症のパンデミックをめぐる資料・記録、記憶の保全と継承に向けて」(仮題)を発出すべく文案を作成しているところである。そこでの議論と連動することによって、本シンポジウムの議論がより深まることが期待できる。
 また、共催学協会である日本歴史学協会では、昨年のシンポジウムを受けて、2022年8月4日付で「公文書館法の専門職員に係る附則2の撤廃を求める要望書」を発出したが、アーカイブズ専門職問題に継続的に取り組む観点から、本年度は特別報告として、国立公文書館による認証アーキビスト制度の動向についての報告をお願いした。

イベント概要

開催日時 2023年6月24日(土) 13:30~17:30
開催地 オンライン開催
対象 どなたでも参加いただけます
定員 なし(ただし、当日先着300名まではZoomミーティングにお入りいただき、それを超えた場合は、YouTubeで観覧いただきます)
プログラム
総合司会:久留島典子(日本学術会議連携会員、神奈川大学)
開会挨拶:
若尾政希(日本学術会議第一部会員、一橋大学教授、日本歴史学協会委員長、)
趣旨説明:
佐藤孝之(日歴協史料保存利用特別委員会委員長、東京大学名誉教授)
第1報告:「コロナ感染症をめぐる記録と記憶―現状と課題―」
飯島 渉(日本学術会議連携会員、青山学院大学教授、感染症アーカイブズ代表)
第2報告:「保健所の新型コロナウィルス感染症対応に係る記録について」
関なおみ(大田区保健所感染症対策課長、医師)
第3報告:「東京都における感染症記録の保存対応と課題」
工藤航平(国立歴史民俗博物館准教授)
第4報告:「地域博物館におけるコロナ関係資料の収集について」
持田 誠(北海道浦幌町立博物館学芸員)
特別報告:「准認証アーキビストの検討状況について」
伊藤一晴(国立公文書上席公文書専門官)
パネルディスカッション
パネリスト
飯島 渉
関なおみ
工藤航平
持田 誠
司会
大友一雄(日本学術会議連携会員、日歴協国立公文書館特別委員会委員長、国文学研究資料館名誉教授)
佐藤孝之(前掲)
閉会挨拶:
栗田禎子(日本学術会議第一部会員、日本歴史学協会常任委員、千葉大学教授)
 申込み 参加費無料・要事前申込
以下のリンク先にある申込フォームより、申し込み
申込フォームへのリンク
 問い合わせ メールアドレス: wakao.masaki(a)r.hit-u.ac.jp ※(a)を@にしてお送りください。
備考 主催:日本学術会議史学委員会、日本学術会議史学委員会歴史資料の保存・管理と公開に関する分科会、日本歴史学協会
後援:全国歴史資料保存利用機関連絡協議会、日本アーカイブズ学会