公開研究会「デモクラシーの揺らぎと〈法の支配〉」
政治学者のあいだでデモクラシーの揺らぎ、危機、後退が深刻な憂慮をもって議論されるようになって久しい。実際、さまざまな研究調査機関が公表している指標からも明らかなとおり、自由民主主義の危機は現実のものとなっている。問題となっている多くの国では、定期的な選挙実施や憲法に規定された手続きなど、デモクラシーのルールは形式的には維持されているものの、選挙に勝利を収めた与党に主導されるかたちでその本来的な機能や意味が大きく失われてしまっている。いわゆる先進民主主義国もそういった危機から決して無縁ではないことは、米国におけるトランプ時代の例がよく示している。
こうした近年の「デモクラシーの危機」において、一つの大きな焦点を成しているのは、一般に自由民主主義の本質的構成要素とされる「法の支配」あるいは法治国家原則である。たとえば、米国では「デモクラシーの危機」が司法の政治化と手を携えつつ展開を見せているし、デモクラシーと法治国家を政治原則として明確に謳っているEUの加盟国であるポーランドとハンガリーにおいて法治国家の融解がすでに大きく進み、問題化している。
この公開研究会は、民主主義の後退がこの間指摘されている中東欧、米国、そして中南米の専門家から、それぞれの国・地域におけるデモクラシーの揺らぎと「法の支配」のあり様についての報告を受け、「デモクラシーの揺らぎ」がいかに起きるのか、そこではどのような兆候が見られるのか、これに対して何をなすべきかというアクチュアルかつ比較政治学においてもきわめて重要な問題について、「法の支配」とデモクラシーの関係から議論を深めようとするものである。
イベント概要
開催日時 | 2023年6月17日(土)15:30~17:30 |
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開催地 | 山梨大学甲府キャンパスY号館 |
対象 | どなたでもご参加いただけます |
参加費 | 無料、事前申し込み不要 |
プログラム |
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問い合わせ | 大阪公立大学・野田昌吾 メールアドレス: noda(a)omu.ac.jp ※(a)を@にしてお送りください. |
備考 | 主催:日本学術会議政治学委員会比較政治分科会、日本比較政治学会 |