公開シンポジウム「安全安心な未来の食料生産を考える-昆虫がつなぐ2050年の食生活」

 世界的な人口増加により、2050年には人口が現状の 1.3 倍、穀物需要量は1.7倍にも達すると予想され、食料需給のひっ迫が必至の状況にあると言われている。21 世紀を人類が全うできるかは、今を生きる私たちの判断や行動に委ねられていると言っても過言ではない。22世紀へ人類のバトンパスを考えた際に、経済社会における食料確保と環境保全はエッセンシャル・ミニマムと言える。そして、生物資源としての昆虫の科学がその双方に深く関わっていることが、近年の研究動向の中で鮮明になってきた。全人類が未来に向けて共通にもつ最重要課題である食料の確保とその持続可能な生産体系の構築に挑む昆虫学関連の最新の研究にフォーカスし、特に注目されているユニークで革新的な2つの挑戦について紹介したい。1つ目は、食料の生産性を損ねる主要な要因の一つである農業害虫を先端的な技術を駆使して制御し、被害をゼロベースにすることで安全安心な未来型食料生産を目指す研究、2つ目は、有用昆虫を選抜して食料化を図り、また魚類や家禽の飼料とすることで循環型食料生産システムを開発する試みである。従来技術の延長にない大胆な発想に基づく異分野融合型の研究・開発に取り組む日本のリーダー格の研究者を中心に、日々課題解決に向けて研究に勤しむ研究者の貴重な生の声を皆様にお届けしたい。
 本公開シンポジウムが、地球上で私たちの子孫が平和で安心して暮らしていくために何を考えなければいけないのかを一般市民の方々と共有し、ともに考える機会となることを期待している。

イベント概要

開催日時 2023年 6月10日(土) 13:00~16:50
開催地 オンライン開催
プログラム

活動報告

日本学術会議農学委員会応用昆虫学分科会活動報告
小野 正人(日本学術会議連携会員、日本昆虫科学連合代表、玉川大学学術研究所所長)
日本昆虫科学連合活動報告
阿部 芳久(日本学術会議連携会員、日本昆虫科学連合副代表,九州大学比較社会文化研究院教授)

講演

座長:池田 素子(日本学術会議第二部会員、名古屋大学大学院生命農学研究科教授)
1) 「食の未来を社会に広げる科学者の役割」
千葉 一裕(日本学術会議連携会員、東京農工大学学長)
2) 「地域の生物多様性を活かす持続的農業害虫管理」
日本 典秀(京都大学大学院農学研究科教授)
3) 「光、レーザーを利用した害虫防除技術」
村田 未果(農業・食品産業技術総合研究機構植物防疫研究部門級研究員)
4) 「昆虫の家畜化による新しいタンパク質源の導入」
由良 敬(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授)
5) 「養鶏におけるシロアリの飼料化の可能性」
塚原 洋子(京都大学大学院農学研究科特定講師)
 申込み 5月10日より登録受付開始。下記リンク先HPよりご登録下さい。
申込みHP(日本昆虫科学連合)へのリンク
 問合せ先 日本昆虫科学連合事務局 後藤慎介(大阪公立大学 大学院理学研究科)
E-mail : contact*insect-sciences2.sakura.ne.jp (送信の際には*を@に変えてください)
備考 主催:日本学術会議農学委員会応用昆虫学分科会
共催:日本昆虫科学連合