公開シンポジウム「農芸化学分野における『視る・創る』イノベーションの新潮流」

 農芸化学は生命・食・環境に関する幅広い分野にわたる学問分野であり、その研究手法は日々進化している。生命現象を解析するに当たり、iPS細胞の創出やゲノム編集技術の開発がもたらした細胞の性質を遺伝子レベルで改変する技術の貢献が大きいのは勿論のこと、細胞を構成する様々な物質の構造を知り、化学反応を明らかにするための分析化学の手法にも多くの革新が見られる。生命現象を解明し高度利用や創薬に取り組むためには、遺伝子改変によるタンパク質発現調節の先にある、様々な物質がもたらす分子間相互作用を解析することが必須である。また、生物に由来する食品成分の生理機能性、食品の美味しさや物性発現の原理を明らかにすることや、高品質の食品を創出するための高度な加工技術を開発することも農芸化学における重要な命題である。そこで、これまで非常に困難であった複合糖鎖の合成技術の開発や、新しいオミクス技術、in vivo質量分析イメージングなどの最先端研究手法とその応用展開、非破壊的な解析を可能とする独創的な分光分析手法や、AIを利用した食品の品質予測と開発に関する研究など、新進気鋭の若手研究者たちの「視る・創る」ための最先端研究を紹介いただくシンポジウムを企画した。本シンポジウムは、農芸化学の多様な研究領域を内包し、今後の農芸化学分野の発展に大いに寄与すると期待される。

イベント概要

開催日時 2023/3/15(水)16:00~18:30
開催地 オンライン開催
対象 どなたでもご参加いただけます
プログラム
16:00-16:10
はじめに:室田 佳恵子(島根大学生物資源科学部教授)
趣旨説明:熊谷 日登美(日本学術会議第二部会員、日本大学生物資源科学部教授、公益社団法人日本農芸化学会フェロー)
16:10-16:35 「シアル酸含有糖鎖の化学合成とケミカルバイオロジーへの応用」
河村 奈緒子(岐阜大学糖鎖生命コア研究所助教)
座長:吉永 直子(日本学術会議連携会員、京都大学大学院農学研究科助教)
16:35-17:00 「チロシン残基の状態観測を目指したケミカルプロテオミクス」
佐藤 伸一(東北大学学際科学フロンティア研究所助教)
座長:熊谷 日登美(日本学術会議第二部会員、日本大学生物資源科学部教授、公益社団法人日本農芸化学会フェロー)
17:00-17:25 「質量分析イメージングが明らかにする脂質代謝動態」
井上 菜穂子(日本大学生物資源科学部准教授)
座長:大田 ゆかり(群馬大学食健康科学教育研究センター講師)
17:25-17:35 (休憩)
17:35-18:00 「分光分析で生命の輝きを視る」
石垣 美歌(島根大学戦略的研究推進センター助教)
座長:室田 佳恵子(島根大学生物資源科学部教授)
18:00-18:25 「AIを用いた食品の品質予測と品質を支配する機構の解明」
小川 剛伸(京都大学大学院農学研究科助教)
座長:裏出 令子(京都大学名誉教授、公益社団法人日本農芸化学会フェロー)
18:25-18:30
おわりに:裏出 令子(京都大学名誉教授、公益社団法人日本農芸化学会フェロー)
 参加申込み 事前登録が必要です。以下の申込フォームより参加登録をお願いします。
申込フォームへのリンク
 問い合わせ先 E-mail:SCJ25.Symposium*gmail.com (*を@へ変更してください)
備考 主催:日本学術会議食料科学委員会・農学委員会合同農芸化学分科会、公益社団法人日本農芸化学会