公開シンポジウム第3回「With/After コロナ時代におけるケアの課題と新たな取り組み~医療・ケア、倫理、政策の捉え直しと提案~」

 少子高齢人口減少社会が急速に進む日本では、これまでの制度や単一の学問の力では解決困難な複雑な問題が急増している。また地域においては、相互に支え合う機能が脆弱化し、新たな問題に対して地域の力を発揮することにも限界が見られている。さらに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが追い打ちをかけ、医療崩壊や介護崩壊など、様々な社会機能の崩壊が現実の課題として突き付けられた。こうした状況においては、互いに支え合う〈ケア〉が重要な意味をもつであろう。
 我々が提案する「ケアサイエンス」とは、ケアに関わる複雑な問題の根拠を解明するだけでなく、多学問分野および問題に関係する市民、行政、企業等と連携・協働して、〈新しいケア〉のあり方を模索し、共に作り上げていくことを意味する。その中で科学者の地域貢献に関する役割を可視化する。この取り組みによって、「相互支援=ケア」を基盤にもつ「地域共生社会」を構築し、持続可能な地域社会と健康で豊かな生活の実現をめざす。
 本シンポジウムは、with/afterコロナ時代において、脆弱で喫緊の対策が必要な領域の、ケアに関わる先駆的な多分野共同研究および課題への具体的な取り組みをシリーズで紹介し、ケアサイエンスという新しい学問的見地から、直面している問題の核心を探り、関連する学問分野がより効果的に連携・協働できる提案や見解を見出すことを目的とする。
 シリーズ企画の第3弾では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって浮かび上がってきた、高齢者終末期医療として行われたことと課題、日本人が倫理的判断をするための基本価値と選択の方法、政府の感染予防策と適切な医療の確保に関する課題、そして誰もが突然ケアを必要とする人になりうる時代の課題と全国民が皆ケアラーになることの提案をもとに、多分野の登壇者および参加者の皆様との議論を通して、地域社会において共に生きることが成り立つために講じるべく策について検討する。

イベント概要

開催日時 2023/3/18(土)13:00~16:00
開催地 オンライン、及びYouTube配信
対象 どなたでもご参加いただけます
プログラム
13:00 開会
司会 森山美知子(日本学術会議連携会員、広島大学教授)
   山田あすか(日本学術会議連携会員、東京電機大学教授)
13:05 挨拶
武田洋幸(日本学術会議第二部部長、東京大学教授)
13:10 第2回公開シンポジウム「With/After コロナ時代におけるケアの課題と新たな取り組み」の概要
西村ユミ(日本学術会議第二部会員、東京都立大学教授)
13:20 我が国における高齢者終末期医療の課題~コロナパンデミックが浮き彫りにした諸問題
西村正治(日本学術会議連携会員、豊水総合メディカルクリニック医師、北海道呼吸器疾患研究所代表理事、北海道大学名誉教授)
13:40 コロナ対応の倫理的問題:功利主義と自由
河野哲也(日本学術会議連携会員、立教大学教授)
14:00 感染予防策と適切な医療の確保の双方に関わる政策課題
武藤香織(日本学術会議連携会員、東京大学教授)
14:20 ウィズコロナ時代の地域社会とケア~すべての人にケアリテラシーを
山本則子(東京大学教授)
(休憩)
15:00 指定発言
飯島勝矢(日本学術会議連携会員、東京大学高齢社会総合研究機構機構長・未来ビジョン研究センター教授)
質疑応答
16:00 閉会
 参加申込み 以下のリンク先またはポスターQRコードより参加登録をお願いします。
参加申込みページへのリンク
 参加申込み締め切り 令和5年3月14日(火) 17:00まで
備考 主催:日本学術会議健康・生活科学委員会・臨床医学委員会合同少子高齢社会におけるケアサイエンス分科会、臨床医学委員会老化分科会、健康・生活科学委員会看護学分科会
共催:日本看護系学会協議会
後援:日本看護科学学会