公開シンポジウム「ウクライナ戦争の勃発と《共通の安全保障》のゆくえ」

 本シンポジウムは、2022 年 2 月 24 日のロシアによる侵攻で始まったウクライナ戦争について、なぜ対立が武力紛争化したのか、そしてこれから地 球規模の共存の枠組みを再構築できるのかを、国際政治学、国際法、地域研究の観点から議論することを目的とする。 欧州における欧州安全保障協力機構(OSCE)は、特定の国家を排除せず、すべての国家を包摂し、互いに協力することで全体の安全を達成しようとする《共通の安全保障》の理念を体現するものであった。その下で、国内における《多数者による統治》と《少数者の権利》の両立を確認し、少数者の権利保障を理由とする武力による一方的な国境線変更の余地を狭めて各国の領土保全を確かにすることを目指した。今回のロシアによるウクラ イナへの軍事侵攻は、この共存の枠組みを大きく揺るがすものであった。本シンポジウムでは、(1)プーチン政権による武力行使の法的根拠、(2)旧ソ連圏における分離紛争の多様性、(3)共通安全保障と集団防衛との関係、及び(4)今回の戦争の「限定性」といった問題を設定して、ウクライナ戦争を学際的に議論し、今後の展望を示したい。

イベント概要

開催日時 2022年7月29日(金) 14:00~16:50
開催地 オンライン
対象 どなたでもご参加いただけます
定員 500名
プログラム
14:00~14:05 開会挨拶
鈴木 基史(日本学術会議第一部会員、京都大学大学院法学研究科教授)
14:05~14:10 趣旨説明
大芝 亮(日本学術会議連携会員、広島市立大学広島平和研究所長)
14:10~14:30 報告「武力行使の法的根拠の評価」
森 肇志(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
14:30~14:50 報告「旧ソ連圏の分離紛争の比較――非武装地帯の維持と和平交渉のフォーマット」
松里 公孝(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
14:50~15:10 報告「OSCE安全保障体制と移行期正義」
吉川 元(広島市立大学広島平和研究所特任教授
15:10~15:30 報告「残虐な限定戦争」
石田 淳(日本学術会議連携会員、東京大学大学院総合文化研究科教授)
15:30~15:40 休憩
15:40~16:00 指定討論
久保 慶一(早稲田大学政治経済学術院教授)
羽場 久美子(日本学術会議連携会員、青山学院大学名誉教授)
16:00~16:45 総合討論・質疑応答
16:45~16:50 総括・閉会挨拶
大芝 亮(日本学術会議連携会員、広島市立大学広島平和研究所長)
総合司会 酒井 啓子(日本学術会議連携会員、千葉大学大学院社会科学研究院教授)
 事前申込み
以下のページのリンク先より事前申込みして下さい。
事前申込みへのリンク
 問い合わせ先 石田 淳 ishida(a)waka.c.u-tokyo.ac.jp (a)を@に変更してください。
備考 主催:日本学術会議政治学委員会国際政治分科会
共催:科学研究費補助金(基盤研究(A)「国際社会における保護・禁止等の範囲をめぐる学際的研究」(研究代表者 石田 淳)