公開シンポジウム「生命科学分野におけるジェンダー・ダイバーシティ」第3回「Disability Inclusive Academia:障害のある人々の視点は科学をどう変えるか」
2007年9月28日に日本政府は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有の促進・保護・確保をうたう障害者権利条約に署名し、2011年障害者基本法改正、障害者虐待防止法成立、2012年障害者総合支援法や障害者優先調達推進法成立、2013年障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法成立など、同条約と整合性のあるものへと大規模な国内法整備を行った。その後、日本政府は障害者権利条約を批准し、2014年2月19日に発効した。このように、ここ15年で障害のある人の権利を保障する国内外の法制度が急速に整備されて、大学に進学する障害のある学生も年々増えてきている。また、科学研究において、問題解決能力の向上、イノベーションの増加、より正確な予測など、複雑なタスクにおいて、多様性のある研究チームが均質な研究チームグループよりも優れていることを示す豊富な証拠がある(Page et al., 2017; Freeman and Huang, 2014)。また、多様性のある研究チームはより多くの論文を発表し、論文ごとの被引用数も多い傾向にある(Adams, 2013)。さらに、多様で異なる考え方を持つ人々は、医師や科学者として、より広範な社会問題から情報を得ながら診療や研究を行うことで、医療格差の改善に寄与することができるともいわれている(Eckstrand et al., 2016)。ビジネスの世界でもAccenture は、障害のある人を包摂する企業が、売上高、純利益、利益幅、総株主利益、総株主利益などの点で優れた成績をあげていることを報告している。 このように、人権という観点からも、科学の発展という観点からも、障害のある人々を包摂するアカデミア(Disability Inclusive Academia)の実現は重要である。しかし、現実にはアカデミア、なかでもSTEM領域において、障害のある人々の活躍を阻む、物理的・制度的・文化的な障壁が数多く存在している。 本シンポジウムでは、そもそも科学はなぜ、障害のある人に対してインクルーシブでなくてはならないのかという「理念」、そして、数少ない障害研究者はどのような困難に直面しているのかについての「実態」を確認したうえで、アカデミアを障害のある人々にとってインクルーシブにしていくには、どのような技術的・文化的・制度的アプローチがありうるのか、その「解決策」の一端を考えます。
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イベント概要
日時 | 2022年3月23日(水)13:00~16:00 |
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開催地 | オンライン開催(Zoom)※手話通訳と文字通訳がつきます。 |
対象 | どなたでも参加いただけます |
定員 | 約1000名(事前申込先着順) |
プログラム |
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申込み | 参加費無料 以下のページのリンク先より事前に参加登録をしてください。 参加申込みページへのリンク お申し込みいただきました方には、3月21日に参加のURLをご案内いたします。 届かない場合は、再度、お申し込み下さい。 |
問合せ | シンポジウム事務局 メールアドレス:SCJ25.Symposium (a) gmail.com ※(a)を@にしてお送りください |
備考 | 主催:日本学術会議第二部生命科学ジェンダー・ダイバーシティ分科会、日本学術会議科学者委員会男女共同参画分科会 後援:文部科学省、内閣府政策統括官(政策調整担当)、国立研究開発法人科学技術振興機構、公益社団法人日本薬学会、一般社団法人日本看護系学会協議会、一般社団法人日本医学会連合、一般社団法人日本歯科医学会連合、一般社団法人日本農学会、生活科学系コンソーシアム、生物科学学会連合、日本生命科学アカデミー、日本農学アカデミー、男女共同参画学協会連絡会、全国ダイバーシティネットワーク、一般社団法人全国高等教育障害学生支援協議会、日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク、日本障害学会 |