公開シンポジウム「プラスチックのガバナンス:感染症制御のための衛生環境管理と資源循環」

 日本学術会議環境リスク分科会は2020年4月7日に提言「マイクロプラスチックによる水環境汚染の生態・健康影響研究の必要性とプラスチックのガバナンス」を提出した。提言の一つは海洋マイクロプラスチックの削減のためにワンウエイプラスチック(使い捨てプラスチック)の減量化であった。しかしこの提言は、わが国の新型コロナウイルス感染症の流行拡大による最初の緊急事態宣言の発出時期と重なった。その後に目にしたのは容器・包装品の需要の拡大化であった。また、不織布マスクや医療用防護具の需要も増大した。2020年7月1日にレジ袋が有料化され、プラスチック製品の減量に拍車がかかると思っていたが、その反対の方向に向いてしまったようである。新型コロナウイルス感染症の流行制御に時間がかかることを考えると、プラスチックの使用はますます増大することが予想される。一方、感染症の予防や治療の場面において衛生環境の管理の技術の開発とその普及が広く求められている。プラスチックの課題は廃棄物管理の問題であり、パンデミック時のプラスチックの課題への対応は、公衆衛生の技術が必要である。このような背景から、本シンポジウムでは、まず、新型コロナウイルスのような新興感染症パンデミック時の保健医療と環境衛生の関わりについて、公衆衛生における衛生管理の歴史的背景をふまえて全体像をお話しいただく。続いて、パンデミック時にプラスチックの動態がどのように変化したか環境経済学や廃棄物(医療系廃棄物も含む)の視点からお話頂き、提言で発出したプラスチック使用の削減が出来るのか否かについて議論する。ついで2020年に環境リスク分科会が発出した3つの提言に対して、環境省における政策の進捗状況についてお話し頂き、議論する。さらに今までは海洋マイクロプラスチックを低減化するための政策について議論してきたが、空気中マイクロプラスチックの動態、形状や濃度分布ついて議論する。最後に新型コロナウイルスのような新興感染症流行時のプラスチックのガバナンスについて衛生環境管理と資源循環の観点から総合討論し、次の提言の資料とする。

イベント概要

日時 2021/12/23(木)14:50~16:20
開催地 東京大学伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール(東京都文京区本郷7丁目3-1)
対象 どなたでも参加いただけます。
定員 約150名(当日先着順)
参加費 無料
プログラム
座長
中村 桂子(日本学術会議連携会員、東京医科歯科大学大学院国際保健医療事業開発学教授)
大塚 直(日本学術会議第一部会員、早稲田大学法学部教授)
14:50 開会の挨拶
那須 民江(日本学術会議連携会員、名古屋大学名誉教授、中部大学客員教授)
講演
14:55 (1)新興感染症パンデミック時の保健医療と環境衛生管理のかかわりと今後の課題
浅見 真理(国立保健医療科学院生活環境研究部上席主任研究官、日本学術会議第三部会員、環境学委員会委員長)
15:07 (2)感染症パンデミック制御とプラスチック資源循環のガバナンス
石川 雅紀(神戸大学大学院経済学研究科名誉教授)
15:19 (3)廃棄物処理におけるプラスチックごみの取り扱いについて
山田 正人(国立研究開発法人国立環境研究所資源循環領域廃棄物処理処分技術研究室室長)
15:31 (4)海洋プラスチック・マイクロプラスチックの減量化に対する環境省の取り組みについて
中島 慶次(環境省水・大気環境局水環境課海洋プラスチック汚染対策室室長)
15:43 (5)大気中マイクロプラスチックの実態解明と健康影響
大河内 博(早稲田大学理工学術院創造理工学部教授)
15:55 総合討論
16:15 閉会の挨拶
石塚 真由美(日本学術会議第二部会員、北海道大学大学院獣医学研究院教授)
 申込み 事前申込み不要。直接会場にお越しください。
 お問い合わせ先 中村 桂子(東京医科歯科大学)
Email:whocc.ith*tmd.ac.jp(*を@に変更)
備考 主催:日本学術会議環境学委員会・健康・生活科学委員会合同環境リスク分科会、健康・生活科学委員会・基礎医学委員会合同パブリックヘルス科学分科会
共催:日本公衆衛生学会
後援:日本生命科学アカデミー