公開シンポジウム「原発事故から10年-これまで・今・これからの農業現場を考える」

 東日本大震災と、それに伴う原子力発電所の事故により発生した大量の放射性物質による広大な農地の汚染から10年が経過した。しかしながら、いまだに帰還困難区域が残されており、放射性物質による汚染の問題は完了していません。一方で、震災直後には生産が停止した多くの農地において、農地除染、あるいはまた残存する放射性セシウムのカリ施肥による移行抑制対策によって農産物中の放射性セシウム濃度を十分に低下させることに成功しました。日本土壌肥料学会は震災後初期からHP等で数多くの情報を発信すると同時に、構成する多くの学会員が積極的に様々な観点からこの問題に取り組んできました。震災から10年を経過した節目にこれまでに蓄積した知見の集大成を行い、学会員がどのようにこの問題の解決に貢献してきたのかを総括する必要があります。そこで、土壌肥料学という一見地味な学問体系が農業現場に発生した問題に対して、その基盤的な知識と経験に基づいて多くの解決策を示したことを広く周知するとともに、今後の学術的な貢献の道筋や課題についても展望します。

イベント概要

日時 2021/11/5(金)10:20-16:30
開催地 パルセいいざか(福島県福島市飯坂町字筑前27-1)
YouTubeライブ配信も行います(要登録)
※新型コロナウィルスの状況によっては開催方法変更の可能性があります。
対象 どなたでも参加いただけます(事前登録要)
定員 500名
参加費 無料
プログラム
10:20 開会の案内
矢内 純太(日本学術会議特任連携会員、京都府立大学生命環境科学研究科教授)
10:21 日本土壌肥料学会・日本学術会議からの挨拶
波多野 隆介(日本学術会議連携会員、北海道大学名誉教授、日本土壌肥料学会前会長、IUSS第2部門長)
10:26 来賓挨拶
武田 信敏(福島県農業総合センター所長)
10:30 はじまりは地震と共に:成果を繋ぐ研究の進展
塚田 祥文(福島大学環境放射能研究所教授)
11:00 農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について
高田 裕介・前島 勇治・神山 和則(農研機構)
11:30 除染後農地の問題点と農業復興に向けた取り組み
齋藤 隆(福島県農業総合センター)
12:00~12:50 休憩
12:50 動きにくいセシウムの3つのかたち
山口 紀子(農研機構)
13:20 作物を放射能汚染から守る黄砂の力
中尾 淳(京都府立大学生命環境科学研究科准教授)
13:50 カリウム肥料を撒くことの効果―水稲―
藤村 恵人(農研機構)
14:20~14:30 休憩
14:30 ダイズの放射性セシウム濃度が高い理由
二瓶 直登(福島大学農学群食農学類准教授)
15:00 水稲におけるセシウムの吸収と体内での動き
古川 純(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター准教授)
15:30 これから歩む道―日本土壌肥料学会・日本学術会議の役割
信濃 卓郎(日本学術会議特任連携会員、北海道大学農学研究院教授)
15:55 総合討論(パネル形式)
司会:信濃 卓郎(日本学術会議特任連携会員、北海道大学農学研究院教授)
   中尾 淳(京都府立大学生命環境科学研究科准教授)
16:25 閉会の言葉
妹尾 啓史(東京大学農学生命科学研究科教授、日本土壌肥料学会会長)
 申込み 以下のページのリンク先より事前参加申込みをお願いいたします(〆切:2021年11月2日(火))
参加申し込みページへのリンク
申し込み後に講演要旨ダウンロードのためのパスワードをお知らせいたします。
 問合せ 詳細・講演要旨:日本土壌肥料学会
(申込み〆切後の問い合わせ: shinano*chem.agr.hokudai.ac.jp (*を@に変更) )
備考 主催:日本学術会議 土壌科学分科会・IUSS分科会
共催:(一社)日本土壌肥料学会、国際土壌科学連合(IUSS)
後援:福島県、福島大学、農研機構