公開シンポジウム「研究倫理・調査倫理の現在」
広く調査に携わる研究者にとって研究倫理と調査倫理が重要な意味をもつことに疑いを抱く人はおそらくいないだろう。しかし実際に研究倫理と調査倫理が問われる場面に置かれたとき、研究倫理と調査倫理の遵守の仕方について、迷いを感じない人もおそらく少なくはないと思われる。何が研究倫理そして調査倫理に従った行動なのか、それは1か0かで判断できるような単純な問題でないからである。
たとえば、個人の尊厳と研究の透明性の実現はつねに明確に両立するものとは限らず、ときにトレードオフの関係に置かれる。研究の透明性や再現性を高めるためにはオープンサイエンスの流れは不可避であり、調査によって取得したデータは秘匿されるのではなく、公開されることが望ましい。しかし、どれほど匿名化処理を施したデータであっても、複数のデータセットを組み合わせることで個人を特定化できてしまう可能性は否定できない。とりわけSNSで様々な個人情報が行き交い、さらにビッグデータを扱う時代になると、社会調査データから個人が特定される可能性は飛躍的に高くなり、個人のプライバシーや安全が脅かされる危険も高まることになる。このような社会調査データの予期されざる二次使用の可能性が高まっているとき、調査データの公開を求める研究倫理と個人の尊厳を尊重する調査倫理をどう両立させるかは、決して容易な問いとはいえない。
また、IT関連技術の進歩は、研究の可能性を大きく広げるものであると同時に、かつては存在しなかった研究倫理上の問題を新たに提起もしている。たとえば生成AIの登場によって、研究者は調査研究のプロセスを大幅に効率化させることができるようになった。しかし、そのことによって研究成果のオーサーシップの範囲が不明確化もしている。
以上のように、激しく変化する時代の流れのなかで、研究倫理と調査倫理を「正しく」実現することの困難さが従来以上に増しているものと思われる。本シンポジウムでは、研究倫理と調査倫理の現在を問い、社会学者が調査研究を通して社会に貢献するために今どのように行動すべきなのか、このことについての議論と理解を深めたい。
たとえば、個人の尊厳と研究の透明性の実現はつねに明確に両立するものとは限らず、ときにトレードオフの関係に置かれる。研究の透明性や再現性を高めるためにはオープンサイエンスの流れは不可避であり、調査によって取得したデータは秘匿されるのではなく、公開されることが望ましい。しかし、どれほど匿名化処理を施したデータであっても、複数のデータセットを組み合わせることで個人を特定化できてしまう可能性は否定できない。とりわけSNSで様々な個人情報が行き交い、さらにビッグデータを扱う時代になると、社会調査データから個人が特定される可能性は飛躍的に高くなり、個人のプライバシーや安全が脅かされる危険も高まることになる。このような社会調査データの予期されざる二次使用の可能性が高まっているとき、調査データの公開を求める研究倫理と個人の尊厳を尊重する調査倫理をどう両立させるかは、決して容易な問いとはいえない。
また、IT関連技術の進歩は、研究の可能性を大きく広げるものであると同時に、かつては存在しなかった研究倫理上の問題を新たに提起もしている。たとえば生成AIの登場によって、研究者は調査研究のプロセスを大幅に効率化させることができるようになった。しかし、そのことによって研究成果のオーサーシップの範囲が不明確化もしている。
以上のように、激しく変化する時代の流れのなかで、研究倫理と調査倫理を「正しく」実現することの困難さが従来以上に増しているものと思われる。本シンポジウムでは、研究倫理と調査倫理の現在を問い、社会学者が調査研究を通して社会に貢献するために今どのように行動すべきなのか、このことについての議論と理解を深めたい。
概要
| 開催日時 | 令和8(2026)年3月8日(日)13:00~16:30 |
|---|---|
| 開催地 | オンライン |
| 対象 | どなたでも参加いただけます |
| 定員 | 1,000人 |
| 申込み | 申込み:参加費無料・要事前申込 以下のリンク先申込フォームより、お申し込み 参加申し込みフォームへのリンク |
| 備考 | 主催:日本学術会議社会学委員会・社会学系コンソーシアム |
プログラム
- 司会:数土 直紀(一橋大学大学院社会学研究科教授)
- 13:00 開会の挨拶
- 白波瀬 佐和子(日本学術会議第一部会員/東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授)
吉川 徹(日本学術会議連携会員/大阪大学人間科学研究科教授)
- 13:10 趣旨説明
- 数土 直紀(一橋大学大学院社会学研究科教授)
- 13:20 報告
-
- 「社会調査の公益性を考える」
- 田代 志門(東北大学大学院文学研究科教授)
- 「デジタルデータは収集から生成へ:計算社会科学からみる生成AI活用の課題」
- 笹原 和俊(東京科学大学環境・社会理工学院教授)
- 「調査倫理に関する質的調査の困難:倫理審査と調査者のヴァルネラビリティ」
- 丸山 里美(京都大学大学院文学研究科教授)
- 14:50 休憩
- 15:00 討論
- 武藤 香織(日本学術会議連携会員/東京大学医科学研究所教授)
三輪 哲(立教大学社会学部教授)
- 15:30 総合討論
- 16:25 閉会の挨拶
- 岩井 紀子(日本学術会議第一部会員/日本版総合的社会調査共同研究拠点大阪商業大学JGSS研究センターセンター長)
お申込み・お問い合わせ先
社会学系コンソーシアム事務局
メールアドレス: socconsortium[at]socconso.com([at]を@に変更してください)
メールアドレス: socconsortium[at]socconso.com([at]を@に変更してください)