学習と記憶
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(2)主体性
きらいな科目の勉強が身につかないのはなぜ?
学習や記憶をするときには「主体性」が大切。イヤイヤ勉強しても身につかないんじゃよ。
 学習や記憶をするときに大切なことの一つは「主体性」、つまり自分から進んで行うことです。
 意欲を持って勉強しないと身につかないことは、だれでも体験的に知っていると思います。イヤイヤやっても、決して勉強の効率はあがりません。
 脳に大きなダメージを受けながら、見事にリハビリでそれを克服(こくふく)した人を調べてみると、そうした人たちに共通するのは、どの人も自分から積極的にリハビリをしていこうという「主体性」を持っていたことです。

どうして「主体性」を持つと、脳の成長がよくなるの?
脳の中に、記憶が定着しやすくなったり、情報が伝わりやすくなったりする物質が出やすくなるからなんじゃ。
 脳の奥深くにある脳幹(のうかん)という部分には、青斑核(せいはんかく)という青い小さな部分が左右1つずつあります。青斑核は、あるものに注意を向けたりすると興奮して、ノルアドレナリンという脳内物質を作り、脳全体に供給しています。ノルアドレナリンには、脳の柔軟性(可塑性)を増し、ニューロンネットワークが作られやすくする働きがあります。つまり学習しながらノルアドレナリンが脳の中に出ると、ネットワークがスムーズに作られ、記憶が定着しやすくなるのです。
 海馬の働きでも、おもしろい報告があります。私たちが初めての場所に行ったり、新しいものに出会ったりして、興味を持っているとき、海馬からθ波(シータは)という脳波が出るといいます。ニューロンネットワークの接続部分(シナプス)では、このθ波が出ているとき、情報伝達の効率がアップするのです。
 これらを総合してみると、「主体的」であることの大切さがよくわかります。
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