 |

「そこがかんじんなところじゃ。メガネの倍率を上げるぞ。よいか。」 |
 |
 |
「妖精みたいなものがたくさん寝ているね。」 |
 |
「妖精をよく見てごらん。何種類いるかわかるかな。」 |
 |
「アデニン、チミン、グアニン、シトシン。
なんか人のなまえみたいだけど種類はこれだけ? 四種類になるね。」 |
 |
「科学的にはDNA、デオキシリボ核酸と呼ばれておる。 頭文字をとってA,T,G,C。この4種類の組み合わせでヒトゲノムは出来ている。 端から端まで30億、二組合わせると60億。 まあ、世界の人口が60億といわれておるから、それと同じ数だけ、ゆうき君の細胞の核の中にはDNAが並んでいるということになる。」 |
 |
「えーっ。すごい数だね。細胞は頭の中にも筋肉にも、骨にも体中にあるんだよね。 みんなおんなじゲノムをもっているの?」 |
 |
「そうなんじゃ。ゆうき君の場合を考えてみようか。お母さんとお父さんからゲノムを一組ずつもらってゆうき君のもとになった受精卵のゲノムができたのさ。これが細胞分裂のたびにコピーされてゆうき君の体中の細胞の中に受精卵と同じゲノムが入っておるのじゃ。 体の細胞は60兆個あるといわれておるから、ゆうき君ゲノムの数は60兆個ということになるの。」 |
 |
「うわっ、気が遠くなりそうだな。 でもさ、みんなゲノムは同じなのに、心臓とか脳とか筋肉とかいろいろな細胞があるの?」 |
 |