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 「こんにちは博士。この間僕の体の中にはゆうきゲノムがあるって教えてくれたよね。 でもさ、どんな働きをするものなのかわからないんだよね。 博士は見たことあるの。」 |
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「そうじゃの。わしも見たことはない。でもな、ゆうき君もわしも生きておる。これはゲノムが体の中で働いてくれているおかげなんじゃ。わかるかの。」 |
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「僕が生きてるのも、博士が生きてるのもゲノムが働いているからなんだね。ワンワンでも、蝶でもえんどう豆でもみんなゲノムが働いているから生きている。でも、どうしてなのかやっぱり不思議だよね。 」 |
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「ワンワンもゲノムで生きているのだ。」 |
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「でも、博士のように教えてくれると、ボクも興味が湧くんだよ。」 |
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「ワンワンも興味があるのだ。」 |
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「ゆうき君やワンワンだけじゃない。この間はなしたメンデルさんも、えらい、えらい生物学の先生も、もちろんわしもその秘密を知りたいと研究を続けておるのじゃ。そこで世界中の学者が集まって、ゲノムの働きを全て明らかにしようと、10年ほど前から始まったのがヒトゲノム解読計画じゃ。
アポロ計画に匹敵する壮大な計画といわれておる。」 |
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「<アポロ計画>は知ってるよ。テレビで見たことがある。 月まで宇宙船が飛んでいって、人間が着陸したんでしょ。 すごいよね。ボクも行ってみたい。」 |
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「よし、じゃあこのメガネをかけてごらん。」 |
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「また、博士が発明したの?」 |
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「 そうじゃ。このメガネはどんな場所でも自由にのぞくことができる。 宇宙の果てから海の中。ゆうき君の体の中や、どんな小さな細胞の中でも見ることができるんじゃ。さあ、パワーをONにしてこのリモコンで操作するんじゃ。 さあ、回すぞ。どうじゃ見えるか。」 |
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「うん。うん。月に近づいていく。わあっ、何もないね。岩とほこりみたいな砂と。とにかく誰もいないよ。」 |
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「それじゃあ、地球の方を見てごらん。」 |
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「うわー。これが地球か。青くてとてもきれいだ。生きてるみたい。」 |
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「そうじゃろ。果てしない黒い宇宙にぽっかりと浮いた青い星。この月から見た地球の写真は、地球が生命の星であるという感動、そして地球は一つ、かけがえのないもであることを教えてくれたんじゃ。地球環境問題を考える大きなきっかけにもなったんじゃ。アポロ計画が生んだもっとも偉大な成果といえるの。」 |
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「そうするとヒトゲノム解読計画でも月から見た地球の写真みたいにみんなを感動させるようなことがわかるのかな。」 |