循環型社会について
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循環型社会
おもしろ博士通信

今回が循環型社会の最終回じゃ。
みんなも地球が循環する仕組みで成り立っているのはわかってきたじゃろう。生き物たちは長い長い時間をかけて進化し続け、その結果われわれが生きるために必要なものをたくさん作ったんじゃ。酸素は何十億年も前の微生物によって作られ、また自動車や新幹線に使われている鉄の原料も生物が作ってくれた鉄鉱石じゃ。われわれ人間が日常使っているプラスチック製品、洋服に使用されている化学繊維、ストーブに使う灯油や自動車を動かすガソリンなど、すべて石油があるおかげじゃ。その石油も、もとはといえば数億年以上も前に生きていた動物や植物が死んだあとで地下深く沈み、強い圧力や高い熱で分解されてできたものなんじゃ。石油や鉄鉱石などの資源をただ消費するだけでなく、大切に使わなくてはいかんのじゃ。限りある資 源だからこそもっと効率良く、もっと有効に利用するべきなんじゃ。
さあ循環型社会についてもっと勉強して、考えようじゃないか。

博士 やあ、よくきたの。毎日、毎日、二人とも熱心じゃの。
メンバー
氷山
クジラと人の食糧比較
 
生活に必要なエネルギー
りか 博士がいいところに連れて行ってくれるっていうから、きょうは楽しみにしてきたのよ!
ゆうき このカプセルみたいなものはなんなの?
博士 これもわしの秘密の発明じゃ。これに乗れば、地球上のどこへでも簡単に行くことができる。ただし仮想空間ということになるがの。
ゆうき 仮想空間か。CGでできたゲームみたいなもんだね。
博士 ゆうき君はよく知っておるの。それじゃあ出発じゃ。
りか うわー、きれい。青い海に白い氷山。ロマンチックだわ!
ゆうき 映画のタイタニックの舞台になった北極かな?
博士 ここは北極ではなく南極なんじゃ。ほれ、みてごらん。海の表面から煙があがっておるじゃろ。わかるかの。
りか クジラだわ!大きいわね。
博士 地球史上最大の生物じゃ。クジラで一番大きいシロナガスクジラは体の長さが30メートルを越え、体重は100トン以上もある。人間ならゆうに2000人分に匹敵することになるんじゃ。クジラは地球史上最大の動物じゃ。
りか そんなに大きかったらエサもたくさん必要になるわね。足りなくなることもあるんじゃないかしら?
博士 よく気が付いたの。確かに不思議じゃよな。こんなに寒い南極にクジラがお腹いっぱいになるほどエサがあるんじゃからな。
ゆうき 体重で考えたらクジラ一頭で2000人分の食糧がいるわけだよね。信じられないな。
博士 よいか、海の水も循環しておるといったじゃろ。これが不思議をとくカギじゃ。南極の海には海底から湧き出てくる大きな流れがあるんじゃ。長い時間をかけて世界中から海へ流れ込んだ栄養分が海の底からこの流れに乗って浮かび上がってくる。信じられないくらい豊かな栄養分が含まれておるんじゃ。するとどうじゃ、プランクトンがたくさん増えることになる。これをエビに似たオキアミが食べて、オキアミがまたたくさん増え、南極の海全体と言っていいほどの大変な量になる。クジラは大きな口を開けて泳げば、いくらでもオキアミを食べることができる。南極はたくさんのクジラを養うことができる世界でもっとも豊かな海のひとつなんじゃよ。
りか どんなにたくさんオキアミがいても、クジラがたくさんになったら、やっぱり足りなくなるわよね。
博士 それはそうじゃが、もしオキアミが少なくなれば、クジラの数も減ることになる。もし、クジラが死んだら栄養分は海に溶けて、プランクトンのエサになる。するとオキアミの数もまた増えるわけじゃ。ちゃんと海の循環の仕組みが成り立っておるんじゃよ。
りか クジラとオキアミなんて大きさがずいぶん違うけど、キチンとした仕組みになっているのね。
ゆうき クジラは史上最大の動物でも海の循環に組み込まれているんだ。僕たち人間はどうなんだろう。コンビニなんかにいけば、いつでも好きなものが買えるわけだし。
博士 そうじゃよ、食べ物がいつでも好きなだけ手に入るというのはとてもぜいたくなことなんじゃ。食べ物だけではないぞ。人間はエネルギーを使って動物にはまねのできないこともしておる。たとえば、電車や車を動かしたり、テレビや電話・冷蔵庫・コンピュータを使い、夜になれば明かりをつけるじゃろ。つまり、電気やガス、石油などいろいろなエネルギーを使っておるわけじゃ。これらをすべてエネルギーとして計算すると、日本人が一人で一日に消費する量は、アフリカゾウが必要とする量に匹敵するという専門家もおるんじゃ。
りか アフリカゾウは地上では一番大きな動物でしょう。
博士 それじゃあ、こんどはアフリカに飛んでみよう。
   
   
博士 見てごらん、ゾウの群れが草を食べておるじゃろ。
ゾウ
 
メンバーゾウ
りか 赤ちゃん象が可愛いわ。でもすごい食欲ね。どのくらい食べるのかしら。
博士 大人のゾウの場合で一日に150Kgから200Kgの草などが必要だといわれておる。
ゆうき そんなに食べるの!
りか ゾウが食べる草もすぐになくなったりしないのかしら。 心配だわ。
博士 いやいや、クジラやゾウのことを心配してる場合ではないかも知れんぞ。ゆうきくんもりかちゃんも、日本人のひとりひとりが、このゾウが食べるのと同じ量のエネルギーを毎日使っておる。つまり、日本人の体の大きさは、使うエネルギーの量に例えて見るとゾウと同じになるということなんじゃよ。
ゆうき ぼくもりかちゃんもゾウだったらすごいことになるな。
りか そうよね、わたしたちはそれだけたくさんのエネルギーを使っているということよ ね。クジラやゾウも心配だけど、自分たちのことも考えないといけないわね。
博士 そうじゃよ。循環型社会という考え方が出てきたのも、このままエネルギーや資源を使い続けていたら大変なことになると感じる人が増えてきたからじゃな。わしや君たちの生きている間は困ることはないかもしれないが、君たちの子供や、孫やそのまた子供の時代なったら、大変なことになるじゃろ。エネルギーもない、資源もないとなったら、人類が絶滅ということにもなりかねんのじゃ。
ゆうき でも、今の便利で快適な生活をやめるのは難しそうだな。
博士 そこでじゃ、未来のために努力をせんといかんのじゃよ。
よし、今度は北に飛んでその成果を見てもらうことにしよう。
いくぞ!
   
   
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