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やあ、よくきたの。毎日、毎日、二人とも熱心じゃの。 |
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博士がいいところに連れて行ってくれるっていうから、きょうは楽しみにしてきたのよ! |
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このカプセルみたいなものはなんなの? |
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これもわしの秘密の発明じゃ。これに乗れば、地球上のどこへでも簡単に行くことができる。ただし仮想空間ということになるがの。 |
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仮想空間か。CGでできたゲームみたいなもんだね。 |
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ゆうき君はよく知っておるの。それじゃあ出発じゃ。 |
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うわー、きれい。青い海に白い氷山。ロマンチックだわ! |
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映画のタイタニックの舞台になった北極かな? |
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ここは北極ではなく南極なんじゃ。ほれ、みてごらん。海の表面から煙があがっておるじゃろ。わかるかの。 |
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クジラだわ!大きいわね。 |
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地球史上最大の生物じゃ。クジラで一番大きいシロナガスクジラは体の長さが30メートルを越え、体重は100トン以上もある。人間ならゆうに2000人分に匹敵することになるんじゃ。クジラは地球史上最大の動物じゃ。 |
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そんなに大きかったらエサもたくさん必要になるわね。足りなくなることもあるんじゃないかしら? |
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よく気が付いたの。確かに不思議じゃよな。こんなに寒い南極にクジラがお腹いっぱいになるほどエサがあるんじゃからな。 |
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体重で考えたらクジラ一頭で2000人分の食糧がいるわけだよね。信じられないな。 |
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よいか、海の水も循環しておるといったじゃろ。これが不思議をとくカギじゃ。南極の海には海底から湧き出てくる大きな流れがあるんじゃ。長い時間をかけて世界中から海へ流れ込んだ栄養分が海の底からこの流れに乗って浮かび上がってくる。信じられないくらい豊かな栄養分が含まれておるんじゃ。するとどうじゃ、プランクトンがたくさん増えることになる。これをエビに似たオキアミが食べて、オキアミがまたたくさん増え、南極の海全体と言っていいほどの大変な量になる。クジラは大きな口を開けて泳げば、いくらでもオキアミを食べることができる。南極はたくさんのクジラを養うことができる世界でもっとも豊かな海のひとつなんじゃよ。 |
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どんなにたくさんオキアミがいても、クジラがたくさんになったら、やっぱり足りなくなるわよね。 |
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それはそうじゃが、もしオキアミが少なくなれば、クジラの数も減ることになる。もし、クジラが死んだら栄養分は海に溶けて、プランクトンのエサになる。するとオキアミの数もまた増えるわけじゃ。ちゃんと海の循環の仕組みが成り立っておるんじゃよ。 |
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クジラとオキアミなんて大きさがずいぶん違うけど、キチンとした仕組みになっているのね。 |
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クジラは史上最大の動物でも海の循環に組み込まれているんだ。僕たち人間はどうなんだろう。コンビニなんかにいけば、いつでも好きなものが買えるわけだし。 |
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そうじゃよ、食べ物がいつでも好きなだけ手に入るというのはとてもぜいたくなことなんじゃ。食べ物だけではないぞ。人間はエネルギーを使って動物にはまねのできないこともしておる。たとえば、電車や車を動かしたり、テレビや電話・冷蔵庫・コンピュータを使い、夜になれば明かりをつけるじゃろ。つまり、電気やガス、石油などいろいろなエネルギーを使っておるわけじゃ。これらをすべてエネルギーとして計算すると、日本人が一人で一日に消費する量は、アフリカゾウが必要とする量に匹敵するという専門家もおるんじゃ。 |
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アフリカゾウは地上では一番大きな動物でしょう。 |
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それじゃあ、こんどはアフリカに飛んでみよう。 |
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見てごらん、ゾウの群れが草を食べておるじゃろ。 |
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赤ちゃん象が可愛いわ。でもすごい食欲ね。どのくらい食べるのかしら。 |
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大人のゾウの場合で一日に150Kgから200Kgの草などが必要だといわれておる。 |
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そんなに食べるの! |
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ゾウが食べる草もすぐになくなったりしないのかしら。 心配だわ。 |
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いやいや、クジラやゾウのことを心配してる場合ではないかも知れんぞ。ゆうきくんもりかちゃんも、日本人のひとりひとりが、このゾウが食べるのと同じ量のエネルギーを毎日使っておる。つまり、日本人の体の大きさは、使うエネルギーの量に例えて見るとゾウと同じになるということなんじゃよ。 |
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ぼくもりかちゃんもゾウだったらすごいことになるな。 |
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そうよね、わたしたちはそれだけたくさんのエネルギーを使っているということよ ね。クジラやゾウも心配だけど、自分たちのことも考えないといけないわね。 |
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そうじゃよ。循環型社会という考え方が出てきたのも、このままエネルギーや資源を使い続けていたら大変なことになると感じる人が増えてきたからじゃな。わしや君たちの生きている間は困ることはないかもしれないが、君たちの子供や、孫やそのまた子供の時代なったら、大変なことになるじゃろ。エネルギーもない、資源もないとなったら、人類が絶滅ということにもなりかねんのじゃ。 |
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でも、今の便利で快適な生活をやめるのは難しそうだな。 |
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そこでじゃ、未来のために努力をせんといかんのじゃよ。
よし、今度は北に飛んでその成果を見てもらうことにしよう。
いくぞ! |
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