循環型社会について
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循環型社会
りか どこに地球があるの? ところどころ光っているけど、海はないみたい。
マグマの地球
地球のはじまり(マグマオーシャン)
大雨
地球最初の雨
微生物誕生
酸素のない世界に微生物誕生
酸素を放出する生物誕生
酸素を放出する生物誕生
酸素のある世界
鉄がうまれる
鉄の利用
地球
地球
ゆうき 温度も高そうだ、地球なら生き物がいるはずだけど、これじゃ無理みたいだね。
博士 そう、地球の始まりには生命がいなかった。金星や火星と似たようなものじゃったんじゃ。小さな微惑星が次々と地球に衝突して、そのエネルギーで地球の表面はどろどろに溶けていた。火山の元になるマグマのようなどろどろの地球。専門家は「マグマオーシャン」、マグマの海と名づけておる。生命はいなかったし、海も水もなかった。
りか ぜんぜん違うじゃない。本当に地球なの?
博士 それが不思議なところなんじゃな。微惑星にはわずかならが水分が含まれていた。1000度を越えるような高温じゃからあっという間に蒸発してしまう。ところが、地球の引力で宇宙に飛び去るのを防ぐことができた。そこで、空には水分がどんどんたまってくる。
ゆうき 空にたまったんなら雨になるはずだよね。
博士 いや、その時には、地球の温度が高すぎて水蒸気が水滴になることが出来なかったんじゃ。ところが、1億年くらいが過ぎると、地球の温度も下がってきた。ある時突然、水滴が出来て、地球最初の雨が降ったんじゃ。
りか 最初の雨だとシトシト降ったのかしら。
博士 それがとんでもない大雨じゃった。想像してごらん。降った雨の量は、今の海とほとんど同じ分量じゃ。海と同じ量の水が、空から落ちてきたんじゃ。とんでもない大洪水だったんだ。雨がやむと海が出来ていた。地球は海を持つ星になった。
ゆうき 金星や火星にはどうして海ができなかったの?
博士 金星は太陽に近すぎて、水蒸気が熱で分解して宇宙に逃げてしまった。火星は小さいから引力が弱すぎた。地球だけが幸運にも水を逃がさないで海を作ることが出来たんじゃ。
りか 海ができたのはいいんだけど、生命はどうなったの?
博士 これは一番大きな謎なんじゃ。海に溶け出した微惑星の成分が集まって、生命の元になるアミノ酸やたんぱく質がたくさんできた。このたんぱく質を元に、DNAもできた。DNAはゲノムじゃな。勉強したじゃろう。ヒトゲノムの元になるような遠い、遠いご先祖様のゲノムができた。
りか 謎っていうけど、確かなの?
博士 いまの地球には3000万種類とも言われる生物が住んでいる。最初の生命は細菌のようなものじゃったが、植物や動物、魚や恐竜や鳥や、サルや人間を長い年月をかけて次々に生み出してきた。これだけたくさんの種類があるのに、ゲノムの仕組みは同じなんじゃ。海で最初に生まれた生命のゲノムの仕組みを改良して、何億年もかけて3000万種類の生命が生きる地球ができた。最初は酸素もなかったんじゃよ。
ゆうき そうすると、宇宙服がないと生きていけないんだ。
博士 酸素のない世界で海に生まれた生命は、海に溶け込んだアミノ酸やたんぱく質を食べながら子孫を増やしていった。アミノ酸やたんぱく質がなくなると、お互いを餌にして食べあったのかもしれない。こうして、生命から生命へ栄養分が循環するようになっていった。やがて、植物の先祖となる生物が太陽の光を利用して、栄養分を自分で作り出すようになった。海にとけているアミノ酸やたんぱく質にたよる必要がない。そうなるとどんどん子孫を増やすことができる。
りか 地球に海が出来たのが45億年前でしょう。生物の祖先はいつ頃生まれたの?
博士 もちろん、それも謎じゃが、40億年前には最初の生命が生まれていたのではないかと考えられるんじゃ。生命はうまれたが、海の中にも空にも酸素はなかった。二酸化炭素がほとんどじゃ。
ゆうき 酸素もないのにどうして生きていられるの?
博士 ゆうきくんのおなかの中には大腸菌がおるの。この大腸菌は酸素がなくても生きていける。二酸化炭素を呼吸しておるのじゃ。大腸菌のように酸素がなくても生きていけるのは、最初に生まれた生命の直接の子孫じゃろうな。
りか わたしたちが吸っている酸素はどうやってできたのかしら。
博士 太陽の光を利用して栄養を作り出した生物は、二酸化炭素を取り込んで、廃棄物として酸素を出すようになったんじゃ。地球の大気に含まれる21パーセントの酸素はこの時代から生物が作り出して、溜め込んでくれたものなんじゃ。
りか わたしたちの生きるために必要な酸素が最初からあったんじゃないんだ。
博士 酸素だけではないぞ。たとえば鉄だ。自動車でも新幹線でも鉄がなければ出来やしない。この鉄も生物が作ったんじゃ。植物が吐き出した酸素は、海に解けていた鉄分を酸化してサビとして沈殿させた。これが鉄鉱石じゃ。オーストラリアや中国など世界中の鉄鉱石は生命が出した酸素によって、この時代に作られたものなんじゃ。
ゆうき 20億年とか30億年前に出来たものを僕たちは利用してるんだ。
博士 石油、石炭、天然ガスなど「化石燃料」と呼ばれておるが、これも生命がたくさん生まれて、その体が集まって出来たものと考えられておる。
ゆうき 地球にたくさんの生命がいるのも、僕たち人間が暮らしていけるのも、地球だけじゃなくてたくさんの生き物がいてくれたおかげなんだ。
博士 そして大事なのは循環じゃ。太陽の光で光合成をする植物プランクトンや動物プランクトンを魚が食べる。もっと大きな魚がこれを食べる。魚の卵や赤ちゃんがまた他の魚の餌になる。死んだ魚が分解されると植物プランクトンの栄養になる。
りか 「食物連鎖」って言うのよね。
博士 そうじゃな。海の食物連鎖は川を上るサケによって、山の上まで繋がってる。鳥や熊やネズミ。アフリカの動物たちのように激しい戦いもある。たとえばライオンが増えすぎると獲物が少なくなるし、ライオンが少なくなれば獲物は増えてくる。
ゆうき 循環しているからバランスが取れるんだ。
博士 金星とも火星とも似ているが違っている。その少しの違いが海を作り、生命を生んだ。地球を「奇跡の星」と呼ぶこともできるじゃろう。この奇跡は生命の循環が支えておるのじゃ。
りか ロマンが壊されてどうなるのかと思ったけど「循環」にはすごいドラマがあったんだ。遠い過去やたくさんの生き物にしてる。「循環型社会」って難しい言葉だと思っていたけど、楽しくなりそう。
ゆうき 本当だね。もっと知りたいな。博士、よろしくね。
博士 お安い御用じゃが、遅くなってしまったの。
今夜はこのへんにしておこう。
   
   
おもしろ博士コラム

さーて、ここでまとめじゃ。
われわれが住んでいるこの地球上のすべての人間、植物、動物そして石油や鉄などの資源は
この地球という星だから造られそして成長してきたんじゃ。
アフリカの大地にも自然の厳しい現実がある。
百獣の王といわれるライオンも子供のころにその他の肉食動物のえじきになってしまうこともある。
しかし、そうやって多すぎず少なすぎず自然に数が整っていくからこそ、
アフリカの大地ではシマウマ、キリン、サイそしてゾウなどが生きていけるんじゃ。
前回、話したように山に繁った木や大地から沢山の栄養分を
含んだ水が川に流れこんでそして海に向かっている。
川に流れ込んだ栄養分は川に住んでいるプランクトンの餌になる。
そしてサケの子供は産まれた川でプランクトンを食べて生活しているんじゃが
少年少女になるころ海に向かうんじゃ。海でもたくさんのプランクトンを食べて大人になる。
その大きくなったサケを海に住むほかのシャチやサメなどの大きい魚たちが食べてしまう。
そしてある時、海の戦いに勝ち残ったサケ達が子供を産むために戻ってくるんじゃ。
同時に海からたくさんの栄養を山に返すためでもあるんじゃ。
すべての生き物が一定のサイクルでなんらかの形で大地にそびえる山、川そして海といった環境とかかわり、つながりあいながら生きている。
自然は、そうやってすべてが循環するから成り立っておるんじゃ。

循環


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「森は海の恋人」ホームページ:「森は海の恋人関連」に植樹祭についてのレポートがあります

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