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山と海を結びつける川はどんな役割を持っておるじゃろうか。 |
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水が流れるよね。山に雨が降って、それが川に流れ込んで海に行くんだ。 |
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川の水にはなにがおるかな。 |
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サケの子供がいるわね。 |
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そう。他には山の木々が作り出した栄養分も雨水に溶け出して川に流れ込む。鉄分とか塩分とかを量は少ないが山から海に運んでいくんじゃ。 |
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そうか。
海でプランクトンが川が運んでくる養分を食べて育つんだ。 |
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プランクトンは魚のえさになるわ。 |
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そうじゃよ。川が海を泳ぐ魚を育てるんじゃ。 きれいに見える紅葉が、海を泳ぐマグロや鯨にもつながっているということじゃ。 |
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ほんとうかしら ますますロマンチックに見えてくるわね あのもみじが作る栄養がイルカの赤ちゃんを育てるんだ。 |
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そういえばさ、海で働く漁師の人たちが山で木を植える話を聞いたことがある。 |
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そうそう、「森は海の恋人」とか「山は海の恋人」とかいうのよね。 |
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それでは子供たちを産みにやってきたサケはどうだろう。 |
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むずかしい問題だね。 |
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川をさかのぼるんだから、何かを海から運んでくるのかしら。 |
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そうじゃよ、そこなんじゃ 大きなサケの体はじつは栄養分のかたまりなんじゃ。他の魚や周りの木の養分になる海に流れ出した栄養を山に戻す重要な働きをしているというわけじゃ。もちろん、サケだけでできることではない。鳥も海から陸、陸から山へ養分を運び上げる役割をしておる。 |
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山から海へ、海から山へ栄養分が循環してるんだ。そうやって、何万年も続いてきたんだね。 |
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わからないことも多いのじゃが、自然というものは水でも栄養分でもうまく回転させて、いろいろな命をはぐくみ育てておる。 そして、一つ一つの生き物が、循環という歯車の一つ一つの役割を 担っておるというわけじゃの。 |
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循環型社会って言うことを最近よく聞くけど、自然の中ではあたりまえのことなんだ。 |
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落ち葉だってドングリだって、キノコだって自然の中では大切な働きがあるのね。 |
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循環型社会が何を目指しているのか、もう少し勉強してみようかの。 |
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