学習と記憶
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(3)脳とコンピュータとの違い
人間の脳には、どんなすごい能力があるの?
  ひとつは、外からの刺激に対応してニューロンネットワークを変えていける「脳の柔軟性」じゃ。
情報が流れやすくなる仕組み
 例えばあなたが何かを覚えようとしているとき、脳のニューロンネットワークには、それに対応したインパルス(電気信号)が流れていきます。そのときシナプスでは、次のようなことが起きます。
 インパルスが来ると、その末端から「神経伝達物質」が出て、次のニューロンのレセプターにキャッチされますが、繰り返しインパルスが来るとレセプターの数が増え、シナプスの感受性が高まります。このおかげでニューロンネットワークには、よりスムーズに情報が流れるようになります。
 さらにニューロンは、軸索(じくさく)が伸びて新しいシナプスが生まれ、ネットワークを補強したり新しく作ったりもします。
 脳には、外から入ってくる刺激によってどんどん変化していくことができる能力があるのです。

コンピュータにはない人間の脳の能力ってなに?
 連想や空想、創造などができることじゃ。
 私たちの脳が何かを記憶するときには、同じニューロンをいくつもの記憶に対して使い回しています。こうすれば限られた数のニューロンを効率的に使えるからです。
 この仕組みは、人間の脳のすばらしい能力を作り出す原動力にもなっています。1つのニューロンを使って違う情報をいくつもあつかうということは、「連想」という人間にしかできない脳の機能を生み出すことができるからです。
 ニューロンのネットワーク上で、「まったく違った情報」をいろいろ組み合わせたり、離したりすることで、私たちは空想したり、ひらめいたり、創造したりすることができるのです。
 こうした仕組みで、人間の脳はコンピュータにはできないすばらしい能力を発揮できるんじゃ。
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