学習と記憶
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(1)ニューロン
ニューロンって、体を作っている細胞とはちがうの?
  体を作っている細胞は再生するんじゃが、ニューロンは生まれたときから増えたりすることが基本的にはないんじゃ。
 人間の体は50兆個もの細胞でできています。細胞は体のほとんどをつくっている「体細胞」と「ニューロン(神経細胞)」とに分かれますが、性質が少し違います。
 例えば私たちがケガをしたとき、「体細胞」は傷ついた体の部分を増殖しながら埋めていき、傷を治すことができます。しかしニューロンにはこれができません。ニューロンは私たちが生まれたあと、脳の中で減ることはあっても増えることは、基本的にはないのです。
 私たちは生まれたときと同じニューロンを一生使って、ものを覚えたり、考えたりしていきます。

ニューロンはなぜ増えないの?
 記憶がごちゃごちゃにならないようにするためだと言われておるんじゃよ。
 例えば、あなたが友達100人の名前を覚えたとします。そのときは、脳の中に100人分の名前を保存したニューロンのネットワークができています。
 もしもニューロンが「体細胞」のようにしょっちゅう消えたり生まれたりしたら、せっかく覚えたネットワークがごちゃごちゃになって、「記憶」が混乱してしまいます。
 次のような場面を想像してみてください。
 あるサッカーチームで11人のメンバーが、1年間練習してチームワークがよくなってきました。ところが、急に何人かがルールも知らないような人たちと入れかわったらどうでしょう? このようなことが何度も起こると、チームワークがガタガタになってしまいます。
 ニューロンが体細胞のように消えたり生まれたりしないのは、こういう理由からなのです。
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